『Nikon NIKKOR Z 58mm F0.95 S Noct』に続く、2つめの固有名称となる「Plena」を冠したレンズ『Nikon NIKKOR Z 135mm F1.8 S Plena』が登場しました。空間が満たされているという意味を持つラテン語「Plenum」に由来し、その名を冠するにふさわしいこだわりを注ぎ込み、比類のない描写力を達成したということです。『NIKKOR Z 400mm F2.8 TC VR S』と同じNIKKORレンズ史上最高の反射防止効果を持つ新コーティング「メソアモルファスコート」を採用、レンズ構成の最適化を図ることで口径食を極限まで低減し開放F値1.8から円形度の高いボケ形状を実現。S-Lineレンズ屈指の解像度を誇るレンズで被写体を立体的に描写するということです。写真・映像どちらにおいても「主題の輝き」と「きれいなボケ」が調和した幻想的な表現を可能にした中望遠単焦点レンズ。早速その描写を確かめてきました。一言でいえばまさに最高峰の135mm単焦点レンズ。全て開放絞りでの撮影です。ぜひその描写をご覧ください。
被写体に近寄ってボケ量を見てみました。画面の周辺まで綺麗な円形のボケが広がります。ピント面もまさに浮き出るような立体感。なんでもない日常を非日常の瞬間に変えてくれます。
画面の隅々まで円形度の高い美しいボケになるだけでなく、ピント面から遠ざかるにつれて滑らかに大きくなる柔らかいボケもとても魅力的。人物だけでなくこんな線の細い被写体でさえ立体感が際立ちます。
雨に濡れた菊の花。ほぼ最短撮影距離でこの解像力です。浮き出てくるような立体感と、とろけるようなボケ味が本当に素晴らしいと思います。
135mmの中望遠でシャープなビルの一角を切り取りました。青のトーンも実になだらか。画面の端まで歪みのない線の美しさ、開放絞りから画面全域で豊富な周辺光量を得られるレンズです。
圧縮効果で自然と視線が被写体に向かっていきます。これほどの距離間があっても、しっかりと被写体のピントと立体感を感じることができること、中望遠らしい没入感があります。
レンズが明るいおかげで暗い船内でもISO感度を上げずに撮影することが出来ます。そして14群16枚と贅沢な構成のレンズではあるのですが、実際に撮影しているとレンズの重みはそこまで感じません。手振れ補正があるとはいえ、レンズの焦点距離を考えると不安が残るシャッタースピードだったのですがブレずに撮れていました。そして筆者は135mm単焦点というと「太さ」よりも「長さ」が気になるのですが、このレンズはその長さがあまり気にならなかったのが良かった点です。
複数のSTMの連携でフォーカス群の位置を高い精度で厳密に制御するマルチフォーカス方式を採用しており、高い静音性かつ被写体をシャープに捉えることが出来ます。夕暮れ間近の仄暗い時間帯でもしっかりと捉えてくれました。
独自の2つのコーティング、NIKKORレンズ史上最高の反射防止性能を発揮する反射防止コーティング「メソアモルファスコート」と「アルネオコート」を採用することで高い逆光性能を実現。夕暮れ時のドラマチックなワンシーンを臆することなく撮影できます。
都会の灯りが点き始める日暮れ時。その一つ一つをきれいなボケで表現してくれました。どんなシチュエーションでもこのレンズなら美しく撮れる、という安心感と信頼。朝も夜もどんな光も『NIKKOR Z 135mm F1.8 S Plena』となら撮れるし、撮りたくなります。
『NIKKOR Z 135mm F1.8 S Plena』の撮影サンプルの幻想的な前ボケを見て、街中でも再現できないものかとイルミネーションを前と後ろに配置して撮影してみました。イメージがそのまま画に繋がるこの楽しさはなんとも言えません。ぜひ皆様もこのレンズで出来る表現を突き詰めてみてください。
心まで満たされる
筆者が中望遠好きということもありますが、とにかく使っていて夢中になるレンズでした。135mm単焦点で撮影をするときは解像力と立体感と美しいボケ味を楽しむことがメインでしたが、その要素にくわえて開放絞りから円形度の高いボケ形状を実現させた『NIKKOR Z 135mm F1.8 S Plena』は今まで、そしてこれから先も中望遠レンズの歴史を語る上で外すことが出来ない存在になること間違いないと確信いたしました。ポートレートはもちろん、スナップ、映像表現、あらゆる撮影で新しい感動を与えてくれる『NIKKOR Z 135mm F1.8 S Plena』。「Plenum」は空間が満たされているという意味を持ちますが、このレンズを使えばその描写に撮影者の心まで満たされることでしょう。ぜひ、全てが満たされる体験を。
Photo by MAP CAMERA Staff
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