広角から望遠まで幅広い画角をカバーし、旅行など荷物を多くしたくない時に重宝する高倍率ズームレンズにまた新たなラインアップが加わりました。 新レンズ『タムロン 18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD』は、35mm判換算で27mmから600mm相当(ニコンのカメラを使用した場合)をカバーし、そのズーム比はなんと22.2倍。デジタル一眼レフカメラ用交換レンズにおいての最大倍率を更新です。
高倍率ズームのメリットと言えば、複数のレンズを1本に集約できるということ。単に機材を減らせるだけでなく、人混みなどカメラバッグの開閉が難しい場所でのレンズ交換の手間が省けるというのがポイント。もちろんカメラ内にゴミの混入が防げるとというメリットもあります。 毎年恒例の市が、日曜日と重なったため予想以上の混雑でしたが、幅広いズーム域をレンズ交換なしで自在に選べるのは本当に便利です。少し重めのズームリングも操作部が広めなので握りやすくスムーズです。
倍率が高い分、写真に歪みや描写の甘さがあるのではと思っていたのですが、本レンズにそんな心配は無用でした。とてもシャープでコントラストの高い描写は色鮮やかなほおずきを綺麗に捉えてくれました。
タムロンレンズといえば、望遠撮影に重宝する強力な手ブレ補正機能を忘れる訳にはいきません。風に揺れる風鈴を撮ろうと、ファインダーを覗きながら風を待つ間も、その補正効果を感じることができました。涼しげな風鈴の質感とゆれる短冊が、夏の涼を感じさせてくれます。
広角端でも周辺まで歪みの無いシャープな描写です。望遠端が強化された反面、広角端が甘くなると言ったことはありません。
広角から望遠まで1本のレンズで撮影することができる高倍率ズームですが、全てのメーカーのレンズを見てもテレ側300mmというのが今まで最長でした。ところが『タムロン 18-400mm F3.5-6.3 DiII VC HLD』の最長焦点距離は400mm、つまりAPS-C機で使用すると換算600mm相当の超望遠域まで撮影できるのです。カメラ好きの皆さんならご存知だと思いますが600mm望遠と言ったら、その画角を撮れるレンズも少なく、何よりレンズ自体が巨大です。その焦点距離をタムロンは『超高倍率ズーム』という新ジャンルのレンズで実現させてきました。400mm側ではF6.3まで暗くなるとはいえ、その利便性は「便利」という言葉を超えて、「凄い」の一言。 ファインダーを覗きながらズーミングするとファインダーいっぱいに映り込む被写体に「こんなにズームできるの!?」と驚くことばかりです。しかも最短撮影距離は0.45mという短さですから、テレマクロ撮影も可能なレンズになります。「何でもできるのは、何もできないのと同じ」なんて言葉を聞いた事がありますが、このレンズに関していえば完全にウソだと思います。どんな被写体でも撮れてしまうスーパーレンズ、それが『タムロン 18-400mm F3.5-6.3 DiII VC HLD』です。
水面をジッと見つめるアオサギを撮影した一枚。散歩で思わぬ被写体に出会う瞬間がありますが、いつも望遠レンズを持って歩くのはなかなか億劫です。そんな時こそ『タムロン 18-400mm F3.5-6.3 DiII VC LHD』。レンズを伸ばさなければ大口径標準ズームくらいのサイズですが、景色を広く写したり、野鳥をズームアップできたりと、この1本で様々な被写体を撮影することができます。
木の葉に光が当たり、美しいコントラストを見せてくれました。テレ端である600mm開放撮影なのですが、中央の解像力は優秀です。背景ボケも滑らかです。
まるで印象派の油絵を見ているような水面の映りこみ。カメラ側のピクチャーコントロールをビビッドに設定しているとはいえ、本レンズの高コントラストと、クリアな描写なのがわかります。
強い西日の当たる噴水を望遠端で撮影した1枚。粒状感を出すため高速シャッターで水しぶきを止めました。F8に絞っているとはいえ、四隅まできっちりと解像し、像の流れも感じない描写です。また、光を反射しやすい被写体なので色収差が出やすいのですが、それもこの写真からは感じられません。とても超高倍率ズームで撮影したとは思えない素晴らしい写りです。
横断歩道と影を意識して撮影した一枚。本当に超高倍率ズームで撮った?と疑いたくなるようなキレのある写りです。
独身の頃、最寄駅が吉祥寺だったのでよくココに出没してました。赤ちょうちんに露出を合わせた少し暗めのカットですが、タムロンレンズらしい色ノリの良さが写真から伝わってきます。
撮影した写真を見ていかがでしたか?今まで 「高倍率ズームは便利だけど、写りはどうなのだろうか…」と思っていたのですが、『タムロン 18-400mm F3.5-6.3 DiII VC HLD』を使用してその認識が大きく変わりました。こんなにも抜けのいい描写で高解像力、しかも換算600mm相当まで撮れてしまうのですから驚きです。
望遠側の暗さ(開放F値)が少々気になる時はありますが、日中の屋外撮影ならまず問題ありませんし、薄暗いシーンでも感度の設定でうまくカバーしてやれば大丈夫でしょう。評判のいい手ぶれ補正機構『VC』も搭載していますから多少の低速シャッターでもブレずにシャッターを切る事ができます。
400mmまでカバーしているレンズとしてはコンパクトなので、これからの旅行シーズンにオススメしたいですね。ほとんどの撮りたい写真は撮れてしまうのではと思えるくらい汎用性に優れたレンズです。これとお気に入りの単焦点を1本持って旅行に出かけたら最高だと思います。
『タムロン 18-400mm F3.5-6.3 DiII VC HLD』は超高倍率、描写力、レンズサイズ、価格の全てを上手く1つのパッケージとしてまとめてきたレンズだなと感じました。他のメーカーには無いタムロンらしい物づくりと魅力を感じた一本です。ぜひ本レンズで夏の思い出を残していただけたらと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff