高性能なミラーレス専用レンズを世に送り出しているタムロンより、新たなレンズが登場しました。その名は『28-200mm F2.8-5.6 DiIII RXD』。約7倍の高倍率ズームながら、なんと広角端では開放F2.8スタートという驚くべきスペックなのです。今回は高倍率ズームの常識を覆す本レンズのフォトプレビューをご紹介いたします。
本レンズを使用して何度か“驚いたポイント”がありました。まずは「こんなにコンパクトなのに開放F2.8」という点です。ズームレンズが明るくなれば光学ガラスも大きくなり、サイズも重量も大きくなるものなのですが、『28-200mm F2.8-5.6 DiIII RXD』のフィルター径は67mm、あの『28-75mm F2.8 DiIII RXD』とほぼ同じサイズ感なのです。しかし、開放F2.8といえど高倍率ズームの写りはどうなの?と思う方も多い事でしょう。かく言う私も撮影前まで「高倍率ズームだから」という考えがあったのですが、そのような皆さまに向けて一枚目の写真をご用意しました。ここは先日見たドラマで空港として使用されていた場所なのですが、上部のガラスには格子状のスクリーンが貼ってあるのです。ぜひ拡大してご覧ください。縦の線はもちろん、細い横の線まで描写しているのがお分かりになると思います。この描写力こそが本レンズで最も驚いた点になります。(この写真のみ横幅8000pixで表示されます)
今シーズンから活躍が期待される最新モデル、A90型スープラのレースコンセプトカー。マッシブなフェンダーラインが魅力的ですが、写真ではリアホイールにフォーカスしてスナップしました。2段分絞ったこともあり、立体感と解像感のある写真です。また、左上のドアに見えているカーボン地も、広角端ながら像の流れを感じない素晴らしい写り。本レンズの実力の高さが垣間見れ一枚です。
今の季節、公園や道を歩いているとよく見かけるこの花は「アガパンサス」という名の植物。艶やかな花びらは被写体としても魅力的で、ついついカメラを向けてしまいます。まるでマクロレンズで撮ったような写真ですが、これは28mmでの最短撮影距離でシャッターを切りました。高倍率ズームとしては驚異的な近接撮影が可能で、28mm時にはなんと0.19mまで寄ることができます。
こちらは柵に備え付けられた浮き輪を撮った一枚。望遠端200mm、開放F5.6での一枚なのですが、ロープの質感や立体感など実に見事です。余談なのですが、柵の向こう側の海面を覗くと沢山のイナッコ(ボラの幼魚)やマイクロベイトの姿が見えました。次回はカメラではなくシーバスロッドを持ってきたいと思った次第です。
気持ちも晴れやかになる梅雨の青空。この時期の撮影では本当に天の恵みのように思えます。
鮮やかな新緑と、背景の木漏れ日がバブルボケのようになった1枚。高倍率ズームはこのようなボケ味を出しやすいので、あえて狙って撮ってみるのも面白いかもしれません。
躍動感あふれる水の流れを1/8000秒で止めました。『28-200mm F2.8-5.6 DiIII RXD』のレンズ最前面には撥水性・撥油性にすぐれた防汚コートが採用されていますから、水滴、汚れなどが付いても拭き取りやすく、フィールドでのメンテナンスを容易に行うことができるのも大きなメリットです。
多くの「撮りたい」を、この1本で。
汎用性の高さから「便利ズーム」などと呼ばれる高倍率ズームですが、この『28-200mm F2.8-5.6 DiIII RXD』にはそのような言葉が似合わない、本物の描写力を持つレンズでした。画角の隅々まで写し出すことはもちろん、ボディに6100万画素『α7R IV』を使用したのにも拘らず、本レンズの解像力が負けていない事にとても驚きました。通常の高倍率ズームは何かしらの粗を感じやすいレンズだと思っていたのですが、これほど解像力と表現力に優れた高倍率ズームは初めての経験です。
28-200mmという焦点域だけでなく、マクロと呼べそうなくらい近接撮影も得意ですから、この1本で撮りたい景色のほとんどを写真にできるはずです。オススメは本レンズと一緒にお気に入りの単焦点レンズを1本持っていくこと。それは広角でも大口径でもいいのですが、『28-200mm F2.8-5.6 DiIII RXD』の守備範囲外をカバーすることで、撮影できる幅が大きく広がります。個人的にはプラスで『20mm F2.8 DiIII OSD M1:2』をバッグにしのばせたいと思いました。
ミラーレスカメラの高画素化が進む中、専用設計された『28-200mm F2.8-5.6 DiIII RXD』は素晴らしい描写性を持ったレンズです。ぜひ高倍率ズームということだけで敬遠せず、一度ご自身の目で確かめてください。
Photo by MAP CAMERA Staff