『SIGMA DP1 Merrill』。APS-Cサイズの4,600万画素Foveon X3 Merrillセンサーを搭載するハイクラスコンパクト『DP2 Merrill』の兄弟機として開発され、35mm判換算で28mm相当のレンズを搭載する広角モデルです。ボディとセットでレンズをチューンされた『DP1 Merrill』では更に素晴しい描写をしてくれるものと思っていましたが、実写してみるとその期待以上の画を描き出してくれました。屈折率の高いガラスのつややかな表面、複雑に内面反射する光の輝きと強いシャープネス。色再現も実に深みが有り、さすがはFoveon、そう言いたくなる実に重厚な描写です。
金属表面の滑らかさやシャープネス、そして立体感等の表現は実に素晴しいものです。
こういった強烈にカラフルな中にも、色飛びせず様々な色を描き分けてくれるのはさすがDPシリーズ。現像段階で彩度を調整しても不自然になりにくく、「素直に光を捉え、豊かに表現する」というコンセプトで作り上げられた『DP1 Merrill』はこうしたシチュエーションでもその力を遺憾なく発揮してくれます。
水面の艶やかなトーン、複雑な光の反射が織りなす色合い。思わずため息が出てしまいます。少しアンダーに振っても潰れてしまう事が無く、影の中にも存在を暗示する様な品位の高い明暗表現は実に魅力的です。
35mm判換算で40mmと28mmの違いですが、描き出す空気感は大きく違います。『DP1 Merrill』の方がやはり大きく広がりのある画角で、細部にわたって緻密な描写と相まって強い迫力を持った画作りが可能です。ストリートスナップで愛用されてきた画角だけあり街中を撮影するにも使いやすく、手ぶれに対する許容度も大きい事から積極的に撮影に打ち込んでも素晴しい仕上がりを得る事が可能です。
今回は港湾部で撮影を行いましたが、夕日に照らされた古い建造物の質感も『DP1 Merrill』はしっかりと捉えてくれました。機材の描写が十二分に信頼できれば、安心して撮影に集中することが可能です。じっくりと被写体や光を見ながら撮影し、現像段階でしっかりと意図を汲んだ形に仕上げる。今回もプリントをマップカメラ2号店 3階に掲示しましたが、その描写の素晴しさはプリントに至るまで変わらないもの。展示等を考えた撮影でも十二分なクォリティを発揮してくれます。
ビル群の光の反射や夕暮れの深みの有る色彩等、しっかりと捉えてくれました。
少し商品撮影の様な雰囲気ですが、複雑な光源の色をとても美しく再現。これが仰々しい機材ではなく、手のひらサイズの1台のスナップから生み出される事に驚きを禁じ得ません。
シンプルすぎるくらい、いっさいの装飾を排したデザインです。ボディ外観では『DP2 Merrill』とほとんど区別はつかないでしょう。このシンプルさに驚愕の高画質。撮影し、それをPCで見た時。そして大判プリントで出力した時、その画質に驚かれるはずです。『DP1 Merrill』、突出した個性を持つハイエンド・コンパクトです。
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Photo by MAP CAMERA Staff