Canon EF-M32mm F1.4 STM
今回のKasyapaでは、EF-Mレンズとしては初となるF1.4の明るさを持つレンズ『Canon EF-M32mm F1.4 STM』をご紹介いたします。
「F1.4」と聞くと、多くの方が「大きくて重いレンズ」を想像されることでしょう。しかし本レンズは重量僅か235g、全長56.5mm、そして極め付けには6万円に収まるリーズナブルさを誇る型破りなレンズなのです。(※2018年9月25日現在のMapCameraでの価格です。)
冒頭の写真は屋内に展示されていたバイクを撮影したものですが、背景の非常に滑らかなボケ味に感動しました。さすが「Lレンズに迫る高画質」と謳われているだけあって肝心の描写力もかなりのもの。このレンズが登場したことでEOS Mシステムユーザーはかなり増えるのではないか、と思わせるほどに素晴らしい写りです。35mm判換算で51mm相当の画角になりますから、こういったスナップ撮影はもちろんポートレートでも大いに活躍してくれそうです。
本レンズにレンズフードは付属しておらず、フードが必要な方は別売のレンズフード『ES-60』を購入する必要があります。
ただ、撮影した日は非常に天気がよく日差しもとても強かったのですが、そんな中1日使っていてもフレアやゴーストを感じる場面はほぼゼロに等しかったです。逆光耐性はかなりのものであると思っていただいて間違いないでしょう。
そしてさらに、本レンズは近接撮影も得意としています。最短で23cmまで被写体に近寄ることが可能で、ご覧の通り大きなボケ味を生かしたテーブルフォトもばっちりこなします。レンズ側面には撮影距離範囲の切り替えスイッチも付いており、活用することでよりスムーズに撮影を楽しむことができます。
拡大して見ると、改めてその描写性能の高さに驚きます。画面端まで隙のない見事な描写を見せてくれました。
開放でもピント面は非常にシャープ。レンズの性能とEOS Kiss Mの操作性の良さのおかげか、開放で撮影をしていてもピントを外すことはほとんどありませんでした。
ボディもレンズもコンパクトで、非常に機動力が高いのがEOS Mシステムの大きな魅力です。
だいたいどのシステムもF値が明るくなったり性能が上がるのに比例してレンズも大きくなっていきますが、EOS Mシステムは性能が上がってもコンパクトなまま。極端に大きくなったり重くなったりすることがありません。
「撮りたい」と思った時にサッと構えて、もちろん狙った被写体は逃さない。動体撮影で活躍するだけでなく、日常の何気ないワンシーンを切り取るのにも最適なシステムです。
夕日に照らされるビル群を捉えた1枚。ずっと奥の方のビルまでしっかりと描写してくれています。
早いもので9月ももう終わりに差し掛かり、だんだんと日が短くなってきました。秋の空はくるくると表情が変わるので、ずっと眺めていても飽きません。撮り甲斐のある被写体だなと撮るたびに感じます。
ガラス越しに撮影をしたミニチュアの模型たち。背景が入り組んでいたのでボケがうるさくなるかと思いましたが、杞憂だったようです。ピント面のシャープさと前後のボケの柔らかさによって、メインの被写体である電車をより強調してくれました。
小さくても、驚くほどに高性能。
今回はEOS Kiss Mのブラックカラーと組み合わせて使用をしたのですが、バランスが非常に良く、この洗練された見た目からはとてもエントリークラスのカメラであるとは思えないほど。金属マウントを採用しており堅牢性も抜群なので、お子さんのいらっしゃるパパ・ママカメラマンでも安心してお使いいただける逸品となっています。
また、本レンズはフルタイムマニュアルフォーカスに対応しています。フォーカスリングが幅広で操作しやすいだけでなく、EF-Mレンズの特徴でもある細かいでこぼこが密集したアヤメローレットのおかげもあってか細かいピント合わせも容易に行うことができました。
軽量・高性能・リーズナブルと三拍子そろった『Canon EF-M32mm F1.4 STM』。これからの秋の行楽シーズンのお供としてぜひおすすめしたいレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff