今回ご紹介するレンズはCP+2015で参考出品されていた『SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS』です。 カメラ好きの皆さんはこの“G”の文字に反応したのではないでしょうか。ミノルタ時代から続く高性能レンズのみに与えられる“G”の称号は、ZEISS銘と共にソニーのレンズブランドを支える2本の柱の1つと言っていいでしょう。しかも今回はFEマウント初のマクロレンズです。このジャンルは各メーカーの個性やこだわりが見えやすいですからね、どのような描写を見せてくれるか楽しみです。
まず一枚目のカットから。ラベンダーの花へ蜜を吸いに来たミツバチを撮りました。はじめはF2.8で撮影していたのですが、被写界深度が浅すぎて動き回るミツバチをうまく捉えられず、F4で何とか撮ることができました。描写はさすがGレンズ、フォーカス部の解像力が非常に高いのがわかります。しかしながら線に角があるような硬い印象はなく、ボケ味も含め全体的に滑らかな絵作りはミノルタレンズの写りを思わせる美しさです。
絞り開放だと被写界深度が想像より浅く、周りを深いボケ味が包み込みます。しかしながら手ぶれ補正が良く効くおかげで、静物に関しては一度合わせたピントを外さず安定した姿勢で撮影することができました。
絞りF5.6でも近接では柔らかい印象です。そして繊細な光もしっかりと捉え、美しい写真にすることのできるレンズです。
マクロ撮影ではマニュアルフォーカスを使用するケースが多いと思います。そんな時でも本レンズはピントリングを手前にカチッと引くだけでAF/MFの切り替えがすぐできますから、ファインダーから目を離すことなく感覚で操作が可能なレンズです。
3mくらい離れた被写体をF2.8で撮影。フォーカス部はクリアに解像し、滑らかなボケが被写体の存在感を一層引き立てます。中望遠マクロレンズをポートレートレンズとして使用する方も多いと思いますが、『SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS』の質感重視で硬くなりすぎない絵作りはポートレート撮影に非常に向いている描写だと思いました。
F5.6でも無限遠域だと近接時とは印象の違う描写ですね。硬質な被写体は細い線まで非常にシャープに写し出してくれます。
『SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS』は被写体の持つ美しさを引き出してくれる素晴らしいレンズでした。シャープに解像しながらも全体的にしっとりとまとまる絵作りはいかにもGレンズらしい上質な写り味です。操作感も良く出来ていて、AFも静かで素早く正確、MFのタッチも絶妙でピントの微調整にもしっかりと応えてくれます。またα7sでしたら4K動画を使ったムービー撮影もできるので、高精細なマクロの世界を映像作品として表現することも可能でしょう。
『SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS』は描写・作り込み共に「さすが」と思わせる完成度のレンズでした。マクロレンズとしてだけでなく、優秀な中望遠レンズとしてもオススメのできる1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff