全てにおいて高性能を誇るソニーのGMシリーズのラインナップに『SONY FE 35mm F1.4 GM』が加わりました。35mmという画角は写真はもちろん映像でもとても使いやすい広さですから、待っていた方も多いはずです。大きく深いボケ味と高解像性能の両立が特長のこの大口径広角単焦点レンズ。早くて正確なAFや、「ナノARコーティングII」による高い逆光耐性とクリアな画質も魅力です。気になる最短撮影距離は、AF時で0.27m、MF時で0.25m。グッと近づいて背景を大きくぼかす作品作りが可能です。そして安心の防塵・防滴性能に加え、約524gと小型・軽量化を実現。あらゆるフィールドにおいて頼りになる『SONY FE 35mm F1.4 GM』を『SONY α7R IV』に合わせて撮影してきました。
冒頭の写真は、テーブルに運ばれてきた白い生プリン。右下にあるニワトリ型の器具を使って自分で卵黄を乗せ、ソースをかけていただきます。高さのある器に入ったプリンを主役に開放F1.4でピントを合わせると、トレーに置かれた他の食器類はたっぷりとしたボケ味で自然と脇役になりました。落としたての卵黄の色艶が見事です。
予め味や時間をオーダーしておくとフレッシュなコーヒーを無人のロッカーに入れておいてくれるサービスがあります。誰にも会わずにコーヒーをピックアップできるので、このご時世にピッタリ。ラベルには名前など好きな文字を入れられるので、今回は「Kasyapa」としました。おしゃれなコーヒーを朝日にかざし、通る車に反射した光が丸ボケを作るタイミングに合わせてシャッターを切ります。透けるコーヒーが澄んだ味わいを想起させます。
撮り尽くされた浅草寺の提灯。今回は提灯の赤い蛇腹部分はあえて入れず、下の金具を主役にし仲見世通りの奥行きと合わせてみました。開放F値1.4の美しいボケ味が際立ちます。
提灯の下に入って見上げると木彫りの龍がいました。迫力のある表情と細かな年輪が印象的です。提灯は定期的に新しいものに交換されこちらもそれほど古くないことから、伝統的な手法で色づけられた龍も鮮やかです。
路地の向こうに扉があり、その前を次々と人が遮るのが面白くてシャッターを切ります。薄暗い路地のガラスや金属の芯のある質感が美しい一方で、壁の白も白飛びすることなく綺麗にディテールが残っています。
仲見世通りの屋根には小正月の飾りである餅花がずらりと飾られていました。その様子と澄み切った青空を背景にいちご飴を撮りました。ボケ過ぎず餅花の色形がわかるよう適度に絞ります。いちご飴は太陽を受けキラキラと輝き、よく見ると光芒ができています。硬そうな飴に閉じ込められたいちごの種も精細に描写されています。
おみくじが入っている引き出し。開放F値1.4にすると番号の部分だけにピントが合い、その前後からは急に大きくボケます。急に深くなる海のよう。おみくじに書かれている「待ち人」とは、人生を良い方向に導いてくれる人のことなんだそうです。それを知ってからますます「待ち人」の部分がおみくじの楽しみになりました。
商店街にウツボがいるとは驚きです。こちらを見て威嚇しているような表情を狙います。水とアクリル板越しにもかかわらずウツボの皮膚の細かいシワまで見事に解像しており、さすがGMレンズだと唸ります。
ボケ味もキレも、ここに極まる
開放F値1.4と言われるとつい開放にしたくなり、そしてこのレンズは深く濃厚なボケ味で期待に応えてくれます。しかしボケ味だけではなく、解像感にも圧倒されたのです。Kasyapaを執筆する際にはそのレンズの一番の魅力は何だろうと毎回考えるのですが、『SONY FE 35mm F1.4 GM』はボケ味もキレも甲乙つけがたく、その両立こそが一番の魅力だと結論づけました。高速で正確なAF、逆光耐性、短い最短撮影距離など、他にも多くの魅力があり、写真撮影でも映像撮影でも作品をワンランクアップさせてくれそうな頼れる一本です。ボケ味もキレもどちらも極まっている凄み。ぜひご体感ください。
Photo by MAP CAMERA Staff