5Dユーザーにとってこの4年半はとても長く、待ち遠しい歳月だったのではないでしょうか。そして2016年9月8日、ついにEOS 5D Mark IIIの後継機『Canon (キヤノン) EOS 5D Mark IV』が発売されます。今回のKasyapaはその進化した『EOS 5D Mark IV』の実力をいち早くご紹介したいと思います。まず注目すべきはその解像力、2230万画素から3040万画素へと進化した新開発のCMOSセンサーは解像力を重視するためにローパス効果は従来機よりも弱めに設定されています。そこにセンサー性能を最大限に生かすべく映像処理エンジンDIGIC6+を組み合わせる事で高解像度と高感度性能を両立させつつ、さらに秒間7コマの連写性能と4K動画録画を実現させました。また、撮影にはAF性能も非常に重要な機能です。『EOS 5D Mark IV』のAFセンサーにはEOS 1D X Mark II にも搭載されている61点高密度レティクルAF IIを採用し、EOS 5D Mark IIIと測距点数は同じでも大幅に性能が向上しています。
まずは1枚目。『EOS 5D Mark IV』の高解像力をご覧ください。遠くに見えるマンション群を望遠レンズで捉えたのですが、その細密な描写に驚いてしまいました。画像を拡大すると細い柵だけでなく外壁の細かな凹凸まで確認できるかと思います。これだけの解像力でモアレが出ていないのもすごいですね。ローパスフィルターの効果を弱めた事でモアレが目立つのではと懸念していたのですが、その心配も不要のように感じます。画素数で言えば EOS 5Ds/5DsRの5060万画素という特別なカメラが存在しますが、『EOS 5D Mark IV』の解像力も目を見張るほどの実力を持っています。
船上から景色を眺めながらお台場を目指します。『EF16-35mm F4L IS USM』の高画質な性能もあると思いますが、写真の四隅まで非常に解像力が高いのがわかります。9月とはいえ日差しの強い日だったのですが、『EOS 5D Mark IV』はハイライト・シャドウ共に粘りがあります。 とてもバランスの良いセンサーだと実感できました。
この写真も『EOS 5D Mark IV』の高画質がわかりやすいかと思います。レインボーブリッジの細かなワイヤーや鉄骨などよく捉えていますね。浮き立つような立体感も見事です。
船着場に到着しました。『EOS 5D Mark IV』を使用していて感じたのは高画素機なのにハイライトの表現が自然だという事。EOS 5Ds/5DsRは解像力がものすごい分、白とび、黒つぶれにピーキーな一面もありました。その点からすると『EOS 5D Mark IV』で新たに採用したCMOSセンサーは解像力とダイナミックレンジとのバランスが絶妙でどんな状況下でも写真が撮れる安心感があります。
初めて『EOS 5D Mark IV』のスペック表を見たとき、従来機と比べてセンサー以外の目立つ進化点は?と思ったのですが、実際に使用してみると全てが明らかに違います。
まずボディを持った瞬間に「おぉ!軽い!」と思わず声が出てしまうほど軽量化がなされている事。プロユース向けの一眼レフは大きくて重いというのが当たり前のように思っていました。これは大型で重量のあるレンズにも耐えられる為であったり、撮影現場で起きるうるショックやスレ傷にも耐えられるようにボディ剛性がエントリー機やミドル機と比べ別物と言っていいほど屈強に作られている為です。しかし『EOS 5D Mark IV』は剛性を保ちながらも従来機より約60gの軽量化に成功。これは数値以上に体感できる変化です。
また先にも申し上げましたが、スペックシート上でAFの測距点数は従来機と変わりませんが、そのユニット自体はEOS 1D X Mark II と同じものを搭載していますから、スピード、レスポンス、AF-Cでの動体撮影能力が格段に進化しています。そしてライブビュー撮影では指で触れた直後にピントが合焦する「デュアルピクセル CMOS AF」が凄いです。ファインダー時ばりにAFスピードが早いですから、三脚を使用してでの撮影時に活躍してくれる事でしょう。
その他、ほぼ完成されていた操作系も少し変わり、絶妙な位置に測距エリア選択ボタンが追加になったり、背面液晶のタッチパネルによる操作が可能になったりと、撮影の基本となる操作や設定のしやすさもブラッシュアップされています。
それらに加えてEOSシリーズ屈指の解像力も兼ね備えていますから、総合力ではCanon機ナンバー1と言っていいほど『EOS 5D Mark IV』は完成されたカメラに仕上がっています。
焦点距離:100mm / 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/850秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon (キヤノン) EOS 5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM
満開のキバナコスモスを『EF70-200mm F2.8L IS II USM』開放で撮影した一枚。真ん中の花にミツバチがとまっているのがわかりますでしょうか?
撮影していてシャッターもいままでと何か違うと感じました。これは新開発のミラー振動制御システムを搭載している為で、シャッターを切った直後に感じるミラーショックが従来機より低減されています。また、シャッター音をソフトにしてくれる機能も搭載してありますので、野鳥や野生動物などのネイチャー撮影だけでなく、結婚式などフォーマルな場面の撮影でも活躍してくれそうな機能です。
結婚式の写真撮影でしょうか、艶やかな着物が素敵でした。『EOS 5D Mark IV』はJPEG撮って出しの色や表現もとてもよくなった印象があります。これは優れた映像処理エンジンDIGIC 6+ の力なのかもしれませんね。
秋の訪れを感じさせるピンク色のコスモス。すこしハイキー気味で印象的な色で写真を仕上げてみました。
このカットも凄いですね。中央のエレベーター通るガラス面の両脇に細い線が並ぶ外壁があるのですが、この状況でもモアレが発生せず、凄まじい解像力を見せています。
ちょっと構図重視なカット。『EOS 5D Mark IV』は機動性という点も大きな武器ですね。軽量化された本機はボディサイズ以上に取り回しが良くて、まるでEOS 6Dのような軽快さがあります。
憧れの車の質感が際立つようにローキーで撮影。艶やかなボディの表現やヘッドライト部の美しい金属光沢など見事に写し出してくれました。シャドウのトーンも素晴らしいですね。色の深さを感じられます。
『EOS 5D Mark IV』の常用ISO感度は最高32000を達成しており、実際にどのくらい実用的なものなのか多くの方が気になるところかと思います。高感度耐性が強ければ室内や夕暮れ時などにシャッタースピードを保ったまま撮影ができますから、撮影できるシーンや被写体が格段に広まります。EOSシリーズの強みとも言える高感度性能がどれほど進化をしたのか試してきました。
ISO感度12800で撮影。どうでしょう?超高感度とは思えないほどディティールがしっかりしていて綺麗に見えますよね。現在出ている多くのカメラにとってISO12800は実用できるか否かのボーダーラインと呼べる数値だと思います。その点『EOS 5D Mark IV』は低ノイズで立体感もあり、十分実用範囲内と呼べる画質と言っていいでしょう。
続いては最高の常用感度であるISO32000での撮影。これも驚きました、ISO32000でこの画質です。暗部はそれなりのザラつきはあるものの、カラーノイズを全く感じない分、写真として見たときにとても綺麗な印象を受けます。輪郭線もボヤッと滲む感じがありませんね。素晴らしい高感度耐性です。
『EOS 5D Mark IV』はハード面・ソフト面含めて、全ての機能が向上した完成度の高いカメラでした。発表当時は販売価格が上がったインパクトが大きかったのですが、実際に使うと「なるほど、これはいいカメラだ」と納得してしまう進化を感じられるはずです。Kasyapa担当者としては本機の事を「Canonのもう一つのフラッグシップ機」と言いたいですね。トータルバランスが向上しただけでなく、静止撮影・動体撮影・動画撮影全てがプロユースに対応したレベルの高いものになっています。
現在は3500万画素・4000万画素・5000万画素と画素数だけみれば上のカメラが多く存在します。しかし画素数=高画質という方程式は必ずしも当てはまるものではなく、今回『EOS 5D Mark IV』で撮影した写真でもわかる通り、解像力とダイナミックレンジの両立、そして色彩表現によって画質というのは大きく変わるものです。その点で見ると『EOS 5D Mark IV』は今まで使用してきた高画素機の中でも最高峰の解像力と画質力を持っているカメラですね。そこはぜひEOSユーザーのみなさんに使用してその実力を体感していただきたいです。きっとスペックシート以上の凄みを感じるはずです。
EOS 5D Mark IIIも素晴らしいカメラでしたが、『EOS 5D Mark IV』はそれを全て超えてきました。新しい5Dは最高の5Dです。
Photo by MAP CAMERA Staff