ついに登場した、SONYのフラッグシップモデル「α1」。新型センサーによる高速フォーカスや、30コマ/秒の高速連写、αシリーズ初の8K動画など、数多くの最新技術が投入され、スチルだけでなくムービーにおいてもトップクラスの性能を手に入れました。今回はシリーズ初となる8K動画をレポート。作例カットを交えながら実際の使用感などをお届けします。
撮影の舞台は、栃木県「日光市」。山々に囲まれた美しい自然や歴史ある建造物を「α1」と共に全編8Kで撮影しました、細部まで記録された8K映像をぜひご覧ください。
SONY α1 | 8K MOVIE
α1が捉える緻密な描写は圧巻の一言。目の前の光景を余すことなく記録する圧倒的な解像力と豊かなダイナミックレンジ。HDや4Kでは味わえない、映像のリアリティに思わず引き込まれます。環境が許せば、ぜひ全画面で8K画質をご覧ください。
撮影セッティング&編集
撮影は2日間、天候は晴れや曇り、場所によって霧も出ていて様々な景色を記録する事が出来ました。8K撮影のビットレートは400Mbps、200Mbpsから選択可能。どちらもSDカード(V60)に記録が出来るので、これまで以上に8K撮影が気軽に試せます。今回の撮影ではピクチャープロファイル(PP11)「S-Cinetone」を使用。S-Cinetoneは全体的に落ち着いた色調で自然な色再現と優れたスキントーンが魅力。癖が無くあっさりとしているので風景撮影でも良い画を出してくれます。
S-Cinetoneは撮影の段階で完成度の高い映像になっているのでカラーグレーディング等は必要としませんが、簡易的な色補正で好みのルックに仕上げる事も出来ます。Log撮影に抵抗のある方はぜひ試してみてください。さて、8K撮影で気になるのが編集時のワークフロー。Adobe After Effects CC を使って8Kの編集を行いましたが、さすがにHDや4Kと比べると快適な編集とは行きません。そんな時に役立つのがプロキシー記録の設定。8Kと低ビットレートの動画を同時に記録出来るので編集時にデータを置き換えるだけでストレスのない編集を行えます。このようなワークフローはFinal Cut Pro、Davinci Resolveなどの主要な編集ソフトで採用しているので、撮影前にプロキシー設定をするだけで作業の効率化が図れます。
フルサイズ8Kの美しい描写
前方の山肌を等倍で見ると木の一本一本、枝の細かなディテールまで潰れる事なく描かれています。(写真をクリックしていただくと等倍画像をご覧になれます)。細部まで正確に捉えるにはレンズ性能も相当高いものが求められますが、今回使用した「Gマスター」レンズとの相性は抜群。圧倒的な描写力も相まって、想像を超える素晴らしい撮影を行うことが出来ました。
風で揺れる木漏れ日が石仏を照らす美しい光景。風化して苔生した石の表面。ピントの合った部分の細かな凹凸、立体感も素晴らしいです。細かなディテールや質感描写によって時間の経過や歴史すら感じさせてくれます。
手前の湖が霧に包まれ、とても幻想的な雰囲気となりました。早朝の静けさや、しっとりとした空気感も見事に描き出しています。
雨上がりの夕日が射してきた頃。山は薄い雲に覆われ、光が雲に乱反射して美しい光景となりました。8K撮影時は4:2:0 10bitの情報量となり、光のグラデーションも見事に表現してくれます。ちなみに、4K撮影時には4:2:2 10bit記録に対応しているほか、4K120p、LogやHLGといった一連の機能が搭載されており、4Kカメラとしても非常に高い性能を持っています。
機動力を活かした撮影
最後に今回使用したスライダーについても少し紹介いたします。MOZA Slypod-Eは持ち運びが簡単な電動スライダー。もともと撮影に携帯する予定では有りませんでしたが、スリムなボディなので今回使用した三脚ケースの隙間に入れて持ち運ぶ事が出来ました。水平方向で約4kgというペイロード、ワンマンでも気軽に撮影に持ち運べるのは素晴らしい。
バッテリーは内蔵されており、USB充電式。使用自体も三脚の雲台に取り付けるだけで、組み立てなどセッティングの煩わしさは全く有りません。電動ジンバルの様にかさばることもないので、今回の撮影では活躍してくれました。
α新時代の幕開け
写真機にも動画性能が求められる時代、フラッグシップモデルとして登場した「α1」は、どんな被写体にも、どんな表現にも、使い手のあらゆる要求に確実に応えてくれます。写真と動画、変わりゆく撮影スタイルの中で生まれた次世代のハイブリッドカメラ「α1」。このカメラでなければ、表現出来ない世界が確かに有ります。4K、その先にある映像の世界を、ぜひ一度体験してみてください。
Movie by MAP CAMERA Staff