
【Nikon】待望のZ CINEMAミラーレス「Z R」を静止画撮影に使ってみた。

いよいよ10月24日に発売の迫った待望のZ CINEMAシリーズ最新のミラーレス一眼カメラ「Nikon Z R」。
REDとの協業により、業界をリードするREDの優れたカラーサイエンスとNikonの高い信頼性、使いやすい操作性を兼ね備えたZ CINEMAシリーズ待望の新製品ですが、今回はあえて静止画撮影に絞ったレビューをお届けしたいと思います。
Z Rにレンズを装着
今回Z Rを敢えて静止画撮影機として紹介するに至った理由、その一つが外観にあります。
詳しい外観は先行レポート時にお届けしましたが、最小限のグリップとファインダーを廃した長方形のシンプルなボディ、そしてファインダーの代わりとなる液晶は4.0インチの大型バリアングルモニターは、動画撮影を考えて設計されていますが静止画撮影にも適したカメラだと感じたのです。
今回使用したレンズは「NIKKOR Z 26mm F2.8」と「NIKKOR Z 50mm F1.8 S」の2本です。
ニコンZレンズ群ののフルサイズ対応レンズ中最も薄く軽量なレンズと、単焦点レンズで最も人気の高く定評のあるレンズの2本をチョイスしてみました。
この組み合わせで、シネマカメラの真価をみていこうと思います。
「NIKKOR Z 26mm F2.8」での作例
ピクチャーコントロール:CineBias_RED
ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
今回Z Rから新たに追加されたRED監修の「CineBias_RED」と、高コントラストが特長の「ディープトーンモノクローム」の2つをピクチャーコントロールに使用しました。
ピクチャーコントロール:CineBias_RED
初期設定でカスタムピクチャーコントロールC-1に登録された「CineBias_RED」はRED監修のシネマティックなカラーモードで、これは静止画撮影時にも使用が可能です。
映画で見るような低彩度、低コントラストの画は黒つぶれや白飛びを最小限に抑え、豊富なトーンを得ることができます。曇り空の雲の微妙な濃さの違いから影になった木の幹の部分まで、幅広い階調を表現しています。
ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
シャドー部から中間調までは暗めに、中間調からハイライト部は急激に明るいモノクロ画像が得られるディープトーンモノクローム。都市部のテクスチャの多い画面を上手く整理してくれます。
ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
そしてこのZ Rをおすすめしたいポイントの一つが、優れたAF性能です。基本性能が「Nikon Z6III」に準拠しているということから分かるように、オートフォーカス性能は現行のNikon機の中でもトップクラスです。特に被写体認識性能が優秀で、人の頭をこのような後ろ姿でも検知し、的確にトラッキングしてくれます。
スナップ撮影でふとカメラを向けた際、オートフォーカスを動作させた瞬間にもうピントが合っており、あとはシャッターを切るだけという状態が整っており撮影がスムーズに行えます。
「NIKKOR Z 50mm F1.8 S」での作例
続いてはニコンZマウント単焦点レンズで最も人気の高い「NIKKOR Z 50mm F1.8 S」を装着しました。
さすがに先ほどの26mm F2.8よりはやや大柄ですが、レンズを左手で支えてあげることで問題なく構えることができます。
ピクチャーコントロール:CineBias_RED
ピクチャーコントロール:CineBias_RED
先程よりも望遠寄りになったことで圧縮効果が効き、あたかも映画のワンシーンを切り取ったかのようです。
この日は生憎の曇り空でお世辞にも撮影日和と言える天候ではありませんでしたが、そんな空気感すらも作品へと昇華させてしまうこのピクチャーコントロールの懐の広さを感じます。
ピクチャーコントロール:CineBias_RED
この日の撮影で一番気に入ったカットがこちらです。
普段RAWで撮影をしたうえで現像して色を追い込むことの多い筆者ですが、この写りを見た瞬間にJPEG撮って出しでも満足できるカメラだと確信しました。
ショーウィンドウを照らすスポットライトの灯りが美しく、シャドウの諧調も豊かなので自然にハイライトに視線が誘導されます。このカメラを動画撮影専用にするのはもったいない、そう感じさせる写りです。
ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
勿論モノクロ撮影での相性も抜群です。広角レンズに比べさらにオートフォーカス性能が重要になりますが、こちらも後ろ姿でありながら完璧に頭部を認識・追従してくれました。
大型4.0インチのモニターでのタッチAFも可能で、撮影スタイルに応じてどちらも強力な武器として使うことができます。
ピクチャーコントロール:CineBias_RED
左の自然光と右の白熱電球でミックス光となったシチュエーションですが、AWB(オートホワイトバランス)設定でも的確に色温度を合わせてくれます。
どちらの色にも振られず、かつ嫌みのない色にまとめてくれるのはカメラのホワイトバランスの正確さ、またピクチャーコントロールの色味のおかげです。
まとめ
ピクチャーコントロール:ディープトーンモノクローム
ピクチャーコントロール:CineBias_RED
今回シネマカメラを静止画撮影のみで使うという体験をしましたが、良い意味で、このカメラがシネマカメラだという感想は一度も抱きませんでした。
それほどに洗練されたデザイン、操作系です。今回はFn1ボタンはデフォルトの露出設定を、Fn2には本来撮影モード切り替えが割り当てられていますが今回はピクチャーコントロールの切り替えを割り当てました。これによりボタン1つとダイヤル操作で簡単にカラーとモノクロの切り替えが可能になりました。
しかもこの設定は静止画撮影時と動画撮影時それぞれで独立して設定可能なので、静止画と動画を行き来するような撮影スタイルでもそれぞれ最も使いやすいカスタムを保存しておくことが可能です。
もちろんメカシャッター非搭載であることやストロボ同調速度が1/60秒になることなど欠点も皆無ではありませんが、本体重量は530g(本体のみ)と、実はNikon Z5の590gよりも軽量で、携帯性も抜群なNikon Z Rは欠点を補って余るような優れた性能の持ち主です。
動画撮影の優れた相棒であることは間違いありませんが、静止画撮影でもまた常に持ち出したくなるあなたのパートナーとなることでしょう。
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