日進月歩で開発が進み、次々に魅力的なモデルが発表されるミラーレス業界。その中でソニーが果たす先駆者としての役割は大きなものがあります。今月の初旬に発売された「α7SIII」に続き、発表時から大きく話題となった中で遂に発売となった『α7C』。手振れ補正を搭載したフルサイズミラーレス機として世界最小・最軽量を謳う本機が発表された時、筆者は「マウントアダプターを愉しむのにうってつけのカメラが出た!」と大変興奮いたしました。取り回しやすく、手振れ補正が効き、フルサイズセンサーの画質を活かしてレンズの良さを引き出せる…今回は、撮影面はもちろん「装着した時に格好良い」レンズを使いたく、熟考の末『CONTAX Tessar T*45mm F2.8 MM 100Jahre』を選びました。『α7C』の軍艦部のシルバーを意識したマッチの良いカラーリング。そしてTessarの端正な写りは相性がいいだろうと思ったからです。『K&F マウントアダプター C/Y-NEX』を使用することで叶ったこの組み合わせ。作例を是非ご覧ください。
「鷹の目」と呼ばれるほどシャープな写りに定評のあるテッサー。歴史と品格あるフォード マスタングの、ハンドル中央部の装飾をキリリと写しました。アメリカ車らしい大きく重そうなステアリング、運転の愉しみもさぞ大きいのだろうと想像してしまいます。
ミニカーが整然と並んでいる所に着目。ググっと寄って、一台にフォーカスしました。『CONTAX Tessar T*45mm F2.8 MM 100Jahre』が結ぶ玉ボケは実に美しく、画を華やいでくれました。ピント部分、特にホイールの造形などがしっかり描写されていて素晴らしい。そして、ミニカーの緻密な造りにも驚かされます。
とある建造物の一部分を切り撮ってみました。筆者は数々のイベントでこの場所を何度も訪れていますが、いざ写真に撮ろうと思うとなかなか難しいものです。今回はレンズが標準域の単焦点ということで尖角をモノクロで強調してみました。色々と催事が中止になってしまっている昨今、また賑やかになった頃に伺いたいものです。
『α7C』の手振れ補正の性能を試したく、手持ちで一秒の長秒露光に挑戦してみました。武骨な鉄橋の下の道路ですが、車が生み出すレーザービームが明るく照らし出してくれました。気軽なスナップ撮影でも、手振れ補正がしっかり効くと像が安定してクリアな写りを楽しめます。
東京駅の駅舎を夜景で収めるのがとても好きで、今回も撮影して参りました。レトロな中央停車場の雰囲気と、まるで真逆なバックにそびえる高層ビル群の近未来感。F8まで絞ることでディティールを細部まで再現出来ています。明かりの数だけここに息付いている人がいる、いろいろな歴史を感じるお気に入りのスポットです。
撮影者のアイディア次第で様々に可能性の広がる素晴らしい一台『α7C』。そんなボディに似合うレンズを、と吟味した『CONTAX Tessar T*45mm F2.8 MM 100Jahre』でしたが、まずその堅実な写りとコントラストの効いた色味がとても気に入りました。Carl Zeiss社のテッサーレンズ誕生100周年記念に限定生産された本レンズ。撮影の「軽快さ」と「丁寧さ」という相反する要素を両立させてくれた今回の組み合わせに、何か奇跡めいたものを感じてしまいました。日頃持ち歩きたくなるカメラとして、これ以上ないと思わせるコンパクトさと構えた時のルックスの良さ。是非、一度お試しいただきたい組み合わせです。
Photo by MAP CAMERA Staff