Xシリーズ黎明期からX-Proの弟分として登場していたX-E。3代目からXシリーズのミニマリズム的な存在へと昇華し、高性能と高画質を手のひらサイズで実現させました。そして今回ご紹介するのはその4代目に当たる最新機種『FUJIFILM X-E4』。はじめに申し上げておきますと、シリーズ中最高傑作と言って良いほど完成度が高いカメラに仕上がっています。
まず写真の肝となるセンサーと画像処理エンジンは上位機種のX-Pro3やX-T4と同じ「X-Trans(TM) CMOS4」と「X-Processor 4」を搭載。それが『X100V』と同じようなサイズ感でレンズ交換式なのですから、常に持ち歩くカメラとして最適です。気づいた時にサッと撮れてフジフイルムの色を出してくれる。「小さなカメラは欲しいけど、画質は絶対に妥協したくない」という方に『FUJIFILM X-E4』は最高の一台になりうるカメラだと言えます。
近年のXシリーズのトレンド「クラシックネガ」での一枚。頭上を通る有料道路を見上げた際に、飛んで来た鳩に気づいて咄嗟にシャッターを切りました。被写体の主張が強い写真の中で鳩の動きがアイキャッチとなり、良いスナップになったと思います。
食堂の前にいた猫をスナップ。特に愛想を振りまくような仕草は見せませんが、この食堂の看板猫、もしくは招き猫のような存在でした。日陰のため少し渋目の色調になっていますが、これはこれで味のある雰囲気です。
さすがフジフイルム、モノクロ「ACROS」のフィルムシミュレーションは、カラーデータから変換したとは思えない階調をみせてくれました。
写真を見ると樽型の歪曲収差?と思われるかもしれませんが、ベンチの配列が微妙に歪んでおり、目で見た印象もこの通りなのです。『フジノン XF27mm F2.8』をあまり使ったことがなかったのですが、写りも携帯性も◎。発売間近の後継レンズも楽しみです。
和を感じるこの被写体をどのフィルムシミュレーションが一番最適なのか色々試した結果、私の中でASTIAに落ち着きました。この水面の深い青はASTIAだから出せた色。このように写真のイメージと色が完璧にシンクロできるのがフジフイルム機を使っていて一番快感なところです。
以前X-Pro1やX100Fを所有していたのですが、フジフイルム機を使用してからセンサーサイズへの執着が無くなったように感じます。例えば、この石垣の描写。APS-C機のJPEG撮って出しでこの写りですから。カメラとレンズの完成度が高いからこそ、ワンランク上のカテゴリーとも同等に渡り合える写真が撮れるのが『FUJIFILM X-E4』の強みです。
夕方の陽に照らされている猫たちをスナップ。クラシックネガは情景にハマると本当に良い色です。そして『FUJIFILM X-E4』のサイズがスナップしていて最高に気持ちがいい。良いカメラです。
この優しい光の印象と影の階調を出すために選んだのは、またしてもASTIAでした。個人的に好みの色彩なのかもしれません。柔らかさを感じる野菜の葉、そして美しいフレアを演出してくれるXFレンズ。2,610万画素のAPS-Cセンサーながら硬さや荒さを感じない画作りに「JPEGで同じように撮れるカメラはどれほどあるのだろうか」と思ってしまいます。
絶対的な性能と信頼を、手のひらサイズに。
『FUJIFILM X-E4』を使用してみて、素直に普段持ち歩くカメラとして最高の一台だと感じました。小型の単焦点レンズを装着し、普段使いのバッグへポンとしまって、気のままにカメラを取り出して撮影する。肩に力の入らないコンパクトカメラのような使い方ですが、出てくる画は超一流というギャップがまた素敵なのです。
どこで何を撮るかで最高のカメラは変わってくるかと思いますが、例えばGFXユーザーが同じ色でもっと気軽に撮りたいとか、X-Pro3やX-T4を使用しているが、いつも持ち歩くにはちょっと…と考えている方にとって、これほど最適なカメラは他に無いかもしれません。また、他社製のカメラを使用しているユーザーには、この一台でXシリーズの素晴らしさを体感できるカメラです。
かく言う私もRAW現像前提のようなカメラを普段使用している身なので、『FUJIFILM X-E4』にだいぶ心が揺らいでしまいました。やっぱりJPEG撮って出しでこの色、この描写は最高だなと。日常の中にあるシャッターチャンスを逃さない、きっと名作はこういうカメラから生まれるのかなと思いました。
Photo by MAP CAMERA Staff