【Leica】撮影の秋をDistagon T* 35mm F1.4 ZMで愉しむ
いつまで夏が続くのだろうと思われていたら、ガクンと気温が下がり急に秋らしくなってきました。
食欲の秋、読書の秋など、過ごしやすい気候である事から様々な呼ばれの「秋」がありますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
撮影の秋という程大げさなものではありませんが、秋に写欲が湧いたなら撮影の秋と言っても良いでしょう。
さて、今回は35mmをぶら下げて撮影に参ります。Leica Mマウントの35mmといえば純正だけでもエルマー、ズマロン、ズマリット、ズミクロン、ズミルックスと様々なバリエーションが存在しますが、
純正と比べても比較的リーズナブルな価格で入手できるCarlZeissやVoightlanderからも魅力的なレンズが多く登場しています。
その中でも2015年に発売されたCarlZeissの「Distagon T* 35mm F1.4 ZM」をご紹介。
2015年といえばM型Leicaで言えばM(Typ240)の世代で、2017年にM10シリーズが登場しますが、今回はそのレンズをLeica M11に装着してフォトウォークをして参りました。
当時は約2400万画素だったボディも、今では約6000万画素のセンサーを有していますが果たしてDistagonは耐えられるのか否か…。
そんな不安も1枚目から杞憂に終わりました。絞りを開けた状態でアンダー気味な露出でワンショット。
静止したスワンボートと優雅に泳ぐ鴨の対比が面白い1枚となりました。Zeissだからなのかややこってりとした色乗りの印象。
また、Zeissのレンズはカラッとしているわけでなく、独特の湿り気の様なものを感じます。
撮影距離にして1mくらいだったとは思いますが、鳩に逃げられない距離で構図を切ります。
こうして見てみるとやや樽型に歪んでいるでしょうか…撮影距離によっては気にならないシーンもあったので近接域で縦横の線がはっきり分かるような構図の場合は気を遣ってあげると良いかもしれません。
F1.4クラスの準広角レンズになると中距離でピントを置いても、ピント面がしっかりと立ち上がり背景がボケてくれるというのが魅力の一つになると思いますが、Distagon 35mm F1.4 ZMにおいても気持ち良く立ち上がってくれます。
また、ピント面とアウトフォーカス部の乖離をハッキリさせるために、ピント面を抜けたところから急速にボケていくレンズも中にはありますが、このDistagonにおいては比較的なだらかで無理のない画のまとめ方と感じられます。
木洩れ日がたまたまスポットライトのようになっていて、明るい色をした落ち葉が印象的だった一枚。
こちらはほぼ最短付近での撮影ですが、通称FLEと呼ばれるLeica ズミルックスM35mm F1.4 ASPH.の2代目の様にフローティング機構が搭載されているため、撮影距離に依存せず高い解像力を持っています。葉の模様を克明に描いているのはさすがの一言。
秋空の青と、すすきの間から顔を見せるセイタカアワダチソウの黄色で色のバランスを取ってみました。
前ボケとしてもすすきを取り入れていますが、個人的には前ボケより後ボケの方が好みだなあと感じるレンズです。
どの距離でも破綻なく描いてくれるレンズではありますが、開放から安定した描写を持ち合わせているので、中距離の被写体にピントを合わせて浮き上がらせるという使い方がより効果的にこのレンズの持ち味を引き出せるのではないでしょうか。
ZM系のZeissレンズにおける大吟醸とも言える立ち位置のDistagon T* 35mm F1.4 ZMですが、
2024年10月現在で言えば現行のLeica ズミルックスM35mm F1.4 ASPH.の3代目と比べても4分の1程の値段で買えてしまう計算になります。
向こうは近接撮影にも対応した機構が盛り込まれてはいますが、そこを差し引いたとしてもZeiss側がかなりリーズナブルな事は間違いないのではないでしょうか。
35mm選びで迷ったら間違いなくオススメしたい一本です。