現在ニコンから発売されている大口径F1.4の単焦点レンズのラインアップは24mm、35mm、50mm、85mmの4種類。その中でも「AF-S 24mm F1.4G ED」は最も高価で高嶺の花的な存在です。一方で、同じくニコンから同価格帯でリリースされている「AF-S 14-24mm F2.8G ED」の評判が高いとなれば、使用する機会が少ないのも仕方なく感じます。
でもそれは単なる食わず嫌いでした。一度このレンズを使用してみると感じる贅沢で優れた描写。その実力を少しでも感じて頂けばと思います。
広角レンズと言えば、被写界深度が深く隅々までシャープに写るイメージが強いですが、大口径F1.4と最短撮影距離0.25mが可能にする近距離撮影から生まれるボケは想像を遙かに超えていました。出力された画のピント面は驚くほど薄く、とても24mmのレンズとは思えません。
それでいて、奥行きを生み出す大きな綺麗なボケは広い画角の中で、被写体をしっかり際立たせてくれます。
被写体に寄ってその質感を存分に引き出しながら、周辺景色もはみ出すことなく納める広い画角はマイクロレンズとは違う贅沢な質感描写を可能とします。
水の滴が落ちる瞬間の静けさと清涼感。まさにその場所の空気感をしっかり伝えてくれます。
1つ上のウエットな空気感とは逆に、柔らかい日差しが差し込む窓の画は、磨りガラス越しに感じる光の暖かさと机の上に並べられた植物の質感をしっかり伝えています。
広い画角では強い日差しがダイレクトに入ることもしばしば。それでもゴースト、フレアーの少ないクリアーな画像と、暗部の凹凸や細い枝の細部までしっかり描写するあたりはさすがナノクリスタルコートです。
薄暗い場所での撮影でも感度を上げることなく快適に撮れるのは、さすがF1.4の大口径ならではです。
遠景での写真では、さすが広角単焦点レンズと思わせる歪みのない綺麗な描写です。
今回は贅沢にニコンの両フラッグシップ機D4とD800の2機種を使って撮影しました。
解像力の高いD800との組み合わせでは、高い解像力を再認識させられ、カメラの性能を最大限に引き出しているように感じます。
少し上を見上げれば、広角レンズならではのパースによる効果で迫力の写真も。
作品のイメージに合わせて、いろんな応用が可能です。
広角レンズならではの楽しみに加え、高い解像力と美しいボケ味を手に入れた贅沢なレンズは、使えば使うほどにその魅力に魅入られてしまう魔性のレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff