NikonD780
ニコンから新しいフルサイズ一眼レフカメラ『D780』が発売されました。
ミラーレス機の「Z6」と同じ2450万画素のフルサイズセンサーと画像処理エンジン「EXPEED 6」を搭載することで、一眼レフカメラのレスポンスの良さはそのままに、ミラーレス機ならではの多彩なライブビューによる恩恵も得られるという、一眼レフとミラーレス機のいいとこどりのカメラです。
公園に着くとメジロが早咲きの桜の蜜を求め素早い動きを見せていました。頭上の速い被写体では視認性が高い一眼レフのファインダーが有利。明るい早春の日差しもあって、気持ちの良いファーストカットとなりました。
綿毛みたいな植物「ホワイトパウダーパフ」。ふわふわとかわいくてついレンズを向けてしまいます。花のように見える部分はおしべの集合体。うしろにある実は豆果といいます。最短撮影距離まで寄って撮ると、背景が綺麗にボケてくれました。なお、おしべが赤い「レッドパウダーパフ」という種類もあります。
公園の芝生の広場を突っ切る人を見つけたので、構図を決め画角の中央に人が来るのを待ってシャッターを切りました。太陽が写っていますが、周囲の雲も含め自然な描写になっています。
初めての公園で偶然出会った猫。相当人に慣れている様子で、カメラをバッグから出す姿を見て餌と勘違いしたのか、足元まで寄ってきてくれました。
驚かせない様、チルト液晶を駆使しながらローアングルで狙います。餌でないと分かるとソッポを向いてしまいましたが、「にゃー」と呼びかけると、こっちを向いて返事をしてくれました。その瞬間をタッチシャッターで捉えたカットです。貴重なワンシーンをタッチだけで素早くピントまで合わせて撮影してくれる。ミラーレスカメラでは当たり前の事ですが、一眼レフで体感すると改めて便利さを感じます。
場所を変えて、こちらは四日市コンビナート。対岸の煙突を主役にして、魚眼レンズで空を大きく入れて撮影しました。その解像力のおかげで、雲の質感の表現はもちろんのこと、対岸の様子もつぶさにわかります。
フィッシュアイレンズを選んだのには理由があります。D780のカタログに掲載されているレンズ紹介ページで、最初に登場するのがこの「AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm F3.5-4.5E ED」なのです。さらには、ニコン公式ウェブサイトのD780のページでも、おすすめ製品として最初に挙げられています。D780と好相性だとニコンが薦めてくれているレンズと言えるでしょう。
夕方、助手席でドライブを楽しんでいると突然天使の梯子が現れました。急いでフロントガラス越しにレンズを向け、走りながらなので道路照明灯をいい位置にフレーミングできるよう狙いました。青みがかったフロントガラスを通すことで色のニュアンスが変わり、印象的な仕上がりになりました。
夕刻、動体の被写体を求めて空港に立ち寄りました。使用したレンズは「AF-S NIKKOR 200-500mm F5.6E ED VR」。手持ち撮影が可能な機動力の良さがウリの超望遠ズームレンズですが、2300gとかなりの重さがあるのでカメラ側には深いグリップとウエイトバランスの良さが求められます。そんな中でD780はまさに最適な1台。安定したホールディングで構えることができました。
トーイングカーに押され方向転換をする飛行機。白い機体に夕日の反射が流れます。そんな綺麗なグラデーションをファインダーで確認しながら撮影できるのは一眼レフならではのメリットです。
7コマ/秒の高速連写も瞬間を捉える際に重宝します。新搭載のミラーバランサーの効果によるミラーショックの軽減は想像以上。心地よいシャッター音と相まって撮っていて楽しくなる感触です。
着陸し滑走路を疾走する飛行機。RAW+JPEGでの連写でも息切れすることなく撮影できました。
空港を後にすると日はすっかり暮れ、モノレールの車窓からは綺麗にライトアップされた東京タワーが見えました。浜松町駅に到着後、自然と東京タワーの方へ足が向きます。
静まり返った夜の芝公園で地面スレスレにカメラを固定し、水準器を表示させ水平を確認。そして露出を補正します。すぐに撮り直しできるデジタルカメラですが、失敗カットを減らせるライブビューは、とても頼りになります。
10秒間のスロー撮影でもノイズ感なくクリアな画が得られました。撮影後のプレビュー表示も早く、進化した画像処理エンジンの恩恵も感じられました。
夜の展望室ではプロジェクションマッピングによる演出が施されていました。夜景に重ねられた、季節の演出はとても綺麗ですが、かなり暗くなることも。幸いD780は-7EVの暗さまでに対応したAFを搭載しているので、そんな闇の中のシルエットもしっかり捉えることができました。
一眼レフとミラーレス機のいいとこどり
ミラーレス機が普及し、その便利さが当たり前になりつつある昨今、D780に搭載された新機能に真新しさは感じられませんが、一眼レフとしては、格段に使いやすくなった印象を受けました。
撮影していて楽しいのは一眼レフ。失敗が少なく仕事で使うならミラーレスという話をよく耳にしますが、今回その両方の機能を併せ持つD780を使って納得しました。今回掲載したカットを振り返っても約半分のカットがライブビューで撮影したものです。鳥や飛行機など一眼レフのファインダーで撮りたいと思う被写体がある反面、精度の高いライブビューが無いと不便なのです。
D780のカタログの冒頭に「本気になると、フォトグラファーは欲張りになる。」とキャッチコピーが書かれています。まさにその通りで、そんな欲張りな欲望を満たしてくれるカメラだと感じました。
Photo by MAP CAMERA Staff