まず使用して感じたのは、小さなボディサイズからは想像のできない超高画質な写真が撮れるカメラだということ。久々にRX1シリーズを触ったこともあると思いますが、こんなに小さかったっけ?と思ってしまうほどコンパクト。クッションポーチに包み、普段使いのトートバッグにメモ帳などと一緒に入れて試写を行ったのですが、サッと取り出してシャッターを切ればフルサイズ機らしい広いダイナミックレンジと4240万画素の超高解像の画を出してくれます。ポプアップ式ファインダーも非常にクリアで見やすく、倍率も高いので覗いていて違和感がありません。付属のアイピースもいいですね。ファインダーを覗く目に周りの景色や光が入ってこないので撮影に集中することができます。試写中に思わず「このカメラすごいな」と手に持った『SONY Cyber-shot RX1RM2』をまじまじと眺めてしまいました。
『SONY Cyber-shot RX1RM2』は近接撮影ができるのも魅力の一つ。レンズ鏡筒部分のマクロ切り換えリングを回すと最短撮影距離が0.3mから0.2mへと切り替わり最大撮影倍率0.26倍というマクロ撮影が可能になります。写り味はフルサイズ機らしいボケ味と重厚な金属の質感を見事に表現してくれました。
どんなにカメラが好きでも、大きさや重さが理由で外出時にカメラを持ち出そうか迷うことがあると思います。そんな時は小さなサブ機を持ち出すのですが、「やっぱりメイン機をもってくればよかった・・・」と思うこともしばしば。その点からいうと『SONY Cyber-shot RX1RM2』は画質と小型・軽量を兼ね備えた、最強のカメラと呼べるかもしれません。単焦点レンズに慣れている方なら35mm単焦点レンズは、撮影距離に応じてなんでも撮れる万能画角。しかもクローズアップしたければ最短0.2mというマクロ機能もありますし、フルサイズ4240万画素を生かして大胆にトリミングすることも可能です。先代に比べ高感度性能も常用ISO感度100-25600、拡張ISO感度最高は102400と飛躍的に向上していますから、暗所や室内など手ブレが心配な条件でもシャッタースピードを下げ過ぎることなく撮影ができます。手のひらに収まるサイズでここまでの機能・性能を持ったカメラは他には無いでしょう。決して安くは無い販売価格ですが『SONY Cyber-shot RX1RM2』は現在発売されているデジタルカメラの中でも最高峰の性能を持ち、コンパクトというカテゴリーを超越した孤高の一台です。
センサー性能を引き出すのはレンズ次第。搭載されているレンズ『Sonnar 35mm F2』はさすがZEISSレンズと思わせる高コントラストでキレ味のよい描写力を見せてくれます。ビル群の間から見上げた空と建物の細部まで見事に写し出しているのがわかります。
絞り開放での描写は少し柔らかさを感じる線の出し方とこってりとした色味。ボケ味も滑らかでいいですね、バラの花びらの柔らかな印象をさらに引き立ててくれています。また、先代には無かった可動式液晶モニターもこうした近接撮影のアングルに役立ってくれました。高コントラストで122.9万ドットある液晶モニターはローポジションや手を伸ばして撮影するシーンに強い味方になってくれるはずです。
季節は冬、傾いた日の光は影をとても美しく映してくれます。この写真は影が強調されるように露出を変えて撮影しました。一見すると樹木の影が黒一色に見えますが、現像すると表皮の細部まで写し出すとても広いダイナミックレンジに驚かされます。
太陽を中央に構図した厳しい逆光での撮影。かなり強い光だったのですが、さすがT*コーティングを施したレンズ、フレアの発生は光源周辺のみに抑えられています。この写真も明暗の差が大きい条件だったのですが、共に画が破綻することなく階調豊かに表現してくれました。
『RX1RM2』の試写を終えて思ったのは、写真を撮る道具として純粋であり、そのコンセプトと設計がブレていないカメラだということ。日常でも旅先でも『写真にすべき瞬間』は突然やってくるものです。『RX1RM2』は常にカメラを持ち歩いても気にならないサイズ感と、シャターチャンスの時に直感的にわかる操作系、主張しすぎないボディは被写体へ1歩・2歩と踏み込むことができ、銘玉ZEISS・Sonnarレンズがその瞬間を切り取ってくれます。撮れる写真は高感度にも強く、階調豊かでありながら4240万画素の超高解像度フルサイズ画質。もうそれだけで最強のコンパクトカメラと呼べるのですが、『RX1RM2』はそれに加え内蔵したファインダーがとても良かったのが印象的でした。ガラスモールド非球面レンズ2枚と高屈折ガラスレンズ2枚の計4枚を使用した光学系のおかげで隅々までクリアによく見えるファインダーはその小ささを感じさせないクオリティーを実現しています。このファインダーの開発には相当な技術と費用を要しただろうと感じました。 焦点距離35mmは万能とはいえ、超広角や望遠レンズのような画は撮れません。しかし『RX1RM2』の取り回しの良さと圧倒的な描写力を活かせば、他のカメラでは撮ることのできない世界を切りとれるはずです。日々進化するデジタルカメラですが、改めてカメラという道具を考えさせられた1台でした。
Photo by MAP CAMERA Staff