標準レンズの中でも最高レベルの描写…そう言って過言ではないレンズでしょう。『Summicron 50mm/f2』第4世代モデル。発売当初も「非球面レンズ採用の必要を感じさせない」とすら言われたほどのハイパフォーマンス・レンズ。絞り開放、逆光でも実にコントラストが高く、彩度も高い。解像力も高いのですが神経質な感じではなく、立体感とトーンの出方も実に良い感じです。
開放F2と言えど、しっかり見るとそのピントは実に狭いもの。重厚な金属の存在感を、その重さまで伝えてくれる様です。
ライカは標準50mmレンズでもノクチルックスf0.95、ズミルックスf1.4、ズミクロンf2.0、ズマリットf2.5と様々なバリエーションを揃える希有なメーカーですが、それぞれに個性がしっかりと存在しているのも特筆のもの。華やかなスペックではないながら実直に、安定感を持って高いパフォーマンスを発揮してくれるズミクロンは、ライカ標準レンズの雄として恥じない1本でしょう。
最短・開放・真逆光というレンズにとって嫌がらせの様なシチュエーションですが、葉の葉脈の1本1本、芽の細かな葉の重なりまでしっかりとコントラストを保って描写しています。色再現も美しく、透明感のある描写は美しいものです。
初代ズミクロンでも金属やガラスなどの描写は実に美しいものでしたが、第4世代ズミクロンでもその相性の良さは健在の様です。鉄材への複雑な光の反射、アスファルトの照り返し、様々にミックスされた光を捉え、それぞれの存在感をしっかりと描き出しています。少々ハードめで、シリアスなシチュエーションにも良くマッチするレンズ。モノクロフィルムでのプリントにも活躍してくれる1本です。
これまでは外着けでのフード装着でしたが、本モデルから組み込み式のフードに変更。想像以上に肉厚な金属製でしっかりとした造りで外観は変わりましたが、取り回しの良さは増した様に思います。このレンズ1本で撮影なども良いですね。その使い勝手の良さ、高い描写力でどんなシチュエーションでも期待に応えてくれるはずです。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.