ニコンからDXフォーマット用の高倍率ズームレンズ「AF-S DX 18-140mm F3.5-5.6G ED VR」が発売されました。
DXフォーマットで標準域をカバーするズームレンズはすでに7本が現行品としてラインアップされており、次から次へと登場する製品にどのレンズがよいのか選択に悩むところ。はたして8本目となる本レンズはどのようなものなのか?早速撮影に出掛けてきました。
カメラはDXフォーマットの最高画質機「D7100」を使用。ファーストカットからローパスフィルターレスによる高い鮮鋭感を損なわない美しい描写に驚きます。
一部のレンズではD7100の高い解像力を活かしきれていないと言われることもありますが、本レンズではそんな心配は無用。さすが最新レンズと思わせるシャープで切れのある画質です。水が流れ出す竹の質感、水面の波紋や映り込む草花。どれも美しいトーンに感動です。
望遠140mmで最短45cmの接写が可能なレンズはマクロ的な撮影にも便利です。
花びらのウエットな質感はもちろん、細かい花粉の粒も見逃さない高い解像感に加え、ボケも美しいのですから申し分ありません。
カメラ側のAF性能を存分に引き出すため望遠側での開放F値5.6を確保。早くはありませんが狙った場所に迷わずすぐに合焦します。
なによりうれしいのはこのスペックで490gという軽量サイズに収まっていること。小型のDX機とのバランスもよく長時間持ち歩いていても苦になりません。
広角寄りの撮影でも目立つ湾曲は見られません。ズーム全域で安定した描写は他のレンズと比較する上で大きなアドバンテージです。
とっさのシーンでISO値などの設定変更が間に合わない場合でも、スローシャッターをカバーしてくれる手ブレ補正は大きな魅力です。
約4段分の優れた手ブレ補正機能は本当に強力です。さすがにピタリとはいきませんでしたが、35mm換算で210mm相当の1/10秒でもこれだけカバーしてくれれば十分です。
市場内をゆっくり走る小型の運搬機の動きに生じた被写体ブレと比較すれば、その効果がご理解いただけると思います。
頭を木にこすりつける野良猫。焦点距離に余裕のある高倍率ズームなら警戒されることなく撮影を楽しむことができます。
何より驚くのは離れた位置からでも、毛並みの一本一本が確認できること。本当に高い描写力です。
暗いシーンでもテーブルのマットな質感表現や奥行きあるボケ味に加え、光の美しいトーン再現は素晴らしいの一言です。
強い光の差し込む盛夏のワンシーンに気持ちオーバーめの写真になりましたが、コントラストのバランスが壊れることはなくクリアーな描写力をみせてくれました。
ナノクリスタルコートではないものも、高い透明感にレンズ性能の高さを感じます。本レンズにはフードが付属されていませんが、斜光にも強いという自信の現れの様にも思えてきます。
マニュアルピントリングが狭く、距離計窓の無いシンプルなレンズの外観からは、キットレンズの様なイメージを受けます。しかしその内面には優れた描写性能を有していました。
小型軽量に7.8倍の高倍率は、スナップから本格的な風景撮影まで幅広く活躍してくれることでしょう。
日々高画質化するデジタルカメラにも対応したレンズは、今後の高画質高倍率標準ズームのスタンダードレンズになってくれる予感がします。
Photo by MAP CAMERA Staff