TAMRON35mm F2.8 DiIII OSD M1:2
スナップ用の単焦点レンズを選ぶとなったら、筆者は迷わず35mmレンズを手にします。画角的に広すぎたり窮屈すぎたりすることなく、見たままに撮影できると感じるからです。『TAMRON 35mm F2.8 DiIII OSD M1:2』の「M1:2」はハーフマクロレンズであることを意味します。その最短撮影距離は0.15m。被写体との距離を詰める事で、広角レンズとは思えない迫力ある撮影も楽しめます。スナップや風景、ポートレートなど、オールマイティさが魅力です。そんな当レンズを持って、まずは冬の公園を歩いてきました。
セキセイインコたちがおしゃべりしています。仲間に加わろうと、もう一羽飛んで来た瞬間を捉えることが出来ました。写真を見ていると賑やかな鳴き声が聞こえてくるようです。こちらは大きな鳥かごの中に人間が入るスタイルの展示なので、網などに邪魔されることなく自然な姿を観察することができました。
広い公園の中を汽車がゆっくりと走っています。こちらに向かって走ってくるのを画角を決めて狙い、ここだと思ったところでシャッターを切りました。近くまで十分引き寄せて撮っても全体を写せたのは、35mmの画角のおかげ。撮影してカメラをおろすと、汽車に乗っている男の子が笑顔で手を振ってくれ和やかな雰囲気での撮影に更なる写欲が沸きます。
膨らもうとしている椿のつぼみ。冬に咲く花はそう多くはないので、自然とレンズを向けました。最短撮影距離まで近づいて撮影すると、背景が大きくボケてくれました。本来、35mmという広角レンズだと背景をボカしにくいですが、当レンズは最短撮影距離が短く寄れるため、こんなにボカすことができるのです。
モルモットはとてもいい子で、おとなしくモデルになってくれます。でもたまにカメラに興味を示して寄ってくることがありました。そんなときは最短撮影距離を保つようにして、動物瞳AFを使うと可愛く撮れました。
筆者が子どもだったころは、アイススケートといえば室内のスケート場が定石でした。最近は街中の色々なところにおしゃれなスケートリンクが出現するようになりましたが、冬休みということもあり、子どもたちでたいへんにぎわっていました。何気ないスナップですが、周辺までしっかり解像しているのが見て取れます。
カラフルなビーズやガラスが埋め込まれたランプシェード。内側では電球が光り、周囲を色鮮やかに照らしていました。ランプシェードの大きさは手のひら大とそんなに大きくはないのですが、せっかくのハーフマクロレンズなのでグッと寄って大きく写します。ビーズやガラスが輝いている様子を彩り豊かに捉えることができました。
トンネルを5人の少女が歩いていて、まるで何かの物語のよう。これが少年だったらさもありなんと思いますが、全員女の子というのがなかなか面白い光景じゃないでしょうか。電気のない暗いトンネルでしたが、彼女たちは楽しそうに会話しながら抜けていき、頼もしさを感じました 。こんな映画のワンシーンのようなカットがとれるのもスナップ撮影の醍醐味です。
近接撮影も得意なスナップレンズ
自然体で楽しく撮影できるレンズです。「このレンズはこういう撮影は苦手だから……」などと考える必要がなく、思うままに世界を切り取ることができます。広い風景を撮ったり、寄って大きく写したりと、まさに自由自在。その自由度は本当に単焦点レンズなのかと疑ってしまうほどです。
寄って撮るハーフマクロは便利なだけでなく、新しい発見を与えてくれたり、遠近感を活かした表現もできたりと、撮る喜びを味わわせてくれました。描写性能の高さと相まって、非常に満足度の高いレンズであると言えます。
メーカーからのキャッチコピーは「寄れる、新感覚スナップ。」というもの。 あえてスナップにフォーカスしたのだとは思いますが、スナップレンズと呼ぶには勿体ないくらい万能のレンズです。皆様におすすめします。
Photo by MAP CAMERA Staff