Nikon Z7 with マウントアダプター FTZ
先日、新マウントレンズ「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」と一緒に紹介させていただいた『Nikon Z7』。
新しいZシステムの凄さをご理解いただけたかと思いますが、歴史あるFマウントレンズの資産も有効活用したいとお考えの方も多いのではないでしょうか?
かく言う筆者もその一人。カメラを始めてからニコンをメインに使い続けていたこともあり、ZシステムでFマウントレンズの使用を可能にするマウントアダプターは真っ先に試したいアイテムです。
個人的な観点で申し訳ありませんが、今、私が特に愛用している「AF-S 24-70mm F2.8E ED VR」と「AF-S 70-200mm F2.8E FL ED VR」の2本を持って撮影に出かけました。
秋場所開催中の両国国技館前。力士の名が書かれた色とりどりののぼりが風に揺れています。これらをとても綺麗に捉えてくれました。
過去にもKasyapaの撮影に訪れている場所ですが、当時の一眼レフ(Nikon D810)使用時と遜色ない操作感で撮影できた事に驚きます。 その最大の理由は広くて明るいファインダーによるものでしょう。
カタログでスペックを確認された方はご存知かと思いますが、約369万ドットの有機ELパネルを採用しています。黒の締まりがよく、大型4Kテレビでもワンランク上に位置される有機ELパネルの効果は絶大。そのクリアな映像は光学ガラスと遜色ないと言っても、過言ではありません。
駅構内に飾られたステンドグラスのオブジェ。いつもこの下を通る度にきれいだなと思いつつも、途切れない人の流れを見ては撮影を諦めていました。今回はその人の流れの中で歩きながらの撮影です。
バックライトのステンドグラスが映える場所の照明はやや暗め。普段なら露出の補正を確認しながら撮影するシーンも、撮影される画がそのままファインダーに表示されるEVFファインダーなら露出も一発で決まります。 493点の像面位相差AFは動きながらでも快適なピント合わせ。そして強力な手ぶれ補正は、4575万画素下のスローシャッターでも揺れをしっかり止めてくれます。コントラスト高くシャープな画像を確認すると、やはり凄いと言わざるをえません。
ローパスフィルターレス仕様の4575万画素の威力を確認すべく、広い場所を求めて浜離宮恩賜庭園に。早速撮影した画像を拡大すると、その先鋭感は想像以上でした。ぜひ画像をクリックして拡大画像でご覧ください。高額な超望遠レンズで切り取ったかのような、シャープな画像が確認できます。
コスモスを下から狙っての撮影もスムーズです。
薄い花びらを透かして撮るのが好きで何度もトライしている撮影方法ですが、逆光下での撮影になることが多いため、その都度の露出補正は必須でした。それがファインダー越しでのワンショットで決まる快適さは、便利の一言。柔らかいボケ味もそのままで、レンズの優れた描写力をそのままに伝えてくれます。
詳しい方に聞くと、FマウントレンズでのAFスピードはD850と比べ、若干遅くなっているそうですが、「AF-S 24-70mm F2.8E ED VR」自体が、速いAF機能を持つレンズということもあり、その性能差は全く気になりませんでした。逆に近接でも迷いなくスッと決まる賢さに感動します。
庭園内の船着場に行くと、浅草行きの水上バスが到着していました。気持ち良い風が吹いていたので、オープンデッキの水上バスに乗り、隅田川を上ることに。
浜離宮を離れ、すぐ左手に見える築地市場。豊洲へ移転後、大きく様相を変えると思われる風景を記録に残します。細部まで詳細に捉えるカメラは、後で昔の記憶を辿る時に重宝します。
隅田川にはたくさんの橋が架かっており、下をくぐる度に生じるシルエットが楽しく感じました。もちろんこのシーンも、露出の変化を確認してからの撮影で、露出補正しての撮り直しはありません。一瞬のタイミングを逃さないのが一眼レフなら、一瞬を失敗しないのが本機のメリットではないでしょうか。
別の水上バスとのすれ違いを狙うべく、望遠ズームにレンズ交換です。
70-200mmでも安定のAF性能を確認できました。すれ違いなど横切る被写体を狙う際、一眼レフ時に多用していた横一列を使ったグループエリアAF。残念ながらZシリーズにはワイドのS/Lを含めた5種類の設定しかなく、細かなAFエリアの設定ができなくなっています。 しかしその不足を感じさせない、多点像面位相差とコントラストAFによるハイブリットAFが優秀です。揺れる足場、動く被写体に関係なく被写体を素早く捉え、連写中もターゲットを離しません。
4575万画素の大きなデータで連写した際に気になるのが、連続撮影枚数です。こちらはRAW書き込みで最大32コマとD850 に水をあけられてしまいましたが、書き込みスピードの速いXQDカードのを採用しているので、復帰を待たされる印象はさほどありません。 将来的にCFexpressカードの対応も予定されており、今後のパワーアップが期待されます。
そのまま望遠ズームでビルの隙間から見え隠れするスカイツリーを狙ってみました。頂上部はもちろん、第二展望台の回廊を歩く人の姿まで確認できる解像感に、浜離宮で感じた驚きが蘇ります。
スポーツ撮影などに重宝する明るい望遠ズーム「AF-S 70-200mm F2.8E FL ED VR」は、描写性能にも定評のある人気レンズです。被写体までの距離感を忘れてしまいそうになるクリアな描写に色乗りの良さは、ぜひとも高精細なカメラで使っていただきたい1本です。
撮影の翌朝、重い機材で撮影した翌日にくる疲労感がいつもより少ないのに気づきました。レンズ自体は普段から愛用のレンズですから、その差はボディによる恩恵と考えて間違いないでしょう。撮り初めこそ、ウエイトバランスの変化の影響でグリップを握る手に力が入りましたが、ストラップを手首に巻きつける自身の撮影スタイルに移行後は、普段から使い慣れている一眼レフと同様の感覚で操作できました。
アダプター対応表に記載のAF-SレンズのGタイプ、Eタイプ、Dタイプのレンズであれば、マウントの違いを感じることもないでしょう。 唯一難点を挙げるとすれば、半日撮影の撮影でフル充電が残り1/3になったことくらいでしょうか。是非とも予備バッテリーはご用意ください。
余談ですが、自宅でAi Nikkor(マニュアル)レンズでの操作も試してみました。年齢と共に視力が低下しつつある筆者が、頼りにしている「フォーカスエイド」機能が働かなく、一瞬戸惑ったものの、ミラーレス機ではおなじみのピントピーキング機能が搭載されているので、マニュアルでのピント合わせも苦になりませんでした。さらに手ぶれ補正も効くようになりますから、レンズ資産をこれまで以上に活かすことが可能です。
すでにレンズロードマップで「58mm F0.95 S Noct」など魅力的なレンズの発売が予定されているNIKKOR Zシリーズに加え、59年の歴史の中で数々の銘玉を登場させ続けてきたFマウントレンズも使えるとは。なんとも欲張りなカメラです。
Photo by MAP CAMERA Staff