SONY-E BODY × Nikon-S LENS
ボディ:SONY α7II
マウントアダプター:Voigtlander SC E-mount Adapter
レンズ:Nikon NIKKOR-N(S) 50mm F1.1
今回マウントアダプターで使用するレンズは1956年2月に発売された『Nikon NIKKOR-N 5cm F1.1 』です。
ノクトニッコールの源流となったと言われるガウスタイプの超大口径F1.1レンズは、未だ破られていないニコン史上最高の明るさを誇る伝説のレンズです。
現在のFマウントカメラが発売される前の、Sシリーズと呼ばれるレンジファインダー機用のレンズは他のカメラとの互換性が乏しく、なかなかデジタルカメラで撮影する機会に恵まれませんでしたが、フルサイズミラーレス機の登場とマウントアダプターの充実で、ようやく撮影の機会を得ました。
さっそくその描写をご覧いただきましょう。
さすがF1.1と言った感じのとても柔らかな描写です。一方でピント面の部分には、細かな模様や質感を伝えるしっかりとした解像力がありました。
ビルの谷間からスポットライトの様に差し込む強い日差しによって、部分的にハレーションが起きた様な独特な画を見せてくれました。
柔らかなトーンが印象的で、オールドレンズらしさを堪能できます。
F5.6まで絞ると、最新レンズと遜色のないシャープな描写となりました。色再現性も高く明暗差の中でもしっかり被写体の特徴を伝えています。
遠景の描写も良好です。ガラス越しでの撮影ですが、カメラの高画素感も感じられるクリアーな描写です。
最短撮影ではF1.1の大きなボケ味がさらに強力に。招き猫を縁取った二線ボケがさらに柔らかくなった事で、まるで輝いているかのような画になりました。
これもまた特徴的。渦を巻いた様な不思議なボケ味です。ボケの出方次第で様々な要素が見えてきます。
ボケの使い方を考えさせられる、使いこなしがいのあるレンズです。
周辺光量落ちは本レンズの宿命的なものですが、想像よりよく抑えられています。
カメラ側での補正も可能ですが、周辺落ちを上手く使う事によって、被写体の重厚感をより演出する楽しさもあります。
柔らかい描写が、スタンドの明かりを受けて更に柔らかくなりました。ソフトフィルター効果に似た一面も持っている様です。
想像以上のクセ玉ぶりに手を焼きましたが、シーン毎に見せる様々な表現の違いに新たな発見があり、楽しむことができました。
そしてなにより外観がカッコイイ!大口径レンズの迫力を感じさせる大きな前玉が「α7」のサイズにベストマッチで、このフェイスを見たとき思わずにやけてしまいました。
総生産数約3000本と言われている希少レンズは、多少値が張りますが格好良くて撮る楽しみもあるとくれば、何としてでも手に入れたくなる1本です。
Photo By MAP CAMERA Staff