SONYのα7シリーズに新たな“ベーシック”モデルとなる『α7IV』が登場しました。第四世代となる本モデルは「α1」や「α7SIII」から継承された機能や操作性など、撮り手のニーズを汲みとり、前モデルを大きくブラッシュアップした一台となっています。中でも注目したいポイントが、動画性能の強化。4K60pや10bit記録に対応するなど、時代の変化を感じさせます。早速ですが、様々な条件で動画撮影を試して参りましたので、じっくりとご覧ください。
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撮影に関しては、被写体によって24p/60pを切り替えながら収録を行いました。4K60p記録は、APS-Cモードのみとなりますが、今回のプロジェクトでは24pのタイムラインを使用し、2.5倍のスローモーション素材として扱いました。ピクチャープロファイルは、スキントーンの描写が得意とされる「S-Cinetone」を選択。ハイライト・シャドーのバランスが良く、風景撮影でも撮って出しはもちろん、後編集でも使いやすいルックです。
Shot on α7IV
一面緑色の大根畑。葉の重なり一枚一枚が感じられる緻密な描写。3300万画素の高画素を活かした、4K映像は「α7III」と比べて鮮鋭度が一層高まった印象を受けます。高ビットレートでの撮影も可能になったことで動きの細かい被写体でも画面の隅々まで安定した画質が得られます。
砂浜に吊された大量の大根。これは、三浦市名産の「たくあん」づくりのために、12月頃から行われる乾燥作業で、地元では冬の風物詩として親しまれています。ピント面のキレや立体感もフルサイズ機の醍醐味です。
日没前の美しいグラデーション。8bitから10bitへ情報量が増えた事により、空の表情も見事に描いてくれます。足場の悪い環境での撮影でしたが、α7IIIと比べて、より防塵・防滴に配慮した設計となったことで、臆することなく様々なフィールドへ持ち出しやすくなりました。
日中とは異なり、雲の多いどんよりした天候。フラットな光でしたが、しっかりと奥行きを感じられる仕上がり。現場の雰囲気も上手く表現してくれました。編集時にシャドー部を持ち上げましたが、ノイズ感も良好で10bitの恩恵を実感しました。好条件でないときにこそ、カメラのポテンシャルを見せてくれます。
すっかり日も暮れて、高感度撮影に挑みます。使用したのは純正レンズで最も明るい「FE 50mm F1.2 GM」、ISO8000での撮影です。辺りに街灯は無く、ライト無しでは歩くのも厳しいロケーション。唯一の光源は暗闇を照らす灯台のみで、半ば動画での撮影は諦めていましたが、灯台の光跡と星空を見事に捉える事が出来ました。さすがにノイズ感はありますが、この感度でここまで写れば言うことありません。うまくディテールを保持しながら描写してくれたので、ライティングの難しいネイチャーやドキュメンタリー撮影など、幅広いシチュエーションで活躍が期待されます。
α7、新たなステージへ
動画視点で見ると前モデルの「α7III」は、4K60pや10bit収録など、現在の動画ユーザーが求める水準からすると少々物足りなくなってきたところがありました。今回登場した「α7IV」では、そのあたりもしっかりとクリアして、メーカーが謳う“「Beyond Basic」次代の、新基準へ。”に相応しい写真・動画のハイブリッドカメラへ進化したと思います。撮影を快適にサポートにしてくれるバリアングル液晶や操作ダイアルも扱いやすく、心地良い操作性は、写真だけでなく、もっと動画にハマりこみたい人にもおすすめです。撮りたい気持ちにしっかりと答えてくれるカメラですので、ぜひ常に持ち歩いて使い込んで頂ければと思います。
Movie by MAP CAMERA Staff