965:マクロ伝説の継承『TAMRON 90mm F2.8 Di III MACRO VXD E-Mount』
2024年10月24日
カメラ・レンズの歴史上、愛称で呼ばれ続ける存在は稀ではないでしょうか。記念すべき45周年、「タムキュー」の愛称で親しまれるタムロンの90mmマクロレンズがリニューアル。『TAMRON 90mm F2.8 Di III MACRO VXD』の登場です。12群15枚のレンズ構成内で4枚の特殊硝材LD (Low Dispersion: 異常低分散)レンズを採用、 BBAR-G2 (Broad-Band Anti-Reflection Generation 2)コーティングと、タムロン初の12枚羽根の円形絞りによる美しい玉ボケ表現や絞った際のすっきりとした光芒表現。リニアモーターフォーカス機構VXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)によるAF駆動とフォーカスリミッタースイッチによる時間短縮などスピーディかつストレスのないピント合わせを可能としています。専用ソフトウェアTAMRON Lens Utilityに対応しており、ピントリングの回転角をカスタマイズすることで、MFでのピントの微調整など、より自分好みにカスタマイズが可能。レンズフードにスライド窓が付いているので回転式のフィルターもフードを外すことなく操作できるような配慮もされています。
長さ126.5mm、質量630gと軽量かつコンパクトなサイズでどんなシチュエーションでも快適な撮影ができる『TAMRON 90mm F2.8 Di III MACRO VXD』。今回ソニーEマウント用とニコンZマウント用が発売。ソニーEマウントでは「α7RV」と組み合わせて撮影してきました。ニコンZマウント『TAMRON 90mm F2.8 Di III MACRO VXD Z-Mount』も紹介していますので併せてご覧ください。
造り物かと思っていたのですが本物の孔雀の羽根だというので撮影しました。『TAMRON 90mm F2.8 Di III MACRO VXD』はMF操作時のフォーカスリングのトルク感にもこだわっており、片手がふさがった状態での撮影でもピントの微調整が可能です。たとえば私の場合ですが、左手でレンズを支えつつ小指だけでフォーカスリングを回して操作することが出来ました。フォーカスリミッターを切り替えることでAFの精度・速度が抜群に上がるので適宜、切り換えるのがオススメです。
寄れてしまうのでついつい最短撮影にこだわってしまいますが、マクロレンズの魅力は寄れることで「構図をつくる自由度が増す」ことだと思います。今回は余白を作らずにドレスで画面を埋めたい、でも金色の帯もバランス良く入れたい。という意図から寄る位置を調整しました。ほぼ制限のない撮影が出来るというのは物撮りするときにとても心強いです。手持ち、ストロボなしでの撮影だったので感度は低めに、出来る限り絞って1/40秒というシャッタースピードでしたがブレることなく撮影することが出来ました。
タムロンの「T」の文字を強調したくて開放絞りで撮影しました。被写界深度の浅さを活かして接写でピンポイントにピントを当てるということが出来るのもマクロレンズの面白さです。
奥行きのある被写体を最短撮影距離で撮ると被写界深度の浅さが気になってしまうかと思いF4に絞って撮影しました。表面に生えている微細な毛までしっかり解像しており、ボケ味も自然で綺麗です。
明るいところから暗いところへの光のグラデーションのなんと滑らかなことか。その場その時の光を忠実に再現してくれます。リサイズされた画像ですが拡大して細部を確認してもその高い解像力が見て取れます。タイル一枚一枚の違いをしっかりと描写してくれています。
前後に面白いボケが。肉眼ではこんな風に玉ボケが散りばめられているようには見えず、ファインダーを覗いてみてこの世界があったので面白くて撮影しました。綺麗にボケで溶かす印象がありましたが、こんな風なボケも意図して作れるのかと新たな発見がありました。
このボケの美しさに何度も魅了されました。マクロレンズとしての使い方だけでなく中望遠レンズとして風景やポートレート撮影でも大いに活躍してくれること間違いなしのレンズです。
BBAR-G2 (Broad-Band Anti-Reflection Generation 2)コーティングのおかげで朝焼けの逆光でもゴースト・フレアを恐れず撮影することが出来ます。ピントを中ほどに置いての立体感、もはや溶けるという表現ではなく透けているように綺麗な前ボケに感動しました。
マクロ伝説の継承
ニコンZマウント『TAMRON 90mm F2.8 Di III MACRO VXD Z-Mount』で撮影をして十分に写りの良さを堪能していたので、ソニーE-Mountでは被写体を変えて撮影してみました。最短撮影にこだわらずに撮ろうと思っていたのですが、やはりマクロレンズを持ったら寄りたくなってしまうようです。華やかなもの、渋い色味のもの、自然物から人工物、様々な質感を持つ被写体を撮りましたが、その一つ一つを忠実に描写。三脚使用はもちろん、手持ちスナップでも快適な中望遠&マクロ撮影が出来ました。歴代タムキューのこだわりである高い解像度と美しいボケ味を確かに継承し、あらゆる面でさらなる進化を遂げた『TAMRON 90mm F2.8 Di III MACRO VXD』。歴代「タムキュー」を使っている方にも今回初めて使うという方にもぜひ楽しんでいただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff