Voigtlander ULTRON 40mm F2 Aspherical SL II S
フォクトレンダーの人気レンズ「ULTRON 40mm F2 SL II」がリニューアル。先日リニューアルしたNOKTON 58mm同様、フォーカスリングに指掛の良いローレットパターンを採用し、露出計連動爪を装備するなど、クラシックなデザインに生まれ変わりました。様々な装飾がカットされシンプルなデザインのレンズが増えてきた昨今、マニュアルレンズとしての使いやすさを追求した本レンズのデザインは逆に新鮮。機能美という言葉がピッタリで、初めて触るレンズとは思えないほど手になじみ、外観を眺めていても楽しくなるレンズです。
レンズ同様オールドテイストを楽しむべく、まずは歴史ある洋館を訪れました。撮影の日は生憎の雨で、屋根のあるところへ逃げ込んだだけという話もありますが…。
古い照明が照らす薄暗い室内。多角形に広がる窓から外光を大きく取り込みます。難しい光線状態でも壁紙の装飾などを綺麗に捉えてくれました。雨に濡れた木々の葉のハイライトが強く、コントラストが高い印象を受けますが、室内天井のグラデーションなど暗部のトーンはとても綺麗です。
壁に備え付けられた照明を狙ってみました。指掛がよく適度な重さのピントリングのおかげで、ピント合わせが楽しく感じます。
ピント面は絞り開放でもとてもシャープで、なだらかで大きなボケが楽しめます。ここでも光のトーンを美しく捉え、大きなボケの中でも、室外のしっとりとした空気感を伝える高い描写力が分かります。
レースのカーテンの透過も綺麗です。クラシックなレンズでクラシックな被写体を追い続けていると、写真自体も少し古風な写りに思えてきます。このレンズでしか味わえない独特な雰囲気があるのでしょう。
厚い雲に覆われ薄暗い中でも、建物の細かい装飾までしっかり捉えています。カメラの解像力を存分に引き出す高い描写力を再確認です。
雨が小降りになったので、近くの神社まで足を伸ばします。朱色の鳥居が雨に濡れしっとりとした様子を綺麗に捉えてくれました。大きなボケ味は、奥に続く厳かな雰囲気を美しく演出してくれます。
今回のリニューアルにあたり、ヘリコイドリングを繰り出し量の長いものに変更。光学系はそのままに、最短撮影距離を38cmから25cmに短縮され、クローズアップ撮影がより便利になりました。近接撮影ではF2の大きくなだらかなボケ味と相まって、とても柔らかな描写が楽しめます。
お店の前に並べられた古いガラス瓶。ガラスの透明感とクモリ具合を綺麗に描いています。
綺麗な夕日が見えることで有名な商店街の階段。再び雨が降り出した影響で遠景までハッキリ見える状況ではありませんでしたが、街の賑わいと、しっとりとした空気感をしっかり捉えてくれました。
本レンズの高級感のある外観はフラッグシップ機である「Nikon D5」にも非常にマッチします。クラシカルなデザインで揃えるならば「Nikon Df」に着けるのもおすすめです。 いずれにせよ、光学性能は最新フラッグシップの性能を存分に引き出してくれる高いものがあり、カメラを選ばず万能な働きをしてくれます。
広角レンズと標準レンズの良いとこ取りの焦点距離も使いやすく、260gと軽量なのも嬉しいポイント。スナップレンズとして重宝すること間違いありません。
クラシックテイストな独特な写りと、高い描写力の両方を兼ね備えた魅力的なレンズです。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff
|
|