こんなレンズを待っていた、そんな方も多いのではないでしょうか。質量約125g、NIKKOR Zレンズとしては最薄・最軽量のフルサイズ対応単焦点レンズ『Nikon NIKKOR Z 26mm F2.8』の登場です。薄型という最優先目標があるにもかかわらず、光学性能やF2.8の明るさを諦めることなく設計した本レンズ。品質にもこだわり随所に金属パーツを採用して高級感を演出。Zシリーズのどのカメラにもマッチするデザインとなっています。フォーカス時に鏡筒が伸びる方式を採用していますがレンズフードを装着すればスマートな見た目で使用することができ、フードに52mm径のフィルターを装着することも可能です。
また、APS-C機である『Zfc』や『Z50』『Z30』と組み合わせると広角39mm相当で撮影が出来るというのがこのレンズの大きなメリット。今回はフルサイズ機『Z7II』とAPS-C機『Zfc』両方に組み合わせて撮影を行いました。全Zユーザーが興味の対象であろう本レンズの写り、ぜひご覧ください。
やっと春の息吹も感じられる今の時期、椿の花で赤や白に地面が彩られます。最後の晴れ舞台かのようにスポットライトを浴びる白椿を撮影しました。このカットは『Zfc』に装着して撮影しています。実に引き締まったシャープな画です。
次は『Z7II』に装着して撮影。最短撮影距離が短いのでクローズアップで撮ることも可能です。実はこのカット『Z7II』のクロップ機能を使用して撮影をしました。高画素機である『Z7II』なら撮像範囲をDXフォーマットにしても5408×3600ピクセル。『Zfc』が5568×3712ピクセルなので、ほぼ変わらない画像サイズで撮影が可能なのです。一番左端の葉にピントを合わせましたが非常にシャープでボケも綺麗です。
実際に撮影をすると26mmという今までにはあまり聞きなれない画角にも納得がいきます。28mmの画角ではクロップすると約42mm。この僅か2〜3mmの差ではあるのですが大きな違いを感じる広さと使いやすさです。
撮影した時は日陰で暗いシチュエーションだったのですが、とても鮮やかな赤の発色としっかりした立体感を見せてくれたのでとても驚きました。暗がりでさらに沈む色味も深みがあってとても良いです。
大きな川を越える橋で大規模な修繕工事が行われており、なんとなくカメラを構えていたら後ろから自転車が通り過ぎていったので、その瞬間にタッチフォーカスでピントを合わせて撮影しました。フォーカススピードはスナップで使う上でなら特に不便を感じることはありません。フォーカスが繰り出し式な分、一度迷うと少し手間取ることもありましたが、気になったのは接写撮影時くらい。歩きながらのスナップでは快適に撮影を行えました。
26mmは意図しない要素が入り込んできたりしてスナップ用レンズとしての可能性を感じます。コントラストがハッキリとしているのでモノクロで撮影するのもオススメです。
最薄・最軽量のパンケーキレンズだということを全く感じさせない画質の良さ。このレンズの最大の魅力は、やはりこれに尽きます。誤魔化しようのないモノクロ撮影でも被写体の線と質感をしっかり見せてくれました。
夕暮れ時。カメラボディを『Zfc』に変更して撮影に戻ります。西日をバックに撮影してもこの逆光性能はとても素晴らしいです。
普段50mmを愛用している筆者にとって39mmという画角は少し広くその分気持ちが楽で、開放感のある画角です。ちなみに冒頭の夕暮れのカットも『Zfc』で撮影をしました。APS-C機の常用レンズにぜひおすすめしたい一本です。
日も暮れてきた川沿いを歩いていたら美しい水鏡が目の前に現れました。心に留まった景色をそのまま写してくれる26mm。考えてみれば初めて単焦点として使う画角なのに、気付いたら手と感覚に馴染んでいました。
最薄・最軽量の フルサイズ単焦点
Zシリーズを持っている全ユーザーにオススメできるアピールポイントがあるレンズだと思いました。フルサイズZシリーズを持っている方には広角26mmとして、高画素機を持っているユーザーにはクロップも込みでの広角・準広角レンズとして、APS-C機を持っているユーザーには準広角レンズとして。最薄・最軽量のコンパクトさはどれに付けても魅力的な要素です。
しかしその使い勝手の良さなども魅力の一つでしかなく、優れた光学性能、描写力の高さこそがこのレンズをオススメしたい一番の理由です。このレンズを手に入れた日からきっと快適で楽しいスナップ生活が始まることでしょう。ぜひこの薄さでこの描写力、という驚きをご自身で体験してみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff