2013年秋にSONYから発売されたα7Rは高画素フルサイズ機ながら小型・軽量を実現した革新的なカメラでした。それから約2年、待望の後継機が登場です。今回のKasyapaは『SONY α7R II 』をご紹介します。まず本機の特徴として上げられる画素数ですが3640万画素から4240万画素の新型CMOSセンサーに変更されました。これだけでもモデルチェンジとして大きな変更点だと思うのですが、今回の『α7R II』はまだまだあります。コントラストAFのみだった先代に対し、驚きの399点像面位相差AF+コントラストAFの『ファストハイブリッドAF』を搭載。それに加え5軸ボディ内手ブレ補正機構を内蔵、4K動画撮影機能、高感度耐性の強化など、SONYの技術を惜しげもなく投入したカメラになってます。フラッグシップとも呼べる高性能機種へと進化した『α7R II』、その写りを確かめるべく早速試写へと向かいました。
まずは高層ビルを見上げての一枚から。ローパスレス+高画素CMOSという事もあり、解像感とキレ味は流石の一言です。CarlZeissレンズとの組み合わせもいいですね。コントラストの高い発色と細密な描写力は『α7R II』の描写性能を最大限に引き出してくれます。
西日が強く当たる時間帯の撮影でした。普通に目を開けているのも眩しい状況だったのでハイライト部が飛んでしまうのではと思ったのですが、『α7R II』は想像以上に白トビに対する耐性が強いです。そして写真を拡大して見てみると細かなディティールまでしっかり表現しているのが分かります。高画素センサー機は撮影状況にデリケートなイメージがあったのですが、なんだか本機は違いますね。後で高感度の撮影もしましたが、常に安定したパフォーマンスを発揮できる高画素機です。
蛍光灯の光る非常階段。辺りもすっかり暗くなりました。一昔前までISO800は“高感度”という認識でしたが、デジタル技術の進歩により今や常用感度になってしまいましたね。露出はライトの当たる階段部に合わせシャッタースピードが1/25という低速。しかし『α7R II』に搭載された5軸ボディ内手ブレ補正機構は強力で、ファインダーを覗いてもブレていません。しかもこのときは無音シャッター機能を使用したので撮影時のシャッターショックも感じられず撮影できました。
「高画素機は手ブレにシビア」ということは変わらないと思いますが、カメラの機能が効果的にアシストしてくれるので私の感覚だと「手持ちで全然いける」という印象です。
ここで高感度の撮影を試してみました。常用感度上限は先代と同じISO25600ですが、『α7R II』は拡張することによりISO102400まで使用が可能になりました。ま、とはいえ実際使えるのはどこまでなんだ?と思うのが皆さんの本音でしょう。各メーカーの方には失礼かもしれませんが、私もカタログスペックはあくまで“設定できる数値”であり、実際に撮影で使える上限は違うという認識です。いつもはISO3200やISO6400で撮影して判断をしているのですが、『α7R II』は高感度にも強いと聞いていたのでISO12800で撮影してみました。暗部を拡大すればノイズは見られますが、4240万画素という高画素機という事を考えると優秀な高感度性能だと思います。高画素と高感度は相反する特性だと思っていたのですが、『α7R II』はその常識の壁を一つ超えた性能だと感じました。
透き通るようなレースのウェディングドレス。ローパスレス機はモアレが出やすいというのが今までの常識でしたが、今回の試写ではモアレを感じるようなシーンはありませんでした。もちろんベイヤーセンサーなので出ないという事はないと思うのですが、感覚として出づらい印象ですね。
『α7R II』は夜でもスナップに持ち出せる機種ですね。ボディサイズは相変わらずの小型・軽量ですし、手ブレ補正と無音シャッターと高感度を合わせれば驚くほど手ブレに強いカメラです。
撮影を終えて思った事は「こんなに気軽に使える高画素機は今までなかった」と言う事。フルサイズ初の3600万画素機、5000万画素を超える中判・フルサイズ機など使用してきましたが、どれも少し気構えたり撮影状況を気にする所があったのに対し『α7R II』はそういったのがないんですよね。実はこれはもの凄い事で、天候や昼夜関係無しに常に安定して高解像力の奇麗な写真が撮れるという事なんです。三脚にドッシリ構えて撮るのもいいですが(確実に高解像力の写真は撮れます)、取り回しのよいボディと399点の位相差AFを生かし足で稼ぐ撮影に適したカメラだと感じました。
SONYの最新技術を全部詰め込んだ『α7R II』は最高クラスのオールマイティーなカメラです。一眼レフ派の皆さんも一度手に取ってみてください、今までのカメラの常識とあなたの意識を変えてくれる一台になってくれるかもしれません。
Photo by MAP CAMERA Staff