圧倒的な解像力と美しいボケ味を両立したソニーの新レンズラインアップ「G MASTER」シリーズに待望の大口径望遠ズーム『SONY FE 70-200mm F2.8 GM OSS』が登場しました。今年2月に発表されCP+2016でも展示されていただけに、首を長くして待たれていたのではないでしょうか?望遠好きの筆者もその1人。さっそく撮影に出掛けてきました。
本レンズのスペックを見た時、真っ先に目に止まったのが最短撮影距離0.96mという接写能力の高さです。同じソニーでもAマウント用の「70-200mm F2.8G SSM II」が最短撮影距離1.2mですから、その凄さがお分かりいただけると思います。
運良く手に届く距離に咲いていた蓮の花。AF合焦のギリギリまで寄って撮影しました。カメラ高い性能もありますが接写による高い質感描写に驚きます。水分を含んだようなウエットな質感は、触れて感じた質感そのものです。手前に伸びる花びらのボケも綺麗で、ファーストカットから本レンズの凄さが伝わりました。
レンズの重さは1480g(三脚座別)。他社の同等クラスのレンズとほぼ同じサイズ感ですが、カメラが軽量なミラーレスシステムのおかげで、移動が苦になることはありません。
横須賀の海では、珍しい南極観測船の姿を見ることができました。対岸の遠い被写体ですが、船体の細部まで捉える高い解像力が確認でます。
広角端でも歪みなく、シャープな描写です。甲板の木目、鉄板の模様など撮影時には見えなかったものが、はっきり確認できます。ボケ味の綺麗な大口径「70-200mm」レンズはポートレートに使われる事も多く、本レンズもモデルさん泣かせのレンズとなることでしょう。
こだわりのボケ味を謳う「G MASTER」レンズ。背景へなだらかに続くボケ味は、圧縮効果の入った望遠撮影でも自然な立体感を演出してくれます。
最短での撮影では、薄いピント面を楽しむ事ができます。正面から強い光が差し込むシーンでも、コントラスト高く被写体の質感をきれいに捉えます。手前も奥も徐々にボケていく感じが自然で、カメラの高い解像力とのバランス良さを感じます。
高い解像力と柔らかなボケ味のバランスの良さから描き出される画は美しいの一言。柔らかさの中にもメリハリの効いた発色は、見慣れた景色にも新鮮さを与えてくれます。
F5.6まで絞ると解像感が更に高まり、高精細なカメラのセンサー性能をより引き出す印象です。繁華街の賑やかな様子や構造物の細部までしっかり確認できます。
AFの追随も優秀。カメラの高いAF性能を存分に引き出す印象で、架線が横切る難しいシーンでも列車の前面を補足しつづけてくれました。
そして開放F2.8に戻すとこの柔らかさ。本当に同じ機材なのかと疑いたくなる表現力の幅広さです。
優れた性能で非の打ち所の無いα7シリーズとEマウントレンズ群において、唯一欠けていたのが超望遠域のレンズです。それを補うかのように、本レンズ専用のテレコンバーターが2種登場。その組み合わせの描写力もご覧頂きましょう。
まずは1.4倍の「1.4× Teleconverter SEL14TC」との組み合わせから。
200mmから280mmに伸びての大迫力。80mm伸びるだけでこんなに変わるのか?と今更ながらに驚いてしまいます。網目の影のシャープ感など、テレコン装着による画質の劣化感も感じられず、さすが主レンズの光学性能を存分に引き出す専用テレコンといった印象です。
防衛上の理由から見えづらい場所に停泊するアメリカの原子力空母も、高精細な描写のおかげで細部までしっかり見ることができました。船体の大きさゆえに広角寄りを使うことになりましたが、画面全体でバランスとれた高い解像力が確認できます。
続いて2倍の「2× Teleconverter SEL20TC」を装着です。
被写体まで相当の距離がありながらも見事な圧縮効果は、さすが400mmの超望遠と言ったところでしょうか。
対岸の弁天堂の姿を残したいがために少し絞っての撮影でも花の立体感は健在。ファーストカットほどの瑞々しさは感じられませんが、花びらの質感もしっかり捉えているのが分かります。
折れた枝先に乗せられた餌を啄ばむ雀も、大きく引き寄せることができました。
望遠効果によるメリットも大きいですが、小型のミラーレスシステムと最短距離が短さが相まったフットワークの良さで、被写体に逃げられない間合いを探りながら撮影できたメリットは大きく感じます。
満を持して登場した大口径F2.8望遠ズームレンズは、最高峰の「G MASTER」シリーズの凄さを裏付ける素晴らしい性能を披露してくれました。
シリーズ最高スペックの4240万画素機の精細感を存分に引き出しながら余裕すら感じさせる描写からは、さらに進化し続けるデジタルカメラでも永く使える印象です。
美しいボケ味と高い解像力の両立させた贅沢なレンズはα7RIIユーザーの方はもちろん、α7シリーズをお使いの全ての方に使っていただきたい1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff