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絞り:F2 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

NikonNIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

次世代の主力マウントとしてZマウントシステムが発表された2018年8月23日。フルサイズミラーレス機『Z7』、『Z6』と共に大きな反響を呼んだ1本のレンズがありました。その名は『NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』。伝説の銘玉『ノクト ニッコール』の名を引き継ぐこのレンズは、F0.95という驚異的な明るさを持ったZマウント専用設計のレンズです。2019年10月12日に予約受付を開始したものの、予想を超える注文数により受注が一時休止になる事態になったため、欲しくても手に入らない、現代の幻レンズとなってしまいました。

前置きが長くなってしまいましたが、今回のKasyapaはその貴重なレンズを使用して撮影することができました。究極の1本とも言える『NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』をご紹介いたします。

昨年のCP+(シーピープラス)でレンズをご覧になった方も多いと思いますが、まず驚かされるのはその迫力のある大きさ。本当に焦点距離が58mmの単焦点レンズなのかと疑ってしまうほど大きく、例えるなら『Carl Zeiss Otus 100mm F1.4 ZF.2』や『SIGMA Art 135mm F1.8 DG HSM』といった大口径中望遠レンズの出で立ちです。レンズの重量はなんと約2,000g。AF機構を搭載しないMFの仕様は、モーターで動かすにはレンズ群が重すぎるためにAF化が不可能だったのでしょう。F0.95のピントピークをMFで操作する、撮影者の力量が試されるようなレンズでもあります。

  
Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct
絞り:F0.95 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nocturne(夜想曲)からその名をとったといわれる『ノクト ニッコール』。開放描写で点像の滲み(サジタルコマフレア)を抑え、夜間撮影を目的に作られたレンズ思想は『NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』にも引き継がれています。上の写真は、夜の町並みを撮影している旅行者をスナップしたのですが、背景に写る光源の美しさがとても印象的な一枚になりました。F0.95という明るさもあって、その描写は情緒的。今までF0.95のレンズは何種類か撮影をしたことがあるのですが、開放からここまでクリアな描写をするレンズは初めての経験です。

絞り:F1.1 / シャッタースピード:1/80秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

絞り:F0.95 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct
絞り:F0.95 / シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

泳ぐ白鳥のスピードに歩調を合わせ、後ろ歩きをしながらピントを合わせてシャッターを切った一枚。開放でピントを合わせるにはかなりシビアな状況でしたが、何とか写真に収めることができました。
本レンズを使用して驚かされたのがF0.95でのピントの立ち方です。鋭いというよりは、“研ぎ澄まされた”という表現がニュアンスとして適切かもしれません。被写体の立体感を引き立たせつつ、滲みのないシャープな開放描写は、F0.95でここまで性能を突き詰めることができるのかと驚愕しました。今やどのメーカーも高性能なレンズが当たり前になってしまった時代ではありますが、今回ニコンに光学技術力の違いを見せつけられた気がします。本当に凄いレンズを出してきました。

絞り:F0.95 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

究極のF0.95

ピント面が恐ろしいほど薄く、息をしただけでもピークがズレてしまうシビアなレンズ特性。重量級のレンズを手で支えながら、マクロレンズのように繊細なピントの操作が求められる『NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』は、これまでのレンズにはない難しさを感じながらの撮影でした。正直、使いやすいとは言い難いレンズではありますが、撮れる画は今まで経験したことのない極上の描写力。撮影画像を確認するたびに「すごいな…」と思わず言葉が漏れます。

通常ならレンズが明るくなればなるほど、収差を抑えるのが難しくなり、開放での描写に粗が出やすくなります。今までF0.95のレンズを使用した際は、そう思っていたのと同時に、描写から確かにそれを感じていました。しかし本レンズの開放描写からは、その粗が全く感じられないのです。この大きく重い10群17枚のレンズから作られた『NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』は現時点で究極のF0.95と呼べる1本です。

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct
絞り:F0.95 / シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct
絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:200 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

ショーウィンドウに飾られた美しいウエディングドレスに目が留まり、F1.2でシャッターを切った一枚。ドレスに施された刺繍も緻密に写し出してくれました。

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

国産車の中でもライトウェイトスポーツカーとして名高いトヨタ・スポーツ800。丸みを帯びたボディライン全体にピントを合わせたかったので、絞りはF2.8に。高コントラストと発色性の良さはもちろん、非常に立体感を感じる描写です。開放描写ばかり取り沙汰されますが、少し絞った時の画作りも素晴らしいレンズです。

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct
絞り:F0.95/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct
絞り:F0.95/ シャッタースピード:1/100秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct
絞り:F0.95/ シャッタースピード:1/160秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon Z7 + NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

最後は寒い夜を彩るイルミネーションのカット。背景のボケ味に大口径レンズならではの口径食や若干の非点収差が見られるものの、開放でピントを合わせたLEDライトの解像感は圧巻です。まぶしく光る光源を撮ったにも関わらず、像の滲みやフレアを徹底的に抑え込んできている所にノクトの凄みを感じる一枚です。

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nikon (ニコン) NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct

Nikonを象徴する、至極の銘玉。

今回『ノクト ニッコール』の名を引き継ぐ『NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』の撮影でしたが、これほど優れた性能の大口径レンズは初めての経験でした。ひとたびシャッターを切れば、想像を数段上回ってくる深いボケ味の中に、鳥肌が立つほど高い解像力のピント面が浮かび上がります。様々なレンズのレビューを行なっていると、そのレンズの良いところだけでなく、粗や甘さにも気付きやすくなるのですが、正直ここまで完成度の高いF0.95レンズは他に無いと感じました。

カメラ・レンズのみならず、車や時計でもメーカーのブランドイメージを牽引するプロダクトが存在します。光学メーカーであるニコンといえば、やはり『ノクト ニッコール』が思い浮かびますが、今までノクトと言えば『AI Noct Nikkor 58mm F1.2』でした。しかしZマウントが登場した今、これからのニコンを象徴するレンズは技術の粋を集めて作られたこの『NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』のように思えます。至極と言える素晴らしいレンズでした。


Photo by MAP CAMERA Staff






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[Category: Nikon|掲載日時:2020年01月24日 08:00:00 PM]

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