911:絞り操作が楽しい大口径『Voigtlander NOKTON 50mm F1 Aspherical(ニコンZ用)』
2024年01月19日
昨年2月に発売された『Voigtlander NOKTON 50mm F1 Aspherical(ニコンZ用)』。マウント違いで先行販売されたVMマウントの描写を見て凄そうというイメージは持っていたものの、なかなか触れる機会に恵まれませんでした。そこにこのレンズがとても似合うと思われる『Nikon Z f』が登場。写りも気になりますがそれ以上に組み合わせた外観を見てみたい。フォトプレビューサイトでの発言とは思えない描写力より外観の見た目を重視した組み合わせで撮影に出掛けてきました。もちろん気になる画質もしっかりチェックしてきましたので最後までぜひご覧ください。
金属鏡筒でしっかりとした作りの開放F1の大口径レンズはガラスの塊といった感じで598gとなかなかの重さを感じます。一般的なNikon Zのカメラと異なりグリップ部分の指掛かりが小さい『Z f』との組み合わせでは多少の不安を感じます。筆者はストラップを腕に巻きつけてサポートしましたが、より安全に撮影を楽しむなら「エクステンショングリップ Z f-GR1」があるとより撮影に集中することができるでしょう。
操作性の良い波型のピントリングはしっかりグリスアップされているのでとてもスムーズにピント合わせができます。なによりニコン機はファインダーの視認性が高いので気持ちよくピント合わせができました。
絞り開放からクリアな描写ですが、少し絞るとさらに解像感が向上します。逆光でもフリンジはほとんど発生せず暗部のトーンまでしっかり描いています。花びらに透ける陽の光の暖かさも綺麗に切り取ってくれました。
「夜」を意味するノクトから由来するNOKTONレンズだけあって日中でも薄暗い場所の方が雰囲気よく描いてくれる印象です。
マウントが変わってもリッチな立体感とボケ味は健在です。最短撮影距離も45cmとVMマウントよりもさらに寄ることができるので、より大きなボケが楽しめます。
周辺減光も見られますが逆光による暗部もしっかり描いています。雲のグラデーションや薄明光線も綺麗に再現してくれました。
柔らかい描写が楽しめる超大口径レンズも、絞れば隅々までシャープに捉えてくれます。絞り操作の幅が広がったことで改めてF値の違いによる画の変化が体感できました。
暗いシーンに強いということは水族館などでの撮影にも重宝します。
高感度に頼らずシャッターが切れるのでノイズ感はまったくありません。透明感が高いのは先の撮影で実証済み。触手の様子など本来の美しさを上品に切り取ってくれました。
撮影を終えマップカメラのある新宿に戻って来ると街はすっかり夜の様相に。
ライトアップされたカラフルなオブジェやイルミネーションを綺麗に捉えてくれました。夜景も綺麗に捉えるのはさすがNOKTONと言ったところでしょうか。
美しいボケとシャープな描写を両立。絞り操作が楽しい大口径レンズ。
ご覧ください。このボディとレンズのベストマッチ具合。デザインの元となったFM2の現役時代を知っている方ならよりご理解いただけるはずです。これに本革ストラップや厚みのあるレリーズボタンを付けたらもっと自分好みになるんだろうなと想像が膨らみます。フィルムカメラ時代はアクセサリーも豊富でドレスアップするのも楽しみの一つでした。本当にカメラを始めた頃のワクワク感を思い出させてくれる組み合わせです。
もちろんレンズ自体の性能は素晴らしいものなので、『Z9』や『Z8』、『Z7/Z7II』などのより高画素機でも安心してご利用いただけます。
Nikon Zシリーズには魅力的な50mmレンズがとにかく豊富。目移りしてしまうラインアップですが開放F1の美しいボケが20万円以下で手に入るという点は見逃せません。『Z f』をご検討中の方はもちろん、Nikon Zユーザーに是非お試しいただきたい1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff