SONY-E BODY × M42 LENS
ボディ:SONY α7II
マウントアダプター:KIPON MountAdapter M42レンズ/SONY Eボディ用
レンズ:FUJICA FUJINON FISH EYE 16mm F2.8
今回マウントアダプターで使用したのは『FUJICA FUJINON FISH EYE 16mm F2.8』。
フジカという名前は富士フイルムが戦後から1980年代前半まで自社のカメラシリーズに付けていた名称で、本レンズはフジカST用に作られたM42マウントのレンズです。
古今東西様々な種類のM42レンズが存在していますが、その中でもF2.8の明るさとカラーフィルターを内蔵した贅沢な作りの『FUJICA FUJINON FISH EYE 16mm F2.8』は希少な1本として知られています。
アダプターを使用して実際に撮影してみると、その写りに驚かされました。 都庁を撮影したのですが、約40年前に作られたレンズとは思えないほど先鋭でクリアな描写力。コントラストも良好で気持ちのいい写りをしてくれました。
対角線魚眼レンズは「見たままを写す」のではなく、想像力と創作性を掻き立ててくれるレンズです。α7IIとの相性もよく、暗部もトーン豊かに写し出しています。
考える前にシャッターを切る。見慣れた景色もこのレンズで写すと新たな発見をさせてくれます。
16mnの広角レンズと比べても圧倒的に広く、そして周辺が大きく歪む本レンズは空間をダイナミックに切り取ってくれます。
スナップで使用しても面白いレンズです。本レンズのF2.8という明るさとα7IIの手ぶれ補正機能と高感度性能があれば、夜間の手持ち撮影も問題ありません。
三脚を使用してでの長時間露光。この写真だとフレアとゴーストが目立ちますが、いい味だと感じたので選びました。こうしたフレアやゴーストを楽しめるのもアダプターを使用してオールドレンズ使う醍醐味かもしれません。
『FUJICA FUJINON FISH EYE 16mm F2.8』は現代のレンズと比べても遜色のない素晴らしい写りをするレンズでした。そしてしっかりと作られた金属鏡筒と凝った作り込みをした本レンズは所有欲を満たしてくれる1本です。
一眼レフ用レンズとはいえ、四隅の色かぶりをしないか不安でしたが、α7IIは非常に安定したパフォーマンスをみせてくれました。ミラー干渉を気にする事なく、手ぶれ補正までしてくれる本機はアダプターを使用するM42ユーザーにとって新たな可能性を示してくれたように感じます。
最後に今回使用したマントアダプターの使用方法について補足をしたいと思います。 M42レンズのマウント部はねじ込み式の為、製造メーカーによる“ねじ切り具合”が異なります。そのためマウントアダプターで装着したときレンズが斜めに傾く可能性が非常に高いのです。
ほとんどのレンズでは斜めになっても問題なく使用できるのですが、今回の『FUJICA FUJINON FISH EYE 16mm F2.8』は少しでも傾くとレンズに固定されているフードでケラレが生じ、写真の角が大きく欠けてしまいます。
そこでレンズの傾きをアダプター側で調整する作業を行いました。KIPONのアダプターには調整ネジが付いており、ドライバーで緩めてやると傾き角度を自由に調整できるようになります。本レンズの場合は背面液晶でケラレが起きない位置を確認し、再びネジを締め直して調整しました。
M42レンズは日本・ドイツ・ロシアで様々な種類が作られてきたレンズです。撮影前の儀式とまではいいませんが、この調整もオールドレンズを使用する楽しみの一つとして行っていただけたらと思います。
Photo By MAP CAMERA Staff