【マップカメラ鉄道倶楽部RailMap】東海道山陽新幹線のカウントダウン
昨年、N700系のデビューを紹介した時にも触れましたが、いよいよ今年末をもって東海道新幹線(東京〜新大阪)
から500系の運用が無くなることが決まりました。
500系は、山陽新幹線(新大阪~博多)の速達性を上げるため、1997年から運用を開始したJR西日本の車両で、
営業最高速度300km/hで日本最速の新幹線として話題になり、また近未来的なデザインで多くの鉄道ファンに
愛され続けていました。
しかし空気抵抗対策から生まれた長いロングノーズは、デザインを強く意識した影響もあり、必要以上に長く
なった為、先頭車の客室部が他の形の車両と比べて狭くなるという弊害を生んでしまいました。
他の車両と座席数が異なると緊急時等の車両変更で、事前予約の席が確保できなくなるなどの問題を生じる為、
ドアの数を減らすなどして座席数を確保したのですが、逆に乗降に時間がかかってダイヤ遅れを生む要因となって
しまいました。
700系をはじめとする他の車両には運転席脇にも乗降口がある(写真左)のに対し、500系には乗務員室用の扉
しかありません。(写真右)
東海道区間ではピーク時、3分間隔でダイヤが組まれているので、わずかな遅れも許されません。
その後、速度面や車両構造面の問題を解決したN700系の登場で、500系は徐々に運用本数を減らしていき、
現在では定期運用で東京駅まで乗り入れて来るのは、お昼の1往復と夜中に東京へ着て、翌朝博多に帰って行く
計2往復のみとなってしまいました。
めっきりその姿を見なくなってしまった500系ですが、帰省シーズンを迎えた今の時期だけ、臨時列車として
普段より多く東京へ姿を見せています。
せっかくの機会なので東京駅まで貴重な500系を見に行ってきました。
東京駅18番線に入線する臨時の500系。
日中に下り線をまたいで入線する500系を見るのもレアな光景になってしまいました。
この日は一瞬だけ横並びに停まる500系を見ることができました。
奥(15番線)に臨時の500系が入線すると、すぐに手前(16番線)から定期の500系が出発します。
東京駅に停まる500系には今でも多くの人が記念写真を撮るために集まってきます。
グレーの車体に明るめの青いラインと濃いグレーのラインが入った落ち着いたカラーリングは、他の車両より
グレードが高いイメージを受けます。
運用本数が多いと、場所を変えて撮影する事ができるので、ちょっと得をした気分になります。
有楽町駅前の交通会館のテラスから
新しい東京駅の顔「東京国際フォーラム」の前を走るのもあとわずか。
浜松町駅を通過する500系(写真左)。
浜松町は羽田空港へアクセスする東京モノレールの起点駅。ライバルの飛行機を利用する人を横目に走り抜けます。
東海道区間への直通運用から外れた500系は、山陽区間専用として今後8両編成に改造(現在は16両編成)されます。
せっかくなので浜松町駅隣接の世界貿易センタービルの上から、16両フル編成の姿も押さえておくことにしました
(写真右:写真拡大できます)。
高さ152mの展望台から見下ろしても、16両フル編成の新幹線はしっかり存在感を出しています。
新幹線の右側に建つ高層ビル群は「汐留シオサイト」。
500系の登場から10年ちょっとの間に日本鉄道の発祥の地、旧汐留貨物ターミナルも大きく変わってしまいました。
デザインを優先したがゆえに早々に第一線から外れてしまう500系を見ていると、機能性とかっこよさの両立の
難しさを改めて感じました。
またこれに伴って、未だ山陽区間で現役だった初代新幹線0系が、500系の投入をもって姿を消すことになります。
日本が世界に誇った新幹線の原型車両も無くなってしまうとは、寂しい限りです。
東海道の500系、山陽の0系、新幹線のカウントダウンが始まってしまいました。
使用機材:Nikon D300
TAMRON AF17-50mmF2.8XR Di II
TAMRON AF200-400mmF5.6LD