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SONY α7II × MINOLTA AF 85mm F1.4G (D) Limited

2015年12月31日

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/5000秒 / IS0:100

SONY-E BODY × MINOLTA-A LENS

ボディ:SONY α7II

マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3

レンズ:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited

『αシリーズとGレンズ』と言ったら今や高性能なソニー製カメラ・レンズというイメージだが、フィルム全盛期からカメラに親しんでいる方なら「ミノルタだろ」と思う方も多いはず。かつて日本の光学機器メーカーとしてはコニカに次いで2番目の古い歴史を持つ『ミノルタ』であったが、2006年にカメラ事業から撤退。現在ソニーが「α」を継承し、同マウント準拠のデジタル一眼レフカメラや新たなマウントのミラーレス機を発売している。今回ご紹介する機材はソニーとミノルタのαの歴史をマウントアダプターで繋いだような組み合わせなのだが、その装着したミノルタレンズが只者ではない。『AF 85mm F1.4G (D) Limited』、このレンズを知っている方なら「お!」と思ったことだろう。ミノルタレンズファンから『伝説のレンズ』『究極のポートレートレンズ』など呼ばれた一本なのだ。

2002年に限定700本で発売されたプレミアムレンズなのだが、その誕生はそこから15年前までさかのぼる。ミノルタが85mmF1.4単焦点レンズをリニューアルする際、最終的に光学の違う2本(案)のレンズのどちらかを採用することになった。1本目はサイズ・重量バランスも良く、描写も高いレベルで満たしているレンズ、2本目は大きく重いデメリットはあるが描写性能が抜きん出ているレンズ。結果は1本目の案が採用され、後に『AF 85mm F1.4G』として製品化されることになるのだが、描写性能だけに重点を置いた2本目の案はそのままお蔵入りとなってしまう。

日の目をみることなく関係者の間だけで語られていた2本目の『伝説のレンズ』、それが15年後に限定レンズという形で発売されたのがこの『AF 85mm F1.4G (D) Limited』なのである。レンズ構成は非球面レンズを使用していない6群7枚のガウスタイプで実にオーソドックスな構成をしているのだが、驚くのはその描写力だ。球面収差を徹底的に小さくした設計は後ボケに2線ボケが発生せず、大口径レンズながら開放での描写が驚くほどシャープなのである。「開放でもっとも良い描写をするレンズ」というコンセプトで作られたレンズだとは聞いていたが、1980年代に設計された非球面レンズを使用していない大口径レンズで開放からこれほど写るレンズは初めての体験だ。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/8000秒 / IS0:400

今回の試写で使用したアダプターは本レンズがAF対応する『LA-EA4』ではなく『LA-EA3』を使用。本レンズの場合だと『LA-EA3』ではマニュアルフォーカスでのみ撮影が可能だ。α7IIはマニュアルフォーカスでもピーキング機能や拡大表示ができるので本レンズのシビアなピント合わせも正確に行うことができる。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/8000秒 / IS0:400

トンネルの中でカメラを構える女性をシルエットだけ写るように外の光に露出を合わせて撮影。絞り開放でのボケ味はじわりと少し滲むように溶けるボケ味だ。コントラストも高く紅葉の色も美しく表してくれる。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/30秒 / IS0:400

トンネル内部をF1.4で撮影。いまでこそF値の明るい大口径レンズでボケ味を生かした撮影が当たり前になったが、低感度フィルムが主流の時代では大口径レンズは『ハイスピードレンズ』と呼ばれ、暗所での撮影や高速シャッターを活かせる手段として用いられてきた。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/400秒 / IS0:200

被写体に近づけば本レンズのボケ味を存分に味わうことができる。また、9枚羽の円形絞りを採用している為、絞ってもボケ味が美しいのが特徴だ。当時のAFレンズで円形絞りを採用しているレンズは非常に少なかったと記憶している。『MINOLTA AF 85mm F1.4G (D) Limited』はレンズそのもの描写に加え、ボケ味にもとことんこだわった1本だ。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF5.6 / シャッタースピード:1/320秒 / IS0:200

開放での描写やボケ味ばかり取り沙汰されてあまり語られていないが、絞った時の描写も素晴らしく良い。F5.6で撮影した細い枝振りや洋館の屋根瓦を写した解像力に驚いてしまった。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/50秒 / IS0:400

非球面と十数枚の光学ガラスで構成された近年の単焦点レンズとは違い、球面レンズ7枚で構成された大口径レンズで絞り開放からここまで写るレンズは見たことがない。相当突き詰めた設計とチューニングの末に完成したレンズなのだろう。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/800秒 / IS0:400

暗くなった景色に浮かび上がるような紅葉の木。印象的なシーンを本レンズは美しく切り取ってくれた。

ボディ:SONY α7II / レンズ:SONY:MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited/ マウントアダプター:SONY マウントアダプター LA-EA3絞りF1.4 / シャッタースピード:1/80秒 / IS0:200

大口径の絞り開放だからこそできる写真表現がある。何気ない情景でもスポットライトを当てた様な写り味は写真に物語と余韻をもたらしてくれる。

伝説・究極・最高などの形容詞を付けられているレンズは多く存在するが、『MINOLTA AF 85mm F1.4G (D) Limited』はその言葉に偽りのない超高性能なレンズであった。今やミノルタレンズの名を聞くことも少なくなったが、その写りは設計から30年近く経つ今でも色褪せることなく極上の描写を見せてくれる。なぜミノルタがここまでのレンズを。。。と思ったが、よく考えて見ると過去にライカと共にカメラ・レンズを製作し、ソニーにαが継承されてからはZeissレンズを製作しているのだ。基となるミノルタのレンズ技術は相当高いものだったに違いない。誰でも手が出せる価格のレンズではないが、技術者の魂を感じるこの1本は日本のカメラレンズ史に名を刻む銘玉と言えるであろう。

Photo By MAP CAMERA Staff

SONY α7II  マウントアダプター MINOLTA (ミノルタ) AF 85mm F1.4G (D) Limited

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