『LEICA NOCTILUX M 50mm F1.2 ASPH.』
伝説的な銘玉とも言える「ノクティルックス 1st」の光学設計を可能な限り維持しながら、現代の硝材で作り上げた復刻レンズです。
幸運にもこのレンズで撮影する機会にめぐまれたので撮影に行ってきました。拙い写真ばかりではありますが、見ていただけると幸いです。
このドアの輪郭、いかがでしょうか。ドアのガラス越しのスモーキーなボケが「ニクイ」です。開放絞りの柔らかさで画全体がほぐれているかと思えば、ドアの輪郭線はピシッとしているわけです。
これは現代のノクティルックスだからこその解像かもしれませんが、シャープさとソフトさのバランスが本当に絶妙でたまりません。
天気は薄曇り。
被写体に降り注いでくれる光もないため、シャープネスとコントラストに欠けるシチュエーション。ぼやっとした光だけでもこのレンズは汲み取ってくれる気がします。
個人的にはこのレンズのモノクロが大好きです。シャドウ部をもっと柔らかく仕上げると個人的にはさらに好みです。
フィルムで撮ることでこのレンズの違う魅力が引き出せると思います。ぜひ粒子感のあるフィルムで撮ってみたいです。
F2に満たない絞り値で撮影。というのは「F2にはしたくない」というわがままでF1.4とF2の中間で絞りリングを止めました。
確かにこのレンズの味はその柔らかさでしょう。しかしこの画を見てしまうとその柔らかささえ、個性の一端だったのではないかと思います。
この世界の住人になりたいとさえ思う筆者です。
この手前のボケ感などは光学技術が上がった現代では得られない描写です。もちろんどんなシチュエーションでもこの描写では困ってしまうこともありますが自分の表現したい世界とマッチしたときにこのレンズの代わりはないと言っていいでしょう。
硬いものはしっかりと硬く描写してくれます。もちろんカリカリのシャープネスがあるわけではありませんが、今までに撮ってきた質感のものとは明らかに違いを感じます。
ノクティルックスで撮りたいとおもうユーザーがいるように、ノクティルックスで撮られたいと思う人が必ずいるでしょう。
ノクティルックスでなくてはいけない。その理由があるということはとても「価値」のあることだと思います。
厳密にいえば当時のレンズとは違いますが、やはりその血筋はしっかりと受け継がれています。
このレンズだからこそ撮れる描写、もし心のどこかがこのレンズに引っ掛かったなら、たとえ時間がかかろうとこのレンズを手に入れる価値は必ずある。そう思います。