いつの世も、人はロマンを追い求めてしまうもの。誰しも一度は「最高のボディに最高のレンズを組み合わせたら、どんな写真が撮れるのだろうか」という想像をしたことがあるのではないでしょうか。最高の基準や観点は人それぞれ。という事で、今回は私が今までに撮影を行った中で素晴らしい描写を見せてくれたボディとレンズを組み合わせてみることにしました。
まず選んだのは『Leica SL2』です。4700万画素という驚異的な画素数のフルサイズセンサーを搭載し、伝統的なライカの味わいと合わせてより高次元な表現を可能にするミラーレス機です。そして、相棒に選んだのは『Carl Zeiss Otus 55mm F1.4』。カールツァイスが最高の光学性能を追求して設計した、一眼レフ用の大口径単焦点です。かなりずっしりと重量があり、レンズが「ガラスの塊」であることを実感できます。どちらもお気に入りのカメラとレンズですが、組み合わせて使うことは今まで考えませんでした。ちょっとした冒険のつもりで出掛けた撮影、その写真をご覧ください。
『Carl Zeiss Otus 55mm F1.4』の素晴らしさはやはりシャープなピント面ととろけるボケ味の両立。ことボケ味に関しては、前ボケからピント面、そして後ボケへと流れるような表現力がたまりません。ピントは細かな枝葉の先端に合わせ、より鮮明に見せるように若干絞りました。『Leica SL2』の視認性の高いEVFのおかげでマニュアルフォーカスに苦労することもありません。
気温は低いものの、昼間の差すような日光には気を付けなくてはなりません。暖かいからと日向で撮影を続けていると少々疲労が。一息入れようと見つけたベンチには、カラフルな屋根がついていました。三角形を組み合わせた暖色の模様が、雲一つない空との面白い比較になっていて思わず一枚。
生い茂った木々に囲まれた公園。冬らしい濃い影が落ちていますが、その中に目をやるとわずかな日に照らされた野草を発見しました。その様は、まるでステージでスポットライトを浴びるアーティストのようです。自分が感じたそのままを写真に閉じ込めるべく、露出設定はややアンダーに。
外が寒い季節は、相対的に店内の室温が高い傾向にあります。お食事をいただいた後、ややぽかぽかとした気持ちを収めるべく季節のデザートをいただきます。少し明るさが欲しい場面でも、開放F1.4の大口径に助けられ難なく撮影することが出来ました。
ミラーレスカメラの興隆により、ボディもレンズもコンパクトでよく写るものが出そろってきています。しかし、時に写真を見返していると「あのレンズの描写ってやっぱり特別なんだな」と感じる時があって、今回の『Carl Zeiss Otus 55mm F1.4』はまさにそんな一本。大きくて、重量もあって、MFでしかピントが合わない。利便性で考えればいくらでもほかの選択肢が思い浮かびますが、結局このレンズに帰ってきたくなる。オンリーワンの存在であるという事の価値を感じました。そんなOtusの性能を十二分に引き出してくれた『Leica SL2』の大きな懐にも感服です。高画素機の余裕ある画作りと階調表現がツァイスの魅力を底上げしてくれました。
「最高の組み合わせ」を求めて行った今回の撮影。何気なく撮った一枚にこれほど気持ちを載せられるのか…と改めて双方の魅力を再確認出来ました。これで探求は終了、という訳にはいきません。なぜなら、ボディとレンズの化学反応がこんなに面白いということを知れたのですから。これからも魅力の深堀りを続けるMap × Mountadapterを是非お楽しみください。
Photo by MAP CAMERA Staff