933:至高の標準ズームレンズ『SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II E-Mount』
2024年05月17日
ミラーレス専用“Artズーム”の第二弾として登場した「SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN」から約4年と半ぶりになります。『SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II』。“Artズーム”のフラッグシップレンズが全方位的な進化を遂げ登場しました。レンズ構成枚数15群19枚(FLD6枚、SLD2枚、非球面レンズ5枚)と枚数は変わりませんが、薄型かつ高偏肉という難度の高い非球面レンズを5枚も使用し、ズーム全域において諸収差を徹底的に抑制し、画面周辺部まで安定して高い解像力を達成しているとのこと。それでいて進化した光学設計により全長を短縮化。体積比約7%、重量比約10%の小型軽量化により質量735gという携行性の高さも実現させています。AFアクチュエータにはリニアモーター HLA(High-response Linear Actuator)を採用し、従来機種に対し3倍以上の高速化を達成。防塵防滴構造・撥水防汚コートやズームロックスイッチ、絞りリングの追加などあらゆるシチュエーションでの撮影において快適かつベストな撮影を行えるように設計・配慮がされています。今回Eマウントでは「SONY α7RV」で撮影をしました。別記事のLマウントでは「SIGMA fp L」「Leica SL2」「Panasonic LUMIX S5IIX」の3機種で撮影を行ってきました。どちらも併せてご覧いただけると幸いです。
日の出の時間帯にポピーが咲き乱れる花壇があったので撮影しました。この撮影では端麗でシャープな画より少し“Art”な画にできるような心がけで撮影を行いました。逆光のなかに前ボケや白飛びしそうなくらいハイキーなものを混ぜたりしてみたら、望み通りのドラマチックな画を見せてくれました。こういう描写も出来る、この時点でもう既にこのレンズのことがかなり好きです。それでは次からは素直な撮影です。
ほぼ最短撮影距離での撮影。ワイド側では最短撮影距離が17cmと従来機種よりさらに1cm寄れるようになりました。最短撮影距離ではフードが影になってしまうので外しておきます。順光に近いサイドからの光で撮影していますが、ピント面の解像力も高くボケも綺麗です。この光の向きで撮影すると全体的にのっぺりしてしまいがちですが、立体感もしっかり出てくれました。
続いてテレ端70mm開放絞りでの撮影、テレ端では34cmまで寄ることが出来ます。かなり寄りでのカットですが木の樹皮の細やかな部分まで描きます。
苔むした灯篭を40mm標準域の開放絞りでの撮影しました。背景の情報がなんとなく分かるくらいの程よいボケ感。広角・標準・中望遠それぞれで用途に合った画を撮ることが出来ます。
広角端開放絞りで広めの画を撮影してみました。鳥居や樹だけでなく手前側の支柱までも細かな部分をしっかりと描写してくれています。周辺減光もほぼ見受けられません。
時代と年季を感じる遊具。お昼ごろの時間帯で太陽がほぼ真上の位置にあるので陽射しがかなりキツいシチュエーションです。本レンズはナノポーラスコーティングやスーパーマルチレイヤーコートを施すことで、極限までフレア、ゴーストを抑制しているとのこと。ちょっとしたゴーストこそ写り込みしましたが、この逆光の条件下でもコントラストが低下することなくヌケの良いクリアな画を撮ることが出来ました。
広角端でさらに広めの画を絞って撮影しました。広く撮っているはずなのに点在するオブジェクトのそれぞれに立体感を感じることが出来ます。
RAWデータでレンズプロファイルを当てない状態だと若干の歪曲が見られましたが、JPEGではこのように綺麗な直線を描きます。だいぶ日が長くなってきたとはいえ、おやつの時間も過ぎたころで日も傾きはじめてきました。太陽から完全に背を向けた状態での撮影に関わらず周辺減光も最小限に抑えられていました。
右側の何もない空間も含め背景ボケが柔らかく雑味がないおかげで、注目させたい被写体への没入感が高くなります。
神社の緑青銅板を再利用したという印象的な外壁。広角端でF8まで絞り込んでみると植物との質感の違いを忠実に再現してくれました。ただきっちりと写るだけでなく、陰影の表現も実に見事なものです。
向こうの空から射す光で眩しく、はっきりとした色が撮れるかどうかは今いちわからない状況だったのですが、フラッグガーランドの赤青黄色が空の色がよく映える画を撮ることが出来ました。総じて期待値を超える画を見せてくれるレンズです。
標準域で絞り込んで撮影しました。ピントは手前の樹々に合わせていますが、背景にある鉄柱の細い電線などの細かいディテールまで確認できます。西日が強くなってくる時間帯でサイドから光が射している状況。F8まで絞ることで画面四隅まで均一な写りになりました。
少し絞れば隅の隅までボケも綺麗になります。夜間の撮影でも1/60秒くらいならボディ内手振れ補正だけでブレる心配もなく撮影が可能です。F2.8通しのズームレンズを装着しているとは思わないコンパクトさ。首にかけて一日撮影しても重さを感じませんでした。
至高の標準ズームレンズ
描写力、機能性、携行性全てが進化した『SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II』。これといった不満は見つからず、撮れば撮るほどにその写りに惹かれていきました。これからデジタルカメラがより高画素化していくかの未来までは読み取れませんが、もしその未来が待っていたとしてもこのレンズがあれば心配する必要はなさそうです。フラッグシップレンズにふさわしい描写性能に多機能と小型軽量化を実現させた至高の標準ズームレンズ。ぜひ体験してみていただきたい一本です。Lマウント「SIGMA fp L」「Leica SL2」「Panasonic LUMIX S5IIX」の3機種で撮影した記事「934:全てにおいて満足できる標準ズームレンズ『SIGMA Art 24-70mm F2.8 DG DN II L-Mount』」もぜひ併せてご覧ください。
Photo by MAP CAMERA Staff