新世代スターレンズ第1弾『HD PENTAX-D FA★ 50mm F1.4 SDM AW』から約2年の歳月を経て、第2弾『HD D FA★ 85mm F1.4 ED SDM AW』が登場しました。高性能なスーパーEDガラスや非球面レンズを惜しみなく採用して極限まで諸収差を低減しており、歪曲収差に関しては約4mでほぼ0%(Zero Distortion)を実現、パープルフリンジの発生も効果的に抑制できるようになったということです。PENTAXユーザー待望の単焦点スターレンズ。開放をメインに絞り込みまで撮ってきましたのでぜひご覧ください。
お店の一角に展示しているアンティークな車があって、ガラス越しの内装が綺麗だったので撮影しました。前面のガラスに文字が書いてあり、絞ると文字の輪郭が。開放で撮ることで綺麗にボケてくれました。
続けて開放での撮影。曇天時の淡い光を絶妙な階調で表現してくれました。少し絞った状態でも撮ってみたのですが、光の柔らかさを感じられる絞り開放の写真を採用しました。こういうローライトな環境下でも期待通り、いや期待以上の写りをしてくれるのはさすがスターレンズといったところでしょう。
最短撮影距離でF5.6まで絞って撮影。開放ではピント面が浅かったため絞って撮り直したのですが、線が太くなることも硬すぎる描写になるわけでもなく、自分が欲しい被写界深度を得ることだけを考えることが出来ました。昼過ぎから晴れ予報だったのですが、この時はまだ曇天。ただこの時店の外から入る光がとても綺麗だったので撮ってみました。食べ物を撮る習慣がない身でありながら、ここまで写せるのかと驚きました。
さらに絞り込んでF8での撮影。この写真は住宅街に咲いていたヤマボウシを撮りました。背景には壁が写っているのですが、シャドウを暗くすれば日常感はなくなると思い撮影した結果大成功。切り取り効果のある85mmは、少し工夫するだけで日常を特別なものに見せてくれます。個人的にも85mmは私生活でよく使う画角で、ふらふらと歩きながら撮るにはぴったりな画角だと思っています。
F2.8まで絞って撮影。陽が射してきたおかげで色んなものが輝きだします。ガラス瓶の描写に艶があるだけでなく、今まであまり感じたことのなかった立体感というか生々しさを感じました。手に取れてしまえるのではないかと思う解像力です。このレンズを使っていると水面や鏡面の描写がとても艶っぽく写ります。
何気ない日常が特別な瞬間に。
こちらも開放での一枚。リンクコーデで歩く家族と逆光の組み合わせが魅力的だったのでとっさに撮影しました。オーバー気味の露出になってしまいましたが、AFの精度も良く、パープルフリンジもうまく抑えられていますし、アウトフォーカスの立体感も見事。ポートレート撮影にぜひ持ち出してみたいと思うレンズの1本です。
こちらは意図的にハイキー気味に撮影した一枚。F2に絞るとこれだけ距離があっても、金網の線がスッキリと解像されています。解像を求めたい時はこれくらい絞るのが理想的だとは分かっているのですが、開放のときにだけふわっと柔らかくなるコントラストも捨てがたいのです。ほんとうに悩ましいレンズです。
少し大げさに前ボケを取り入れてみた一枚。このレンズを使っていると合わせたピントからの立体感が兎にも角にも気持ち良すぎて、線の細い被写体を見つけては撮り続けてしまいます。「撮りたいものを撮る」はずが「撮れるものは全部撮りたい」になってしまう魔性のレンズです。
メリーゴーラウンドを撮影。百年以上の歴史があり、一頭一頭手作りで微妙に表情の違う動物たち。実はこちらの園はあと2か月ほどで休園が決まっており、一度お休みをする回転木馬。その背景を知ってしまうと、どこか物悲しく見えてしまうのですが、露出の切り詰め方に気持ちが表れてしまったかのようです。叶うならそれまでに一度、ネオンがキラキラと輝く夜に駆ける姿をこのレンズで撮ってみたいです。
PENTAXユーザーだけが持てる悦び。
写真だと伝わりにくいかもしれませんが、一般的な中望遠レンズなら「凸」型なのに対し、このレンズは第一面が「凹」型になっています。今まで85mmは沢山使ってきましたが、このような形のレンズは見たことがありません。贅沢なレンズを惜しみなく使っている為、撮影後の帰り道はズッシリきますが、撮影中は撮るのに夢中になり重さを忘れてしまう魔法のレンズ。85mmのレンズを使う場合は開放値がF1.4のレンズでも、多用するのはやはりF2くらいから。勿論このレンズもF2まで絞ったほうが解像感も良くなります、しかし「開放の魅力」を味わいつつも解像感を得る、というのは最新設計のこのレンズだからこそだと思います。PENTAXユーザーだけが持てるこのレンズ、ぜひ多くの方に使ってみていただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff