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【インタビュー】SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art 後編

【インタビュー】SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art 後編


 

現在ミラーレス機で使用できる85mm F1.4は2種類ありますが、ユーザーにはどのようにオススメすればいいでしょうか?

大曽根 氏:
例えば背景の玉ボケが一番綺麗なレンズが良いんだ、という事なら『SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art』だと思いますし、いやいや、ポートレートは追従性で、どこまでも瞳AFが追いかけていくレンズが良いんだ、というなら今回の『SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art』になると思います。

もちろん光学性能は新しい方が良いのですが、レンズのキャラクターや味付けが違いますので、単に性能だけを見て良し悪しをつけられない関係なのです。

理想としては撮影するイメージによってこの2本を使い分けていただけたら嬉しいですね。そんな思いを込めてシグマレンズにはエディションナンバーを付けるようにしています。「今日の撮影は020より016の方が向いているな」とか、レンズ選びのコミュニケーションに使っていただければいいなと。

これはとてもユニークな特徴ですよね。あるメーカーだと何十年も前のレンズから現代のレンズまでそれぞれが個性として世代別に価値を持っていると思うのですが、それに通ずるものを感じます。

大曽根 氏:
新しいレンズが出たら、旧型は性能の悪いレンズなのかというと、一概にそうではないと思っています。出てくる画がそれぞれ違いますので、その種類ごとに楽しめるのがレンズの面白味でもあると思うのです。

そして、各レンズにはその時のシグマのアイデンティティを詰め込んで作られています。それを象徴する意味でもエディションナンバーをレンズに付けています。

様々なフルサイズミラーレス用のレンズ開発を進めていると思いますが、なぜArt単焦点では35mmの次が今回の85mmだったのでしょうか?

大曽根 氏:
確かに2012年に「SIGMA GLOBAL VISION」を発表し35mmを発売。その次が50mmでしたからね。

マーケティング用語で「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という言葉があり、マーケットインは市場やお客様の要望(ニーズ)に耳を傾けて1番売れると思われる物を製品化していくという考え方ですが、それでレンズが本当に売れるのか?という疑問があります。

弊社はむしろプロダクトアウトの考え方で製品開発を行っており、どんなものができるのかというところを起点に製品づくりを考えています。

先ほどの話でいうと、一眼レフ用のArtラインでは35mmから始まって、次に50mmを発売しました。普通に考えるのなら次は85mmだと思うのですが、そのあとに24mmを発売しました。そして、やっと85mmが出るのかと思ったら、なぜかもっと広い20mmを発売するという。(笑)

それはシグマがお客様に意地悪をしているのではなくて、プロダクトが出来る過程から順番を決めているからです。この時も24mmを開発した時に「もしかしたら20mm F1.4という新しいレンズが作れるかもしれない」という技術者からの提案がありました。20mm F1.4といったレンズは今まで世の中に存在していないスペックのレンズでしたから、「それはやるべきではないか」という事になりました。

お客様が「あっ!」と驚いたり、本当に面白いと思ってくれる良い商品は、普段当たり前のことをしていても生まれてこないものですが、それが突然出来る時があるのです。ですので、出来る時にそれを作ろうというのがシグマのポリシーの一つですね。

この『85mm F1.4 DG DN | Art』の時も開発の段階で「えっ?」という閃きというか、煌めきのようなものが見えてきたのです。ですので今コレを作らなくては!という事になりました。

このレンズができたのは小さな奇跡だと思っています。

エンジニアがどんなに努力を重ねてもたどり着けないところにパッと行けるということが稀にあるんですよ。先ほどの『SIGMA 20mm F1.4 DG HSM | Art』もそうでしたし、この85mmもそうなのだろうなと思っています。

そういった驚きをお客様と共感できる商品を出せた時は本当に嬉しいですね。

「小さな奇跡」、素敵な言葉ですね。今まではレンズの大きさや重量よりも性能第一というプロダクトが多かったと思うのですが、今後ミラーレス専用設計のレンズは小型化も重視して開発されていくのでしょうか?

大曽根 氏:
基本的にはコンパクトに作っていきたいと思っています。というのも、カメラのサイズが小さくなってきているからです。

そもそもクイックミラー機構が無くなった、ということもありますが、各メーカーの主力ミラーレス機の横幅は130mm台になってきており、一眼レフの頃と比べて10〜20mmほど小さくなっています。それに合わせてレンズもある程度の小型化をしなくてはならないと思っています。幸いにもボディ内収差補正とショートフランジバックという強い味方を手に入れられたので、性能はもちろんですが、小型化にも注力していきたいと考えています。

最後となりますが、今後のシグマが目指す方向性や写真文化への取り組みなどありましたら教えてください。

大曽根 氏:
シグマの技術とノウハウを良い写真に結びつけられればいいなと思っています。そんな活動をしたいですね。レンズって玩具ではないですし、置物でもない。単に性能が良ければいいというものでもないので、真剣に作品を撮っているユーザーの皆様に支持されるような、そんなレンズを作っていきたいです。シグマのレンズならもっと凄い写真が撮れるのでは?と想像してもらえるようなモノづくりをして、ユーザーの皆様とレンズを通して会話ができれば嬉しいですね。

今回インタビューに協力していただいた国内営業・マーケティング部・長谷川様(左)、商品企画部・大曽根様(中央)、プロサポート課・桑山様(右)。この度は貴重なお話をお聞かせいただき誠にありがとうございました。
今後もマップカメラでは各メーカーの新製品やこだわりなどに注目し、独自の取材を続けていきます。新しいミラーレス専用レンズ『SIGMA 85mm F1.4 DG HSM | Art』を含め、マップカメラ・StockShotをよろしくお願いいたします。

[ Category:SIGMA | 掲載日時:20年10月19日 17時01分 ]

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