ニコン「Nikon 1 AW1」は、同シリーズの「Nikon 1 J3」をベースに、水深15mの防水性能と2mの落下に耐える耐衝撃性能を持たせたタフなデジカメだ。電池蓋部分やHDMI・USB端子部分には2段階式のロック構造と防水パッキンで構成され、気密性を確保している。
レンズマウント部分は少し張り出す独特の形状となった。防水に対応したAW1専用のレンズの背面がレンズマウントを覆うように装着され、レンズの背面と重なった部分と本体のOリングによって気密性を上げている。レンズマウントだけではなくレンズ全体で本体を支えることで、耐衝撃性能を向上しているのだろう。さらに、このレンズはズーム全域で全長が変わらない方式となったこともレンズの耐衝撃性を向上させる役割を果たしているのだろう。
防水や耐衝撃性能はダイバーやスキーなどの特殊用途向けではなく、普段使うにあたってメリットとなることが大きい。落下や水濡れは生活のなかで十分起こりうる事故だ。旅行先で落としてカメラが使えなるより、多少のキズはついても撮影し続けることができることが大きい。
コンパクトさが強みであるNikon 1シリーズなのでこれだけの複雑な構造をしているにもかかわらず、高性能コンパクトデジタルカメラ程度のサイズに収まっている。そしてメタリックシルバーの金属感はこれまでのNikon 1シリーズになかった質感で、カメラとしての魅力も十分兼ね備えている。
水中や厚手の雪山でのグローブをして撮影することを想定して、様々な工夫が凝らされている。防水性能を確保するためなのか、これまであったくるくる回転させて項目を選べる「ロータリーマルチセレクター」が廃止された。代わりに「アクションボタン」が追加された。このアクションとボタンを押しながら本機を傾けるとその方向へカーソルが移動する仕組みだ。撮影モードの切り替えや再生時の画像選択などに使用可能だ。
さらに、撮影時に使わないボタンをロック登録することで、不意に押されても反応しないよう設定できる。設定が変わってしまうようなことがなくなるため、ミスが許されない撮影や小さい子どもが本機を操作する際など応用がきく。防水や耐衝撃性能を含め、使う人のアイディア次第でより便利に使えるのだ。
Nikon 1シリーズ初となるGPS機能や電子水準器が搭載された。GPSと電子コンパスによって現在と向きの確認ができるほか、高度も撮影情報に記録可能だ。また、トレッキングで便利なGPSロガー機能も搭載されている。電子水準器は撮影中の画面に表示可能で、これまでの格子表示との併用で水平がしっかりと取れた写真撮影が可能なのが嬉しい。
Nikonn 1 AW1は、高速AFとAF連動秒間15コマの連写など他にはないサクサク動作のデジカメに、防水・耐衝撃性能をあわせた本格的なレンズ交換式カメラだ。オールウェザーのネーミングからアウトドア向けのカメラのような印象を受けるが、日常生活に密着した長く使っていけるデジタルカメラであると感じた。
Photo by MAP CAMERA Staff