誰も作らなかったカメラ、フルサイズミラーレス一眼「SONY α7R / α7」がデビューしたのが2013年11月。それから僅か7ヶ月で新製品の発売とは、SONYの開発力と早さにつくづく驚かされます。
今回デビューした『α7S』は、先行モデルの「α7R/α7」の使いやすいベースをそのままに、高感度性能がさらに強化されたモデルです。
イメージセンサーの画像ピッチを拡散させ、1画素あたりの集光率を大幅に拡大したという新型CMOSセンサーを搭載したとの事。
スカイツリーの光が織りなすグラデーションがとても綺麗に表現されています。
ISO12800とは思えない綺麗な描写に、高感度耐性が格段に向上しているのが瞬時に分かりました。
高感度に強くなった分、画素数が1220万画素に抑えられています。最新機種の大半が2000万画素越えをしてくる昨今、画質の見劣りを心配しましたが十分綺麗です。
質感描写もしっかりしており、必要以上に画像を拡大しなければ他のモデルと遜色ありません。
そしてなによりレンズの特性を上手に受け止めており、レンズのボケがさらに柔らかく美しくなった様に感じます。
少し引いた撮影でも、細かい凹凸までしっかり捉えています。
さすがにトリミングに耐えるかという面では疑問符が付きますが、画面全体で勝負するのであれば、画像データ容量も考えてバランスの良い画素数と思えます。
画面全体での構図をしっかり考えて撮れば、写真技術も向上しそう。そんな気分にさせてくれるカメラです。
ISO51200での撮影では若干のザラツキが見えてきましたが、嫌な色被りもなく、フィルムカメラに似た程よい粒子感と言えるでしょう。
「α7R / α7」の常用感度〜ISO25600を軽々とクリアしたあたりに本機のコンセプトが明確に見えてきます。
何気なく撮った1枚を後で確認してビックリ。本当にISO 16000かと何度も見直しました。
あまりにクリアーな画質に、今まで培ってきた感度の概念がすべて覆されました。
柔らかい木漏れ日も上手に拾ってくれる優しい描写は、昼夜に問わず活躍してくれます。
さて、本機の特徴としてもう一つ忘れていけないのが4K出力に対応した動画機能です。
静止画からも低照度下でも綺麗な動画撮影ができるのは容易に想像できます。
今回は夜の東京駅で撮影にトライしました。 列車の強烈なヘッドライト、ホームの照明などいろんな光が回る中、常に安定した明るさである事に静止画と変わらない素晴らしい安定感です。
またフレームレート60pのおかげで、加速する列車のスピードにもしっかり対応。とても滑らかで動きを確認することができました。
4K動画は専用機材が必要なため確認できませんでしたが、フルHDの撮影でもノイズの少なさが分かる綺麗な動画です。
画素数を減らした事により画質の低下を心配しましたが、光をより上手に扱う事で見事にカバー。むしろ優しい描写を好まれる方には待望の1台かもしれません。
今までは画素数が多いと上位機というイメージでしたが、「α7」3兄弟には全く当てはまりません。
画素数の進化だけが画質を向上させるのではない。改めてデジタルカメラの奥深さを感じました。
Photo by MAP CAMERA Staff