今回はタムロンの『70-180mm F2.8 DiIII VXD』をご紹介します。開放F値2.8の望遠ズームで、いわゆる大三元レンズです。大三元といえばその性能と引き換えに、ちょっぴり大きかったり重かったりするものです。しかしながら当レンズは、35mm判フルサイズ対応の大三元望遠レンズで世界最小・最軽量。そして描写性能もぬかりありません。高速・高精度AFも相まって、その機動力により撮影者は自由を得られます。撮影者は「撮影する」という本質に集中することができるというわけです。 そんな当レンズをSONY α7IIIに合わせ、動物園に行ってきました。
それは一瞬の出来事。ニホンリスが駆け寄ってきて、こちらを覗き込みました。すぐにどこかへ消えてしまったのですが、貴重な瞬間を逃すことなく、当レンズはリスの表情を捉えることができました。クリクリとした黒い瞳には、周囲の光と影が精細に映り込んでいます。
サンザシの一種でしょうか。おしべが長く、花びらからはみ出ているのが特徴的です。咲いている雰囲気そのままに捉えたくて、白い綺麗な花をふんわりと写しました。
ガラス越しのニホンキジ。小さな女の子がガラスに手をついて見つめると、好奇心旺盛なニホンキジは彼女に寄って行きました。ガラスに手を触れながら移動する彼女に、ニホンキジはついていきます。人懐っこい行動にみんな大喜び。 少し暗い屋内ということでF2.8の開放で撮りましたが、つやつやした鮮やかな羽は美しく精細に描写されています。
シカが食事をしています。近くにあった葉を前ボケに入れ、優しい雰囲気で撮りました。ふんわりした雰囲気を出しつつも、まつ毛一本一本まできちんと見えますから、そのリラックスした表情と仕草になんとも癒されます。
続いてフェネック舎へ。何匹かいましたが、全員揃ってお昼寝中。動いているところを見たかったけれど、寝顔もかわいいものです。フェネックの外見は、大きな耳がチャームポイント。そして砂漠に住む動物ということで、砂のような色をしています。まるで焼きたてのトーストのようです。 周囲の人が「ここの動物園で一番かわいいのはフェネックだよね!」と口々に言っていたので、改めてじっくりと観察してみることに。穏やかな寝顔を見ていると、1匹がむくりと起きあがり、こちらを見ながら首を掻き始めました。ルックスもさることながら、この大らかな態度も人気の秘訣かもしれません。
小屋の上の方を見やると、かわいらしいステンドグラスを見つけました。左のゾウは、はな子でしょうか。69歳まで生き、映画などにもなった有名なはな子。この動物園の象徴と言ってもいいかもしれません。
白鳥が泳いでいました。よく見ると水かきのついた黒い足が水の中にあります。その姿は水面に映り、美しい線対称を描いています。
視界が開けた先に、池と空が広がります。当レンズの繊細な描写で、初夏の気持ちの良い景色を見たまま写真に収めました。奥にある橋にどんな人が歩いていたか、薄くかかった雲の微妙なグラデーションがどんなだったか、写真を見ながら散歩を振り返るのでした。
小型軽量の望遠大三元がもたらす解放感
世界最小・最軽量と謳われる当レンズ。実際に撮影してみて、重量からの解放に身も心も解き放されたと感じました。一度味わうと重いレンズには戻れないと思ってしまうほど。それでAFが速く描写性能も良いとくれば、ぜひとも手に入れたいレンズです。 そして皆様気になっていらっしゃると思うのですが、70-200mmでなく70-180mmであることについては、実は撮っていて意識することはほとんどありませんでした。しかしながら、180mmのテレ端を多用していたのも事実。あと20mmあったらあったで重宝したことでしょう。 総合力が高く快適。当レンズじゃないとダメだという方もいらっしゃるはずです。ぜひ一度使ってみていただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff