Nikon 1 J1というカメラは面白い。モードダイヤルには一般的な露出モードであるP/A/S/Mはなく、モーションスナップショット・スマートフォトセレクター・静止画・動画と撮影機能にフォーカスを当てたシンプルな操作系となっている。
この割り当てはエントリーユーザーに向けた配慮となっているため物足りなく感じることもあるかもしれないが、実際に使い始めると露出モードを使いわける必要がないことに気付く。
露出モードP(プログラムオート)でズームレバーの上下で、シャッタースピードや絞りを決めるプログラムシフトが使えるため、基本的な露出モードはPで十分なのだ。高感度でも比較的綺麗に撮れるので、ISO感度オートにしておけば頻繁に設定を呼び出す必要もない。
動画モードで静止画を撮影するとアスペクト比16:9で撮影が可能だ。
露出モードの設定から解放されると、あとは構図を決めて撮るだけという実にシンプルなカメラとなる。
Nikon 1の真骨頂はここから。まずは、AFがとにかく速い。一般的なミラーレス一眼のコントラスト検出型とは違い、センサー面上に配置された位相差検出AFが瞬時に被写体を捕らえる(※明るさが十分でない場合はコントラストAFに自動的に切り替わるハイブリッドタイプとなっている)。センサー面上でピントを合わせるため、ピントの位置が正確なのは言うまでもないだろう。
この位相差AFのメリットは一瞬のピント合わせだけではなく、動く被写体にコンティニュアスでピントを合わせ続けることも可能となっている。この小さなボディーでプロ機並みのAF連動の秒間10コマの連写ができる点を評価したい。
J1の10メガピクセルの画像と連写を支えるのが大容量バッファメモリだ。J1の場合、JPEGなら約41枚、RAW及びRAW+JPEGの同時記録でも約17枚のバッファメモリが搭載されている。RAW撮影時のバッファ17枚といえば、デジタル一眼レフカメラの上級機に匹敵する余裕のある作りとなっている。
さらに、メディアは高速タイプのUHS-IタイプのSDHCカードに対応しているため、ファイルサイズが大きいRAW撮影がレスポンスよく行える。
そのほか、メニュー操作を含め操作でまごつくことなく、コントロールダイヤルを素早く回してもメニューの反応がよい。冒頭で設定変更をする必要がないと書いたが、設定変更する際もJ1は快適に操作ができることをアピールしておきたい。
スピードと快適さに重きを置いたJ1はスペックの満足度が高く、数年先を見越して作られたカメラなのだろうと実感できる。
コンパクトデジカメからのステップアップや、デジタル一眼レフカメラのサブとしておすすめの一台だ。一度触ってみればその快適さに気付くはず。
Photo by MAP CAMERA Staff
使用機材:Nikon 1 J1+1 NIKKOR VR 10-30mm F3.5-5.6