LAOWAから衝撃のレンズの知らせが届きました。その名も『LAOWA 9mm F5.6 W-DREAMER』。APS-C用レンズではなく、フルサイズ対応の超広角9mmのレンズです。135°という極めて広い画角による、いままでに前例のない超、超広角レンズ。しかも最短撮影距離が約12cmで重量はたったの約350g。まず初めに伝えたいことはとにかく、物凄く面白いレンズでした。それでは早速作例をご覧ください。
東京としては早咲きの向日葵を見に行ってきました。向日葵の十字路に立つ人。実際には数mだけ先に立っているのですが、自分の立ち位置さえ見失ってしまうほど視界が広がっていきます。
向日葵畑なので、本来は向日葵が密集しているのですがこのレンズで覗くと一本一本がソロで立っているような錯覚におちいります。
最短合焦距離(被写体からセンサーまで)が、なんとわずか12cm。蜂が飛んだら当たってしまいそうなほど接近出来ます。像の流れも周辺減光も顕著に現れるのですが、個人的にはこのレンズに関してはむしろ個性として捉えてしまいました。変な言い方にはなってしまいますが、このレンズはその点は気にするポイントではないと思ってしまうのです。
それではこれだけの超広角。室内写真も含め、あちこち歩き回ってきたのでご覧ください。
10mmという超広角のレンズはフルサイズ用にも数本存在しますが9mmという画角はこのレンズが初。『LAOWA 12mm F2.8 ZERO-D 』のように歪みがゼロというレンズではないのですが、歪みもとても良く抑えられていると思います。ISO感度が高くなったので画が荒れてしまわないか不安がありましたが期待以上の解像を見せてくれました。
足元から見上げるような角度で撮影したところ、天井部分が膨れ上がって球体のように盛り上がって見えました。ここまで強烈にパースが崩れてしまうと問題があるという場合は立ち上がって撮れば大丈夫です。今までにない作画体験が面白かったのでこちらを掲載させていただきました。
この景色を超広角で撮ったら面白いだろうな、という昔の記憶が結びついて期待に胸を膨らませながら撮影しました。結果にも大満足。パノラマも用いず、これだけの世界を写し込めるのはとても楽しくなります。
見慣れた景色であればあるほど、その違和感と現実とのギャップに驚かされます。とある駅の連絡通路ですが、倍以上に長くなっているのではないでしょうか。小さく見える人も実際には数M離れているだけなのですが一気に10数M離れたように見えます。
今回の撮影の中でも一番面白く撮れた一枚です。レンズを手すりにほぼ密着させた形で撮影しました、手前に反射しているのはその手すり部分です。レンズ自体が小型であること、最短撮影距離が短いこと、9mmという超広角であるということ。その全てがメリットに働くことで今まで実現できなかった写真、映像を可能にしてくれると思わせてくれるレンズです。
一段以上絞ることで発生する10点の光芒もこのレンズにとってはアピールポイントの一つ。シーンによってピント拡大を二段階で行い確認しながら撮影しましたが、F8以上で絞った遠景写真においては距離計を1.2Mから無限遠の間に合わせていればほぼピンボケを確認することはありませんでした。
解像面について個人的な見解を述べるならこのレンズ運用の視点で言えば解像力は必要にして十分です。目が覚めるような解像感、というわけではありませんが、文字や模様の解像もしっかり出来ていますし近接時の被写体の立体感も十分です。
真上を見上げることで自分の真後ろにまで画角が及ぶので、驚くような画になることが多々ありました。面白さ、という点で言えば現時点でこのレンズはトップクラスかもしれません。
全てを撮り直してみたくなる。
9mmという超広角の初体験、お楽しみいただけたでしょうか。最初は全く距離感が掴めなかった画角でしたが、気付いたらとても面白い画角になっていました。今まで自分が歩いて撮ってきた世界の中から「このレンズで撮り直してみたい」と思う画もどんどんと浮かんできました。これで撮ってみたい風景が一つでも頭に浮かんだ方なら、代わりのないこのレンズはマストなレンズになるのではないでしょうか。約10万円で手に入る今までにない映像体験、ぜひご自身で体験してみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff