YOSEMITE CAMERA STRAP インタビュー
伊﨑 真一 : 1975年12月2日生まれ 静岡県出身 写真家・ビデオグラファー・アートディレクター・DJ 20代はグラフィックデザイナー、ファッションデザイナーとしてのキャリアを積み、NIKE、NEW BALANCE、G-SHOCK、HONDAのプロダクトデザインや、BEAMS、UNITED ARROWS、NANO・UNIVERSE等の有名セレクトショップのファッションデザインを数多く手がける。2014年6月イタリアの LEICA STORE Firenze にてアジア人として初めて写真展「CRAVATTA」を開催。2015年からは自身が代表を務めるEPMがライカカメラジャパンとクリエイティブエージェンシー契約を結び、ドイツのシューズメーカーBIRKEN SHTOCKとライカのコラボレーション写真展「ライカで撮るビルケンシュトック」を代官山T-SITEで開催、2016年は蔦屋家電にて「ライカで撮る美しい日本人」を開催、ライカファンから多くの賛同を得る。
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まず『YOSEMITE CAMERA STRAP』が世界での累計販売数が1万本を超えたという事でお祝い申し上げます。カメラストラップとしては異例の大ヒットだと思うのですが、その魅力についてお話をいただいてもよろしいでしょうか?
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ありがとうございます。YOSEMITE CAMERA STRAPは本物のアウトドアギアを使用したカメラストラップです。全長は 126cmと、通常のカメラストラップよりやや長めに作られており、長さはロープを結ぶ事によって自在に調節が可能で、大きく結べばハンドストラップとしても使用できます。ドライ加工されたストラップの素材は濡れても乾燥しやすく、通常の平たいナイロンや革製のストラップと違い表裏に困らないだけでなく、調節時に縛っても折り目が残りません。カメラ専用に設計された日本製高品質真鍮リングと組み合わせ、職人が一本一本丁寧に縫製し仕上げているので、厳しい環境下でも大切なカメラを落下させる事無く安心してお使い頂けます。 |
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『YOSEMITE CAMERA STRAP』という名称についてですが、ヨセミテというとアメリカ・カリフォルニア州にあるヨセミテ国立公園を連想すると思います。このカメラストラップと何か関わりや繋がりがあるのでしょうか? |
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YOSEMITE CAMERA STRAPはヨセミテ国立公園に撮影に行った際に岩山を下山してきたクライマーと話をしたんです。その時、彼の古いちぎれそうなカメラストラップの話になり「ザイルのように頑丈で、煩わしくないカメラストラップがあれば良いんだけど」という事を言っていました。その時の彼の願いを聞いて発案したのがこのYOSEMITE CAMERA STRAPなんです。素材にクライミングロープを使用し、日本人だけでなく欧米人の体格やシーンに合わせて長さの調節がしやすいザイルの特性を活かすため、126cmという最適な全長を確保して結び易くしました。 さらにこの度、短めに使用される方や女性にも利用しやすい105cmと110cmの2タイプも追加したので、より皆様にフィットした一本をお選びいただけます。 |
なるほど、当初はクライマーのために作ったストラップだったのですね。ヨセミテといえばエル・キャピタンという巨大な一枚岩があるクライマーの聖地ですから、ストラップにクライミングロープを使用しているのにも納得がいきます。その他に敢えてカメラストラップとして使われてこなかった素材を選んだ理由がありましたら教えてください。 |
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頑丈であることはもちろんのこと、アウトドアブームにより、クライミングロープのイメージが一般の方々にも浸透してきていたのも理由の一つです。昨今のアウトドアブームの潮流は、一過性の流行だけにとどまらず、クライミングや野外フェス、登山など大自然のパワーを感じ、生き方そのものを変えるアクティビティに成長していると感じます。アウトドアのシーンで必ず必要なカメラをどうすればより素敵に、安心して持ち運ぶことが出来るか、アウトドアユースの観点から再定義してこのプロダクトを生み出したところ、ファッション・シティユースにも映える仕上がりになりました。
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実際にYOSEMITE CAMERA STRAPを手にとってみると、クライミングロープという事もあって見た目以上に頑丈でしっかりとした作りをしていますね。加工も難しそうな素材ですが、製造上で何か工夫された点やこだわりなどありましたら教えてください。 |
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細すぎるザイル(クライミングロープ)では長時間カメラを肩から掛けていると食い込みで痛みを感じてしまう一方、太すぎると長さの調節をする為の結び目を作りづらく、また重量も増してしまうため、9mmのザイルを使用しています。本革製のリング取り付け部はヒートカットしたロープの先端を挟み込み、耐久性を持たせる為にロープ自体を貫通させて縫い付けてあります。 おっしゃる通り、命綱のために作れた丈夫なロープなので、レザーのパーツを縫合するのに太いステッチを皮の両面とナイロンリボン、ロープ自体を貫通して縫い付けているのですが、熟練の職人さんでもロープ径が11mmを超えるとかなり難しいということで何とか9mmのものを少し無理を言ってお願いしております。
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これくらいしっかりしたストラップだと大事なカメラをつけても安心ですね。少し意地悪な質問になってしまうのですが、ストラップが丈夫すぎる故に危ないという事はないのでしょうか?例えば電車にカメラが挟まれたとか、何かに引っかかってしまったなど事故が起きた際に。 |
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その点もしっかりと考えて作られています。YOSEMITE CAMERA STRAPの特長はカメラを安全に持ち運べるのに充分な強度を保つことと、それとは逆に急な力がかかった時にユーザーに怪我をさせないように「うまく外れる」という部分です。もちろんクライミングロープ自体は人が吊り下がっても大丈夫な強度を持っていますし、レザーの縫合部もステッチがロープ自体を貫通してさらにナイロンのリボンで内側から補強もしているため、全然切れません。そのため私たちが望む性能を実現させるために、過度の力がかかった際に安全に外れてくれる「丁度良い強度のリング」採用しています。それによりYOSEMITE CAMERA STRAPは強度と安全性の両立させています。
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YOSEMITE CAMERA STRAPを初めて見た時、その鮮やかなカラーバリエーションにとても惹かれてしまいました。いままでのカメラストラップには無い格好良さがありますよね。この色のロープは特別に作ったものなのでしょうか?? |
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実は最初のシリーズのストラップには市販のロープをそのまま使って作っているんです。クライミングロープと言っても様々な種類や色がありますから、そこは厳選して選びましたね。このロープは海外メーカーのものを輸入しているのですが、それゆえの問題が起きた事がありました。ある一色のロープを追加で100m発注した時、届いてみると色が全然違うんです。間違えなく商品名もコード番号も同じだったのですが、明らかに違う。おそらくクライミングロープという物自体、機能や性能がメインで色に関してはメーカーもそこまで重要視していないんでしょうね、何も言わずに色を変更してしまったようです。
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それはカラー展開してストラップを作っているコチラとしては困りますよね。しかし海外メーカーらしいといえば、らしい話だなと思います。
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その失敗を踏まえて、新色のストラップに使うクライミングロープは国内メーカーにオリジナルで作ってもらうことにしました。そうすれば色や柄も細かく決められますし、品質に関しても安心ですからね。ですので今のYOSEMITE CAMERA STRAPは素材も製作も全てが『MADE IN JAPAN』なんです。
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そうだったんですね!かっこいいカラーバリエーションだなと思っていたのですが、ロープからオリジナルで作っていたとは知りませんでした。ストラップの色や柄によってカメラの印象が変わりますから、使用する方のスタイルで選べるのは嬉しいですよね。YOSEMITE CAMERA STRAPはどのようなカメラに付けるのが一番向いているのでしょうか?
当初は主にライカユーザーを想定して製作していましたが、今ではおかげさまで『FUJIFILM X-Proシリーズ』や『SONY αシリーズ』などの人気のミラーレスカメラにも着用されている方が増えています。リングタイプのストラップですから、他にも様々なカメラと相性がいいと思いますよ。
最後にこのYOSEMITE CAMERA STRAPをご購入されるお客様へ向けて何か一言お願いします。
このYOSEMITE CAMERA STRAPのコンセプトは『アウトドア』なのですが、それにはもっと外に出て、もっと美しい場所に行って、もっと美しいものを見て、写真を撮って欲しいというメッセージも込められています。ぜひYOSEMITE CAMERA STRAPと共に『いい写真が撮れる場所』へどんどん出かけて欲しいですね。
また、この度おかげさまでYOSEMITE CAMERA STRAPは2016年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。見た目の美しさだけでなく、機能性や使いやすさを客観的に評価して頂けた事で、さらにカメラファンの皆様に知っていただけるきっかけになればと思います。
ありがとうございました。
写真撮影やクライミングのルート選定に絶対的な正解がないことと同じように、 YOSEMITE CAMERA STRAPもまた、様々な用途と大いなる可能性を秘めた商品であると感じました。
あなたならどのようなシチュエーションで、どんなカメラと共に使いますか?
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