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932:伝統の焦点距離が新鮮に感じる『Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical Z-mount』

932:伝統の焦点距離が新鮮に感じる『Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical Z-mount』

2024年05月15日

 

先日発売された『Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical』のキヤノンRFマウント用に続き、ニコンZマウント用が登場しました。
大口径レンズならではの美しいボケとピント面がキリッと浮き立つ描写は、RFマウント用のkasyapaで既にご覧いただきましたが、Zマウント用でも撮影してきましたので、こちらもどうぞご覧ください。

RF用と比べて明らかに違うのがピントリングのローレット加工の形状。これまでフォクトレンダーから発売されているZマウントレンズと同じく、起伏が大きなピントリングは指掛かりが良く、適度なトルクもあってスムーズな操作が可能です。シリーズで同じ感触で操作できるのは、シリーズで揃えている方にとってこれ以上嬉しいことはありません。重さは5g重くなって530gとなりましたが、これも言われなければ気づかない程度。高級感ある質感は操作する楽しさをより高めてくれます。

 


 
 

絞り:2.8 / シャッタースピード:1/200秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

フォクトレンダーのZマウントレンズシリーズの中では一番望遠寄りの画角を持つ本レンズ。これまで一眼カメラをメインに使われていた方にとってはあまり馴染みない75mmという焦点距離ですが、レンジファインダーのカメラでは古くから人気のある焦点距離でレンジファインダー用のレンズも多く手がけるフォクトレンダーならではの焦点距離といえます。標準レンズからさらに一歩近づいた距離感のレンズは歪みもなく、ポートレートはもちろんスナップ撮影でも活躍します。
洋館を背景にレトロな電話ボックスを捉えました。望遠レンズ特有の圧縮効果で洋館との距離が縮まったものの、自然なボケ感が電話ボックスをしっかり浮き立てています。ポートレートレンズとして人気のある85mmとはまた少し違った描き方でとても新鮮に感じます。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/200秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

優しい光が差し込む窓。影の出方も自然で、その場の空気感をしっかり捉えてくれました。

 

絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/15秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/80秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

豪華なシャンデリアは洋館見学の楽しみの一つ。少し絞ってシャッターを切ると電球部分から薄らと光芒を描いてくれました。絞り羽根は12枚。偶数枚のため光芒の本数は多くありませんが派手すぎず上品に華やかさを演出してくれます。

 

絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

庭に咲いていた白い薔薇にギリギリまで寄ってみるとフレアを纏ったかのような柔らかな画を見せてくれました。ぼんやりと浮き立った描写はノクトンの名に相応しい幻想的な写りを見せてくれました。

 

絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/200秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

少し絞れば幻想的な描写は影を潜め、カリッとしたデジタルカメラらしい線の細かな描写に。微小な毛もしっかり捉える高い解像力がありました。

 

絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/40秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

静態保存されている歴史ある客船。サビや汚れが目立つ機器が多い中で操舵室の舵だけがツヤツヤに輝いていました。子供から大人までだれもが握りたくなる舵には多くの人の思い出が染み付いているのでしょう。そんなキラキラした思いが写ったかのようです。

 

絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/80秒 / ISO:64 /使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

夜を意味する「Nokt」から由来する名前が付けられているだけあって、薄暗いシーンでの光の捉え方が本当に上手なレンズです。窓から差し込む外光、天井からの白色灯、壁に付けられた暖色のランプ。それぞれが描くグラデーションを綺麗に描いてくれました。

 

絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

 

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

 

絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

様々な装飾が施された開港記念館。逆光気味のシチュエーションだったため避雷針に若干の色乗りが見られますが、この酷な条件を考えればよく写っていると思います。むしろレンガの自然な発色や、細かなつなぎ目まで捉える高い解像力に驚きました。

 

絞り:F8 / シャッタースピード:1/400秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

 

絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/5000秒 / ISO:64 / 使用機材:Nikon Z9 + Voigtlander NOKTON 75mm F1.5 Aspherical (ニコンZ用)

 

風景的な切り取りも自然に描きます。寄って良し。引いても良し。中望遠と標準レンズの良さがバランス良く組み込まれている印象です。

 

 

伝統の焦点距離が新鮮に感じる

普段はライカも使う筆者。75mmのレンズも使っており慣れしんだ焦点距離と思っていたのですが、今回一眼カメラで本レンズを使って微妙な距離感の違いに驚きました。レンジファインダーでは近接の壁があるため、75mmといっても被写体との距離をカバーする標準レンズという認識でしたが、50cmまで寄れる本レンズは、目立たせた被写体を大きなボケで浮き立たせる中望遠レンズであり、標準レンズとしても、はたまたマクロレンズ的な使い方も可能です。この応用範囲の広さは中望遠の代表格85mmとも異なり新しい体験ができる微妙な焦点距離と言えます。85mmとも50mmとも違った独特な描写をぜひお試しください。

 
Photo by MAP CAMERA Staff

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