マイクロフォーサーズ用レンズとして開放F値0.95という驚異的な明るさを持つ『中一光学 SPEEDMASTER 17mm F0.95』。フルサイズ判換算で35mmの広角レンズになります。開放絞りでの被写体を引き立たせる表現や、絞ることでパンフォーカスにし、直感的な撮影をするなど、幅広い表現と楽しみ方がある1本です。今回は『OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III』に装着し、スナップ撮影を行いました。
綺麗に並べられた空のワインボトル。それぞれ特徴的なラベルをしており、その中で一際インパクトのあるラベルとガラスの反射を入れてシャッターを切りました。ガラス越しに通り過ぎていく人をどう思って見ているのか想像させる一枚です。
開放絞りで発生した周辺減光。被写体に目線を誘導させるトンネル構図のアクセントとして非常に便利な現象です。また、この写真では電球を中央でなく、少し奥に配置したことで奥行きと動きを出すことができました。手前から奥へと段々暗くなっていくのも立体感を感じさせるポイントでしょう。
見上げてみると黄色い電線の保護カバーとビニールテープの水色が目に留まりました。少し絞ってみると、蛇腹の形状や細いケーブルなどがしっかりと描写され、カッチリとした写りになります。
真っ赤に紅葉した楓の葉。思い切って逆光で撮影してみると中央に綺麗な円形のフレアが出ました。この時、絞りを1.4、2と少し絞ったカットもあったのですが、それらでは虹色のリングは消えてしまいました。開放絞りだけで得られる特別なリングです。
朱色の屋根と澄んだ秋空のバランスが良いと思った一枚。瓦に細かく刻まれた模様がしっかりと確認できます。フィルムで撮影したかのような暖かみを感じる写真ですが、ピクチャーモードはナチュラルの設定です。
マイクロフォーサーズの良いところの1つはコンパクトなシステムを構築できること。機材が軽いことで、どんどん歩いて被写体を求めることができます。寄ったり引いたりしやすい画角も撮影が楽しくなる要因です。
自動車のボンネットに反射した銀杏の木々。ピカピカに磨かれた光沢感とうねった形が面白いと直感でシャッターを切りました。
この頃見掛けることが少なくなった公衆電話。信号待ちしている自動車のヘッドライトに照らされているように見えました。日没後でも、明るいレンズと強力な手ブレ補正機能を持ったボディがあればISO感度を上げすぎることなく撮影することができます。暗くなってから、光源を求めるような撮影も楽しいのではないでしょうか。
優しい明るさ
オールドレンズのような写りをする『SPEEDMASTER 17mm F0.95』。フレアやゴースト、周辺減光などのアクセントをどのように活かそうかと絞りリングを操作しながら被写体と向き合う時間が楽しいレンズです。開放絞りでの柔らかい表現の中で、主題にはしっかりピントがあり、F2~4まで絞ればパッチリとした描写を得ることができます。17mmというレンズとしては大きく見えるかもしれませんが、ボディとのバランスは丁度いいと感じました。また、今回使用したブラックカラーの外観も『OM-D E-M1 Mark III』と一体感があります。圧倒的な解像力を持ったミラーレス専用レンズが登場する中で、開放絞りのふんわりとした優しい表現が心地よく感じる『SPEEDMASTER 17mm F0.95』。単純に写真を撮ることを楽しみ、気ままに出かけたくなる1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff