小型軽量のミラーレスカメラに求められる物と言えば、やはり小型軽量で高画質なレンズではないでしょうか。
新しく発売されたNikon 1シリーズ用の10倍ズームレンズ「1 NIKKOR VR10-100mm F4-5.6」は高倍率ズームレンズの中で世界最小最軽量クラスを実現した待望のレンズです。
2011年に1インチサイズセンサーを搭載して小型ながら高性能なカメラとして華々しくデビューしたNikon 1シリーズですが、最初にリリースされた高倍率ズームレンズは動画撮影に最適化されたパワーズーム機能を搭載した大きなレンズ。1シリーズのハイスペックに惹かれすぐに飛びついた筆者でも動画をあまり撮らないこともあり、なかなか手が出ないレンズでした。
すでにニコンの一眼レフを所有していたため、アダプターを介してFマウントレンズを使用し撮影用途の焦点距離はカバーできていましたが、せっかくの小型軽量が活かせてないもどかしさも感じていました。新しいレンズはこのモヤモヤを全て払拭してくれました。
描写にも満足です。最新デジタル用レンズらしい隅々までシャープでクリアな写りです。
35mm換算で27-270mm相当の焦点距離をカバーする高倍率ズームレンズは、望遠側にズームすると他の高倍率ズームに負けない位見事な伸長を披露してくれますが、沈胴式で収納時にはコンパクトに収まるので荷物を大きくしたくない時には最適な1本です。
またズームリングまで金属素材で作られた外観は、非常に美しく高級感ある仕上がりで所有する喜びも感じさせてくれます。
手前から奧までピント範囲も広くシャープに描写するレンズは、撮影時に気づかなかった所までしっかり描写しており、後にPC等で画像を確認すると新たな発見があって楽しい気分になります。
青空のグラデーションや水面に落ちる影、柵や鉄橋の錆など細かいところまで、しっかり描写しているのを見るとただただ驚くばかり。
カメラ側がローパスフィルターレス化などにより、さらなる鮮鋭感を求める中にあっての見事な解像力です。
天井付近の窓から強い日差しが差し込む状態でも、光の明暗を美しく再現しています。光源部に若干のにじみが見られますが、ほとんど気にならないレベルです。
望遠端で65cmまで寄れるのも魅力です。撮りたい物を瞬時に自在に切り撮ることができるので、感じたままを自然に撮影することができるのです。
手ブレ補正機能も優秀で、カメラの解像力が上がっても微細なブレを全く感じさせません。
1インチという小さなセンサーでもここまで細かく綺麗に撮れるんだと、カメラの凄さもダイレクトに伝わってきます。
西日が強い逆光での撮影では、スーパーインテグレーテッドコーティングと言えどもさすがにフレアを抑えきることはできませんでしたが、この状況下ではるか先のビルの影を描写したコントラストの高さに驚きました。向かいのターミナルの外観や、停車する作業車まで見てとれる精細感も見逃せません。
マウントアダプターFT1を介せばFマウントのAF-SレンズでAF撮影が可能なNikon1シリーズですが、中央部1点のAFエリアのみしか機能しないという制限があります。
画面一杯に配置されたせセンサーを有効に使い、世界最速のAF機能を引き出すにはやはり専用レンズとの組み合わせが必要でした。
瞬時に反応するAFは動体の追随性も良く、あらゆるジャンルの撮影をサポートしてくれることでしょう。
カメラの性能を存分に引き出し高画質で携帯性に優れているパーフェクトなレンズは、他のレンズの出番を許さない使い勝手の良さが光ります。
Photo by MAP CAMERA Staff