SONY α99II インタビュー【Part 1】
この度満を持して登場したソニー“Aマウントフラッグシップ一眼”について、本日もソニー製品に留まらず幅広いカメラ製品に精通したソニーマーケティングの福士様に詳しく製品について解説頂きたいと思います。 確認の意味を込めて私のほうからご説明しますが、前身にあたる“α99”は実に4年前の2012年10月の発売でした。
デジタルカメラのモデルサイクルは近年どんどん短縮傾向にありますが、中でもプロシューマー向け最上位モデルについてはオリンピックイヤーに登場するという4年サイクルが在していますので、そう言った視点で見ると受け止めやすい時間経過ですね。 その間にもEマウントを採用したソニーミラーレス一眼が数多く発売されていましたが、当時はエントリーからミドル層に向けた製品が多かった印象でした。当時を振り返りますと他社の製品も含め、ミラーレス一眼は光学ファインダーを廃したことによる、小型・軽量化、低コスト化により“一眼レフカメラ”の高画質、高機能を手のひらサイズで!のようなキャッチの製品が多かったです。 ところが、2013年11月にソニーから発売された世界初となる35mm判フルサイズミラーレス一眼“α7/α7R”を皮切りにEマウントのカメラ製品はより高画質、高性能化を遂げ、ミラーを廃したことによる小型化の恩恵だけでなく、デジタルデバイスの進化スピードに合わせて矢継ぎ早に投入される新技術、新機能はまさにカメラ業界を席巻したと言っても過言ではありません。 もちろんAマウントのレンズ交換式カメラの血脈も途絶えた訳ではなく、2014年6月にAPS-Cフォーマットモデルの“α77II”が投入され、従来から続くソニー独自の「トランスルーセントミラー・テクノロジー」により、撮影中常にAF測距演算が可能な利点を活かし、動体追従性能をさらに強化、AF追従をしつつも、12コマ/秒の高速連写に対応する等、光学ファインダーを搭載した他社の“一眼レフカメラ”とはまた異なる形での進化を遂げてきています。
正式に情報公開がなされるまでの予想として、Aマウントフラッグシップ一眼“α99”の後継モデルについては、35mm判の高精細画質と、高速AF、高速連写性能を備えたAPS-Cフォーマットモデル“α77II”と同等までとはいかないまでも高速性能を強化し、いいとこ取りをしたようなモデルを期待していたのがAマウント一眼ユーザーの皆さんの本音ではないでしょうか。 ところが実際に満を持して登場した“α99II”については、Aマウントの「トランスルーセントミラー・テクノロジー」搭載一眼というプロットに、異常とも言えるスピードで進化を続けてきた、Eマウントのフルサイズミラーレス一眼・ハイエンドモデル“α7RII”の高性能な最新デバイスまでも取り込み、レンズ交換式デジタルカメラという広い視野で見回しても、非常に高い撮影性能と魅力を備えたカメラとして仕上がって参りました。
このAマウント、Eマウント各デジタル一眼の系譜と、この技術的な“クロスオーバー”を果たした上で誕生したであろう“α99II”は、ソニーの中でも計画通りに生まれた製品なのでしょうか。
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この度も弊社製品にスポットライトを当てて頂く機会を設けていただき誠にありがとうございます。 まもなく開催されるCP+2017では、“α99II”は望遠に、ポートレートに、お客様に様々な場面で触れていただける環境をようやく用意することが出来ました。皆様に「手に取ってみたい」と思って頂けるよう、出来うる限り製品の魅力をお伝えできるようお話しをさせて頂きたいと思います。 まず開発経緯についてですが、ソニーのカメラユーザー様の中には、Aマウントを長らく使って下さっているお客様が多くいらっしゃいます。カメラに詳しく、厳しい意見を持った方が多く、コニカ・ミノルタ由来のレンズに対するボケ味など、拘りも非常に強いお客様です。そうしたお客様に満足のいく製品を提供したいという想い、姿勢は変わらず社内にありました。 結果としてみればおっしゃる通りに前モデルの“α99”から、ちょうど4年目となる昨年11月に国内発売を開始しましたが、開発側としてはAマウントのフラッグシップはしっかりしたものを出したい、という固い意志の下やっていたようです。 そのために、様々なデバイスを開発し、進化させ、今できることを全て詰め込んだのが、“α99II”です。 先ほど触れて頂いた内容と重複してしまう点はご容赦頂きたいのですが、簡単にAマウントカメラのこれまでの商品についてご説明しますと、2008年に“α900”を発売し、一眼レフカメラでAPS-Cからフルサイズまでフルラインナップを揃えた後、ソニーでは通常の一眼レフでは達成が困難なスピード性能と解像度・感度の両立を追求するため、2010年の“α55”以降、「トランスルーセント・ミラーテクノロジー」という技術を採用した一眼カメラを開発、販売してきました。
その後、「トランスルーセント・ミラーテクノロジー」を採用したAマウントラインナップを“α77”、“α99”というようなハイエンドモデルまで拡大して参りました。 “α77”、“α99”は当時出来る中で最大限の要素を詰め込んだカメラでしたが、お客様からは更なるスピード性能、そしてそれを活かす連写持続性能、そして高感度性能と解像度の両立のご要望を頂いておりました。 そうしたAマウントを愛用してくださり、時として厳しいご意見もくださったお客様方に、十分にご満足して頂くことができるスピード性能と解像感を両立したカメラが出来たと“α99II”では感じております。 個人的にはカメラの基本にして一大テーマであるスピードと解像度の両立、つまり有効4240万画素で12コマ/秒の高速連写、というところも重要なんですが、それだけではなくバッファ増量による連続撮影可能枚数のアップや、連写後などの基本的な操作に対するレスポンスですとか、そういったカメラとしての基本的な部分についても注目して頂きたいです。地味ではありますが、こうした部分がこのクラスのカメラユーザーとして目の肥えたお客様に使用して頂く場合に、非常に重要になると感じています。 従来のAマウントのお客様には勿論、これまでAマウントのフルサイズを試したことがない方、今回のα99IIをきっかけに興味を持たれた方にも、是非一度は手にとって頂きたい商品です。
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なるほど、αとしては最後の光学ファインダーモデルでありながら、未だにデジタル一眼レフカメラで最高の光学ファインダーを搭載していると評価の高い“α900”から「トランスルーセント・ミラーテクノロジー」を採用し、EVF化したハイブリットモデルの“α99”も同じサイクルで投入されていたわけですね。
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そうなります。ソニーのカメラは今までの時点では4年に一度のスポーツの祭典に向けて、報道用途で…といったニーズの製品ではございませんでしたので、競合機として他社の一眼レフカメラはあえて意識はせずにソニーとして最新技術・最高性能を余すことなく投入して誕生させることを目標として、実現できたのが、結果的にこの4年サイクルであったということになります。
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フルサイズミラーレス一眼の“α7シリーズ”の印象が強いせいか、大柄に感じてはしまう“α99II”ですが、オプションの縦位置グリップが APS-Cフォーマットモデルである“α77II”と兼用であると知った時には「おや?」と感じました。やはり高性能化だけではなく小型化を諦めない姿勢を最近のソニー製品からは特に感じますね。
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開発当初より、コンパクトなボディに収めるために内部構造各部を設計しています。手振れ補正の項でもお話ししますが、手振れ補正ユニットも新設計の薄型仕様にて開発したり、かつ駆動部にも余裕を持たせて設計しています。連写のコマ速を上げるために、シャッターチャージなど駆動各所にパワーのいるユニットなどを新開発していますが、それぞれを小さく収めることによって、従来の当社APS-Cモデル並みのサイズになりました。
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大幅に進化しながら小型化するという技術には、同じくソニーさんの1インチコンパクトデジタルカメラ“RX100シリーズ”が、サイズはそのままに3世代目からポップアップ式のEVFを搭載しつつ、サイズは据え置きといったような部分にも通ずるところを感じます。
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