2013年3月8日に発売となった、ソニーの望遠ズームレンズ「70-400mm F4-5.6 G SSM II」。II型となったことで新たにフレア・ゴーストを大幅に提言する反射防止コーティング「ナノARコーティング」や、AF動作のためのLSIの処理能力を上げることで動体追尾性能が4倍向上したという。
外観は先代のシルバーから「70-200mm F2.8 G」に近いライトグレーとなり、望遠レンズらしい顔つきとなったように思える。レンズ構成12群18枚、最短撮影距離1.5m、フィルター径77mmは変わらずで、新しいコーティングと動体撮影時のレスポンスが気になるところだ。
工業地帯を眼下に旅客機が飛び立っていく。超望遠域となる400mmの撮影はなかなか楽しく、肉眼では見えない発見があり撮影に夢中になってしまった。
APS-Cサイズのセンサーを搭載するα77等では、35mm判換算105-600mm相当の超望遠ズームレンズとなるので、さらに撮影可能範囲が広がり様々なジャンルに応用出来そうだ。
順光、逆光など様々なシーンで試写を行ってみた。逆光となるシーンで露出を+補正してもコントラストが高くしっかりと被写体が記録されている。AF-Cモードによる動体追尾も狙い通り使用でき、撮影を楽しむことができた。
SSM(超音波モーター)によって俊敏にAFが作動し、狙った位置に気持ちよくピントが合う。そしてそのまま被写体を追尾し続ける、当たり前のことだがこれが出来るだけで、カメラとレンズには無限の可能性が生まれると言っても過言ではないだろう。
動く被写体を追い続ける、遠くのものを引き寄せる、被写体を注視するといった表現方法をダイナミックに行えるのが光学5.7倍ズームレンズ。高倍率ズームレンズは数あるが、やはり光学性能を重視したプロスペックのレンズによる描写は繊細だ。
ピントの合った位置とボケの差で生まれる立体感は、解像度が高い高性能レンズであればあるほど発揮される。本レンズは独特な世界観を演出できるスペシャルなレンズと言えるだろう。
70-400mm F4-5.6 G SSM IIは、重さ1.5kgもあるためいつも持ち歩けるオススメのレンズとは言い難いが、絶対に失敗できない撮影やここぞと言うときに使いたい素晴らしいレンズである。
Photo by MAP CAMERA Staff