シグマのContemporaryラインにまたしても素晴らしいレンズが追加されました。今回登場したのは『SIGMA Contemporary 28-70mm F2.8 DG DN』。ズーム全域で優れた光学性能を備える『SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN』をベースに、Contemporaryラインとして常用できる大口径標準ズームを目指して設計された、約500g未満のF2.8ズームレンズです。レンズ枚数は減らしつつ、非球面レンズ3枚、FLD2枚、SLD2枚といった特殊硝材をふんだんに採用。スーパーマルチレイヤーコートとナノポーラスコーティングにより、優れた逆光性能を実現と、全く妥協のない性能となっています。『SIGMA fp』との組み合わせでは約980gという軽量クラスを実現していて、手振れ補正なしでも全く問題なく撮影できたことが素晴らしい強みだと感じました。予想を遥かに上回る結果になった『SIGMA Contemporary 28-70mm F2.8 DG DN』。ぜひその写りをご覧ください。
とある街のアメリカンハウスを再現した家屋。実際に住むとしたら大変な部分もあると思うのですが、こういうスタイルはとても好み。一枚目の写真は斜光が差し込んでいるところにあるポスターです。ズームレンズだからこそ一つの要素を色んな捉え方で楽しめました。広角から中望遠まで一本で撮影出来るというのはこういう時に本当に便利だと思います。色味はだいぶ悩んだ末に「ティールアンドオレンジ」を選択。カーテンが緑色だったので色の被り方として「フォレストグリーン」もよかったのですが、「アメリカン」な雰囲気を重視して決めました。
この細長い一本道を抜けるとそこには一面、海が広がります。陽の傾き加減がちょうど良い時に歩くことが出来、塀の影になる部分と陽の当たる部分がちょうど半々になるという少し嬉しい偶然が起こりました。広角側が28mmだと少し足りないんじゃないか?と思う方にこの画角の広さを実感してもらえたらと思います。この写真は開放絞りなのですが、しっかりと道の奥の人物もシャープに解像しています。広角端、開放絞りでこれだけ写るのはすごいことだと思いませんか。
この時期はあまり役目が回ってくることもないでしょう。浜辺でボート達が木漏れ日の中休んでいました。なんだかバナナみたいな色の組み合わせだなと面白く感じたので撮ってみたのですが、ザラザラとした質感がしっかりと描写されていて解像度の高さに改めて驚きました。
気が遠くなるような時間を経ているとはいえ、岩礁帯の岩の形など見ていると自然のパワーというものを実感します。ちょうど太陽を背にする形で青空と一緒に撮ったところ、コントラスト、解像、発色ともに非常に高い仕上がりになりました。
鳥居と灯台の間にカーブミラーが挟まる構図が見つかったので記念撮影。標準域の開放絞りで撮ってみたのですが、想像を遥かに超える立体感が生まれていて驚きました。逆光により少し光が強かったのでカラーモードを「ポートレイト」にして画を全体的に柔らかくしてみたのが功を奏した形になったかもしれません。「カーブミラーポートレイト」の可能性、見えました。
防波堤沿いを歩いていたら、まさかの防波堤をランニングする人が追い越していきました、とても気持ち良さそうだなと思いますが筆者は落ちることを考えておそらく走れません。咄嗟の撮影でしたが、しっかりとオートフォーカスが捉えてくれました。こちらはテレ端70mmでの開放絞りですが、心地良いボケ感と解像感です。
海岸沿いをひたすら歩いたので少し休憩を。この1枚は最短撮影距離ではありませんがワイド端では最短撮影距離が約19cmという短さ。テレ端でも約38cmという有能さ。使えば使うほど感じる使い勝手の良さと写りの良さに「これは凄いズームレンズが生まれたな」とただただ感心してしまいました。
家と家の間の細い路地なのですが、立派すぎるものが生えていて面白かったので撮影。ピント面のキレやスムースなボケも素晴らしいのですが、個人的には画面の端っこまで綺麗な丸ボケのままとか、逆光のフレアの柔らかさなどが目を惹きました。
今回訪れた町にはこんな風にかなり年月が経った建築物が点在していて古い物好きな筆者としては誘惑が多い町です。この写真を撮った頃には日暮れが近づいていたのでISO感度を上げて開放絞りで撮ったのですが見事なディテール描写です。カラーモード「シネマ」がボロボロになった壁に少しだけ取り入れた窓、という構図をきっちり締めてくれました。シグマのカメラとレンズでこの画を撮ったというのは筆者のちょっとしたオマージュでもあります。
飛行機雲が拡散されたのでしょうか。帯状に伸びつつ拡がってゆく白い雲が印象的な夕焼け空。カラーモード「サンセットレッド」がマジックアワーの微妙な空のニュアンスにピッタリです。広角端でF9まで絞ってみましたが、クルーザーの細い帆線もくっきりと写っています。雑味のないクリアな描写です。
ヤシの木が異国情緒を醸し出すリゾート地。夕暮れにシルエットになった人たちが撮影を楽しんでいました。途中にも1枚挟んだ「21:9」のアスペクト比。シネマティックな効果を与えるという点もあるのですが個人的にはスナップ感覚でサクッと撮りたくなるアスペクトでもあります。道中も標準ズームのテンポの良さも相まって何度も「21:9」に切り替えながらシネマの世界を楽しみました。
寄るも開けるも絞るも引くも
筆者は今回の撮影の中で解像、ボケ味、重量、ほぼパーフェクトに近いレンズだと感じました。何よりも「ボケ味」に関しては筆者のズームレンズのイメージを刷新してしまうほどの写りです。手ブレ補正はありませんが、今回の撮影で手ブレでミスショットになってしまったという記憶もありません。「広角端、絞りこみ」の解像を楽しむも良し、「テレ端、開放絞り」のボケを楽しむも良し、「標準域、開放絞り」の立体感を楽しむも良し。全ての手札が非常に高いレベルでまとまったレンズです。個人的には少し絞った時の解像感も好みですし、本当に様々な楽しみ方が出来るレンズだと思います。「ズームレンズの選択」に迷い続けてきた方にとってもこのレンズは「大本命」たりえると思います。ぜひ軽快でハイクオリティな撮影をこのレンズでお楽しみください。
Photo by MAP CAMERA Staff