その高い描写性能から、プロ御用達レンズとして愛され続けてきた「Canon EF24-70mm F2.8L USM」が約10年ぶりにリニューアルし生まれ変わりました。旧モデルも優れた性能だったことから、より高画質を実現したという触れ込みに否応なしに期待が膨らみます。
実際に撮影した画像を見れば納得の高画質です。最高画質機の”EOS 5D Mark III”を使用したこともありますが、花の蘂までしっかり描写する驚きの解像力と奥行きを感じる柔らかいボケ味はさすが最新大口径レンズという感じです。
このモデルチェンジで一番驚いたのは小型軽量化されたその大きさです。13群16枚から13群18枚とレンズ枚数が増えたにも関わらず約15%の軽量化を実現。機材を持ち運ぶにあたっては、やはり軽いに超したことはありません。軽量ボディのフルサイズ機の登場を控えていることもあり、この軽量化は大きな魅力です。
細かい彫刻と木の質感を手前から奥まで実に美しく再現しています。広角側でも枠の直線が真っ直ぐで、画面周辺の収差を改善し画面全域での大幅な画質向上を実現したというのが実感できます。
太陽を入れた意地悪な撮影でも、フレアの発生が良く抑えられている事が分かります。それ以上に驚いたのが逆光にも関わらず、花の色や葉の細かい模様までしっかり描写している事。厳しい条件下でも安定した撮影ができる頼もしさも向上したように感じました。
フードの装着場所もレンズ先端に異動した事で、コンパクトなフードになりました。今までは深さ8cmの大きなフードで、PLフィルターなどの操作に悩まされていましたがこれも解決。使いづらいと感じていた部分を1つ1つ潰していった様な細かい配慮も見られるモデルチェンジです。
雲の隙間から差す僅かな光のトーンから石畳の強烈な反射まで明暗のコントラストが実に美しく、入射した光を上手くコントロールしているのが分かります。低感度から高感度まで光の感度を自在に操られるようになったデジタル時代に相応しい進化ではないでしょうか。
前モデルの性能が高かったために外観以外の変化を感じづらい印象でしたが、口径の大きさや絞りバネの枚数など細かいスペックの変化によって確かに 描写性能は向上していました。防塵防滴の耐久性の向上に加え、逆光など撮りづらいシーンも安心して使える光学性能は、とても信頼がおけます。 軽量化され持ち運びやすくなったレンズは、その性能の高さから他のレンズの出番をも奪ってしまうのではと心配したくなる頼もしいレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff
使用機材:Canon EOS 5D Mark III +EF24-70mm F2.8L II USM